春闘ベア高水準 裾野を広げて好循環に

朝日新聞 2015年03月19日

春闘集中回答 賃上げに広がりを

春闘はきのうが大手企業の集中回答日だった。自動車や電機などの各社では、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)で、昨年を上回る高水準の回答が目立った。これから本格化する中小企業の賃上げ交渉に、この流れを波及させてほしい。

今春闘での賃上げ水準は、今後の景気を左右すると見られている。国内総生産(GDP)の実質成長率は昨年、3年ぶりのマイナスとなった。GDPの6割を占める個人消費が昨春の消費増税後に落ち込んだ後、年後半になっても勢いを取り戻せなかった影響が大きい。

消費が活性化しないのは、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかないからだ。物価上昇分を差し引いた実質賃金は、1月まで19カ月連続のマイナスを記録。その流れを変えることが、今春闘に期待された。

労働側には追い風が吹いている。円安で大手製造業は史上最高益が予想されている。賃上げを経済の好循環につなげたい政府の後押しもあって、経営側は、水準はともかく賃上げ自体には理解を示していた。

高齢化などによる人手不足は、賃金を押し上げる要因となる。賃上げの動きが外食産業などに広がった背景には、そんな事情もあった。

また、今春闘では、賃上げを非正社員に波及させる取り組みがあった。トヨタは期間従業員の日給を組合要求通り300円(月にして6千円程度)引き上げる。食品スーパー大手のライフコーポレーションはパート社員約2万人の一部で、毎年賃金が上がる定期昇給を5月から始める。こうした動きがより多くの企業に広がってほしい。

個人消費を活性化し、経済の足腰を強くするには、今後も企業が賃上げを続けることが欠かせない。17年4月には消費再増税も控えている。経営者は、コスト削減で利益を確保するデフレ時代の後ろ向きの考え方から、攻めの経営に転じる時ではないか。毎年の賃上げを前提に、その原資を生み出す収益力をどう強化するのか。設備投資や企業買収、社員の教育などに知恵を絞らなければならない。

雇用者に占める労働組合員の割合は2割に満たない。経済の好循環につなげるためにも、格差の拡大を防ぐためにも、より多くの人たちの賃金が増えていくことが望ましい。

政府は成長戦略などで企業の収益力の強化を後押しするとともに、最低賃金引き上げなど、春闘の成果が及ばない非正社員の賃金上昇につながる環境整備に努めるべきである。

毎日新聞 2015年03月19日

春闘ベア高水準 裾野を広げて好循環に

春闘がヤマ場を迎え、大手自動車や電機業界では、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)が過去最高水準で決着する企業が相次いだ。

読売新聞 2015年03月19日

春闘一斉回答 高い賃上げの恩恵を広げたい

大手企業による賃上げの動きを、中小企業や非正規労働者にも波及させることが重要だ。

春闘の相場をリードする自動車大手と電機大手などが2年連続で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の実施に踏み切った。

トヨタ自動車や日産自動車のほか、日立製作所など電機6社も過去最高のベアを回答した。一時金(ボーナス)についても、要求への満額回答が相次いだ。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安や原油安で、大手メーカーを中心に収益が拡大したことが追い風となった。

昨年末の政労使会議で、安倍首相が賃上げを要請した効果もあろう。経営側にも、安倍政権の目指す「経済の好循環」を実現するには、賃上げが必要だとする認識が浸透してきたのではないか。

航空や損害保険など、製造業以外の大手企業の多くも、ベア実施を決めた。利益を賃金として積極的に還元する企業が増えたことを歓迎したい。

昨年の春闘では、定期昇給を含めて2%台の賃上げ率となったが、消費増税の影響もあって物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、家計の消費は冷え込んだ。

大手企業が2年連続で高い賃上げとなったことは、消費の活性化にプラスとなろう。

ただし、景気を本格的に回復させるには、サラリーマンの7割が働く中小企業でも、高い賃上げを達成することが大事だ。

輸出や海外事業を手がける大手と違い、中小企業の多くは円安メリットを受けにくい。輸入価格上昇による原材料高で、賃上げの余裕はない、などの声もある。

大企業の好業績の恩恵を、中小企業に行き渡らせることが課題だ。トヨタは定期的に実施してきた下請けに対するコストダウン要求を控えている。中小企業の賃上げを後押しするためにも、こうした取り組みをさらに広げたい。

全体の4割近い非正規労働者の待遇改善も急務である。時給の引き上げはもとより、研修の充実による能力向上や正社員への登用機会の拡大など、総合的な対策が欠かせない。

肝心なのは、企業が自律的な成長を果たし、自らの経営判断によって賃金を持続的に上げられる環境を整えることである。

国際競争力の強化に向けた法人税減税の着実な実行や、新規事業への進出を後押しする規制緩和の充実が求められる。政府は成長戦略を加速させるべきだ。

産経新聞 2015年03月19日

春闘ベア最高 中小企業へ確実な波及を

今年の春闘で自動車や電機など大手企業が、賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の実施を示した。とくに主要企業で過去最高額のベア回答が相次いだことは歓迎したい。

だが、春闘交渉は、これからが正念場であることを忘れてはならない。大手企業の妥結を受けて今後、交渉が本格化する中堅・中小企業で、どこまで賃上げを波及させられるかが日本経済の再生にとって何よりも重要だ。

そのためには、下請けなどが賃上げ原資を生み出せるような配慮も欠かせない。産業界全体で賃金水準の底上げを図り、経済の好循環を実現したい。

大手の労使交渉では実質賃金を押し上げるため、昨年実績をどこまで上回るかが焦点だった。昨年4月の消費税増税で物価が2~3%上昇しており、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比でマイナスが続いているからだ。

春闘相場への影響力が大きいトヨタ自動車が4千円のベアで妥結し、大手電機各社のベアも昨年より千円多い3千円で決着した。ボーナスも労組の要求に満額で応えた企業が多い。大手では2%以上の賃上げにつながる見通しで、一定の成果をあげたといえる。

問題は中小企業の賃上げだ。雇用者の7割が中小企業で働いており、企業数では全体の9割以上を占める。この中小企業で働く社員にも賃上げが行き渡らなければ、停滞が続く個人消費を着実に上向かせることは難しいだろう。

トヨタでは下請けの部品メーカーに対し、定例化していた納入価格の値引き要請を見送った。それによって下請け企業にも賃上げを促す効果を狙ったものだ。大手企業は取引先の賃上げにつながる取り組みもみせてほしい。

大手輸出企業は円安で業績が好調だが、一方で中小・零細企業にとっては輸入原材料の価格上昇が経営を圧迫している。政府は下請け企業が適正に価格転嫁できるように監視を強め、賃上げの環境整備にあたってほしい。

経済の好循環には、賃上げの継続も大事だ。政府は法人税減税などで企業を後押ししているが、企業が独自に収益力を高める姿勢も問われる。

経営者は新規事業の開拓や不採算事業の見直しなどで不断の経営改革を進め、企業価値の向上に努めねばならない。

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