日中韓3か国の対話と協力を重ねる中で、歴史認識の問題などで対立する日中、日韓の関係の改善に、いかにつなげていくかが問われよう。
岸田外相、中国の王毅外相、韓国の尹炳世外相がソウルで会談した。「歴史を直視し、未来に向かうとの精神」で、2国間関係の改善と3か国協力の強化を進めることで一致した。
日中韓首脳会談については「最も早期で都合のよい時期」の開催に努力することを確認した。
中国は、首脳会談の前提として、今夏に発表される戦後70年の安倍首相談話の内容を見極めたい意向とされる。だが、まずは前提条件をつけずに、大局的な観点から首脳会談を行う準備をすべきだ。
解決が困難な問題があっても、様々な会談を通じて、各国が歩み寄れる妥協点を模索するのが、本来あるべき外交の姿だろう。
王外相は会談後の記者会見で、「戦後70年が過ぎたが、歴史問題はまだ過去形ではない。現在進行形だ」と強調した。
中国は、9月3日に北京で行う「抗日戦争勝利70年」記念式典に韓国の朴槿恵大統領を招待するなど、歴史問題で韓国と「対日共闘」を目指す動きを見せている。
しかし、戦後日本は、先の大戦への反省を踏まえ、一貫して平和国家の道を歩んできた。安倍政権は、そのことを国際社会に積極的に発信し、関係国の理解を広げる努力が欠かせない。
岸田外相は日中韓外相会談で、「近接し、文化的な深いつながりを持つ3か国の交流、協力を促進することが重要だ」と指摘した。王、尹両外相も同調し、環境や防災分野などで3か国の連携を強化する方針を確認した。
中国では、微小粒子状物質(PM2・5)などの大気汚染が深刻で、その影響は国境を超えて日韓に及んでいる。日本が技術協力などを通じて、中国の大気汚染を改善すれば、各国の利益となる。
日本が長年培ってきた防災・減災に関する知見や技術は、中韓両国にも参考になろう。
様々な分野で実務的な協力を着実に進展させ、3か国の信頼醸成を図ることが重要である。
会談では、北朝鮮の核兵器開発を容認しない方針を再確認した。3か国が足並みをそろえることが、北朝鮮に一定の圧力をかける効果を持つのは間違いない。
活発化するイスラム過激派組織の国際テロについても、3か国は、具体的な封じ込め策の議論を深めることが大切だ。
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