「大阪都」住民投票 判断材料を十分に示せ

朝日新聞 2015年03月19日

大阪住民投票 未来考え、意思示そう

大阪市を分割し、5特別区を置く大阪都構想案への賛否を問う住民投票が、5月17日にも実施されることになった。

市内の有権者215万人による過去最大規模の住民投票になる。結果は法的拘束力を持つ。投票率に関係なく、賛成が1票でも上回れば126年の歴史を持つ大阪市は廃止される。

後戻りできない重い選択だ。市民一人ひとりがじっくり考え、一票を投じてほしい。

都構想は、大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長が5年前から推進してきた。構想が行き詰まった昨年には出直し市長選をしかけた。再選後は反対派議員を協議会から排除し、構想案を固めた。反対派も言い分を主張するばかりで、議論が深まったとは言いがたい。だが、バトンはもう大阪市民に託された。市民全体の意思で決着させたい。

賛否どちらの道にもメリットとデメリットがある。より良いと考えるほうを選ぶしかない。

来月は大阪府・市議選がある。自民、公明など維新以外の各党も選挙戦で都構想の論点をわかりやすく示すべきだ。市民も演説会や市の広報資料などに進んでアクセスしてほしい。

考えるべきポイントは、自分たちが暮らす自治体の規模だ。

大阪市は明治以降、水道や地下鉄といった基盤整備を全国に先駆けて進めた。一つの大都市だからこそできた面は大きい。

だが半面、市役所組織が肥大化し、住民との距離は遠かった。同等の権限を持つ大阪府ともしばしば張り合い、「二重行政」の批判を招いてきた。

5特別区は34万~69万人規模になる。学校教職員の人事権や児童相談所設置など、東京23区を上回る権限が移され、よりきめ細かい行政が可能になる。

ただ大阪は人口1人あたりの税収が東京のほぼ3分の2しかない。各区は厳しいやりくりを余儀なくされ、独自色を発揮できるのは先になりそうだ。

そして、経済の低迷、貧困層の増大という大阪の最重要課題は、都構想が実現しようがしまいが、ただちには解決しない。

橋下氏は住民投票の結果次第で、今後の進退を決める考えを示した。都構想が実現すれば次の策として、大型カジノの誘致や交通網の整備を掲げている。

こうした方向性でいいかどうか。通算7年に及ぶ橋下改革の評価も合わせ、市民が賛否を判断する際のポイントとなろう。

大都市はどこも少子高齢化や生活保護受給者の増加といった共通の課題に直面している。大阪の選択は、ほかの都市の住民にも参考になるだろう。

毎日新聞 2015年03月14日

「大阪都」住民投票 判断材料を十分に示せ

大阪市を五つの特別区に分割する「大阪都構想」の制度設計案(協定書)が大阪市議会で可決された。府議会の承認を経て、5月17日に予定される大阪市民の住民投票で都構想導入の可否が決まる。

読売新聞 2015年03月19日

「大阪都」投票へ 中身の丁寧な説明が不可欠だ

人口268万人の大阪市を廃止する重大な制度変更であり、市民の賛否は割れている。構想を進める大阪市の橋下徹市長らは、内容を丁寧に説明する必要がある。

大阪府議会と大阪市議会が「大阪都」構想の制度案を承認し、構想の是非を問う大阪市民対象の住民投票の実施が決まった。5月17日に行われる見通しだ。

大阪市の現在の24行政区を五つの特別区に再編する構想だ。特別区には公選の区長と区議を置き、予算や人事を決める。保育所や公立小中学校も区の運営となる。

国民健康保険や水道事業などは、分割すると非効率的だとの理由で、5区が一部事務組合を作って共同運営する。

広域的な都市計画や消防などは、府が担う。

住民投票で賛成が過半数に達すれば、2017年4月に再編が実施される。市民は、重い選択を迫られることになる。

両議会で、与党の大阪維新の会以外は、制度案の内容に反対している。両議会は昨年10月、制度案を否決した。

今回、可決されたのは、公明党が方針転換したためだ。「制度案には反対だが、住民投票には協力する」という公明党の姿勢は、理解しにくい。態度を変えた経過も不透明なままである。

橋下市長らは、「府と市の二重行政を解消し、広域的な都市計画に一元的に取り組める」と主張する。一方、反対派は「今のままでも、知事と市長の調整で二重行政は解決できる」と訴える。

都構想が、停滞する大阪経済の再生・発展につながるのか、議論が深まらなかったのは残念だ。

大阪市を5分割することで、行政の効率性が損なわれないのか。庁舎や議場といった公共施設や組織が増え、行政コストがかさむという懸念もある。

現在の大阪市の住民や事業者が納める税金の一部は、いったん府に入ることになる。このため、市外の施設整備などに税金が使われ、市内の再開発が阻害されるのではないか、との指摘もある。

読売新聞の昨年9月の世論調査では、大阪市民の53%が構想に「賛成」と答えた。変革への期待だろう。ただ、住民に対する説明については、75%が「不十分だ」と回答している。

長所と短所を理解した上で、判断したいと考える市民は多いはずだ。住民投票に向け、賛成派、反対派双方は、分かりやすい判断材料を提供してもらいたい。

産経新聞 2015年03月17日

都構想住民投票 機は熟したと言えるのか

大阪都構想の是非を問う住民投票が5月にも行われる。都構想の設計図となる協定書議案が大阪市議会で承認され、17日に府議会で可決されると正式決定する。

橋下徹大阪市長が府知事時代に提唱して5年余り。最大のヤマ場になるが、機が熟したかは疑問が残る。

今回の住民投票は大都市地域特別区設置法に基づき、大阪市を存続するか、廃止して特別区に再編するかを決める。投票できるのは大阪市内の有権者に限られる。

大阪の地盤沈下が指摘されて久しい。その原因は府市の二重行政にあるとして、広域行政を府に集約し、身近な住民サービスは特別区が担う。大胆に都市構造を変えることで無駄を省き、大阪を活性化させるとする都構想には期待も大きい。

しかし、具体的な中身では疑問や反対の声が上がる。大阪市内の24区を5つの特別区に再編する区割り案には地域住民から異論が噴出し、区によって税収が大きく異なることから住民サービスに格差が生じることも懸念される。

また、都構想ではコスト削減などのメリットが大きいとされるが新庁舎建設などかえってコスト増になるとの見方がある。大阪が「都」を名乗ることには疑問の声もある。

制度設計を行う法定協議会で協議が行き詰まると、橋下市長は反対する野党会派のメンバーを強引に排除した。議会でも対立するばかりで、論点を明確にして議論が尽くされたとは言い難い。

一方、昨年10月の府市両議会で協定書議案に反対した公明党は衆院選後、住民投票実施には協力すると方針転換した。このため、ほぼ同じ協定書議案が再提出され可決されることになったが、住民投票では従来通り反対するというのだから分かりにくい。

産経新聞社が行った世論調査では、都構想についての橋下市長の説明を70・1%が「十分ではない」と答えた。法定協議会での議論も68・9%が「十分ではなかった」としている。

住民投票で都構想が賛成多数となった場合、後戻りはできない。橋下市長にはさらに丁寧な説明を求めたい。反対する野党会派は対案を出すべきだ。

有権者も大阪の未来を選択する自覚を持って住民投票に臨まなければならない。

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