国連防災会議 「仙台枠組み」で被害の抑制を

朝日新聞 2015年03月23日

国連防災会議 リスク直視を新潮流に

手間や資金をかけても、災害に備えて開発した方が、長期的には得だ。そして、自然災害だけでなく人のミスなどによる「人為災害」も、リスクを直視する対象に加えよう――。

先週まで仙台市で開かれた国連防災世界会議は、現代社会における防災の意義を各国の首脳や高官が確認して幕を閉じた。

東日本大震災から4年がたつ被災地に187カ国の代表が集い、延べ15万人以上が関連行事に参加した。防災の重要性を訴えるとともに、復興も励ます会議となった。

ただ、地球温暖化との関係が疑われる気象災害や原発事故など、近年注目の高まったリスクへの対応では課題が浮き彫りになった。国際社会は今後、真正面から向き合うべきである。

1994年の横浜、2005年の神戸に続き、3回目も日本で開催された。今回は初めて首脳級会合に格上げされた。

災害の頻発に加え、グローバル化の中で災害に伴う経済損失や政情不安、感染症の流行などが被災国にとどまらない悪影響を生じうると認識されるようになって、関心が高まった。

キーワードは持続可能性だ。

一定の投資を防災に充てた方が持続可能な開発になる。

安倍首相は、あらゆる政策に防災の観点を組み込む「防災の主流化」を主張。今後4年間で総額40億ドル(約4800億円)の国際支援や防災リーダーら4万人の育成を表明した。着実な実行が求められる。

会議は終盤紛糾した。温暖化が招くとされる巨大台風や高潮などに関して、途上国が先進国に責任を認めさせて対策費用を引き出そうとしたためだ。

結局、気候変動では先進国の責任が重いとする国連気候変動枠組み条約を尊重するとの表現を、防災行動指針「仙台防災枠組」に盛り込んで決着した。

温暖化での対立が防災にまで及べば、国際協力は実を結ばない。防災は人命に直結するだけに、今後も対立を乗り越える道を探ってほしい。

仙台防災枠組は人為災害を対象に明記した。原発や化学工場の事故など技術災害への備えも組み込むものだ。自然災害同様に、リスクの把握や管理、防災投資、効果的な緊急対応の準備などを求めている。

だが、福島第一原発事故について日本政府は会議で詳しくは語らなかった。リスクの把握から緊急対応まで、どこに問題があり、事故後どう改善しようとしているのか。会議は終わっても、教訓を世界で共有する責務は終わっていない。

読売新聞 2015年03月23日

国連防災会議 「仙台枠組み」で被害の抑制を

災害による死亡率と被災者数を2030年までに大幅に減らす――。仙台市で開かれた第3回国連防災世界会議で、防災対策の国際指針「仙台防災枠組み」が採択された。

目標の実現に、世界全体で災害への備えを進める必要がある。

会議には、過去最多の187か国が参加した。東日本大震災の被災者が各国代表の前で体験を語った。今も残る津波の爪痕や復興現場の視察なども行われた。

大規模災害の様々な教訓を世界と共有した意義は大きい。

近年、過去に例のない規模の台風や洪水、干ばつなどの自然災害が世界的に多発している。会議の直前には、南太平洋の島国バヌアツが大型サイクロンに襲われ、甚大な被害に見舞われた。

災害による犠牲者は、この10年間で70万人に上る。経済損失は1・3兆ドルに達している。減災の取り組みを強化せねばならない。

「仙台防災枠組み」には、病院や教育機関など、住民にとって重要な施設の被害を減らすことが盛り込まれた。途上国に対する国際支援の強化も掲げられた。

防災対策は、一義的には各国政府が自国の実情に応じて進めるべきものだ。だが、島嶼とうしょ国や途上国では、財政的な理由から十分な対策を講じられず、災害に対して脆弱ぜいじゃくなケースが多い。

日本政府は今回、4年間で40億ドルの支援を表明した。世界で計4万人の防災専門家などの育成を手助けすることも発表した。

数々の自然災害を乗り越えてきた日本は、建物の耐震技術や気象予測など、ハードとソフトの両面でノウハウを蓄積している。それらを途上国などの防災対策に役立てることが求められる。

海岸林や干潟といった自然の緩衝帯を高潮対策に活用するなど、地域の特性を生かした効果的な支援を進めたい。森林伐採などの乱開発を食い止め、開発計画に防災の視点を取り入れる重要性を周知していくことも大切だ。

今回の会議では、防災と地球温暖化対策の密接な関わりが、改めて浮き彫りになった。気候変動が、多くの自然災害の要因と考えられているからだ。

途上国は、産業活動により温暖化の原因を作った先進国には、重い責任があると主張し、より多くの支援を求めた。これに先進国が反発し、会議は紛糾した。温暖化対策の国際交渉と同じ構図だ。

温暖化と自然災害は、人類共通の脅威だ。対策を進める上で、最も重要なのは国際協調である。

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