沖縄との対話 首相側から呼びかけを

朝日新聞 2015年03月14日

辺野古移設 作業を止めて対話せよ

「海の掘削は、沖縄の心にナイフを突き刺されたようなもの」。沖縄県名護市辺野古で、市民の一人はそう抗議した。

米軍普天間飛行場の移設に向け、政府が海底を掘って地質を調べるボーリング作業を再開した。昨年夏に中断していたもので、この作業を経て今夏にも埋め立て工事に突き進む構えだ。

移設に反対している翁長雄志知事の就任後、初の大きな動きであり、知事は「県民に説明がない中で物事を進めるのは許せない」と反発した。

一方の政府では、菅官房長官が「法制に基づいて手続きを行っている。粛々と工事を進めるのは当然じゃないか」と強硬姿勢を崩さない。中谷防衛相はきのう、「こちらから(知事に)会う考えはない」と発言し、異様な対立状態に陥っている。

確かに、仲井真弘多・前知事は埋め立てを承認した。だが、その判断に納得できない県民が選挙で知事を交代させ、移設反対の意思を明示したのだ。

翁長知事を無視し続ける政府の姿勢は頑迷というほかない。政府と沖縄県の対立をこじらせることは、国と地方の関係や、安全保障を考える上でも、決して望ましいことではない。

米軍の対応もおかしい。海底の環境が損なわれた疑いがあるため、県が立ち入り禁止区域での調査許可を求めたが、米軍は「運用上の理由」で拒んだ。

この海域では、海上保安庁など政府の船舶は往来している。なのになぜ、県の調査船だけが支障となるのか。県が米軍に不信感を抱くのも無理はない。

県が調査することになったのは、沖縄防衛局が岩礁破砕の許可区域外に巨大なブロックをいくつも沈め、サンゴなどを壊した可能性があるからだ。

この海域は埋め立て予定地の周辺部で、工事完了後もサンゴ礁などはそのまま残る。県が水産資源の保護策や環境保全策をとるのは当然だろう。

ましてやこの海域は、沖縄の海岸の中でわずかに残った貴重なサンゴ礁の海。ジュゴンが回遊し、近年、新種の甲殻類なども相次いで見つかっている。

翁長知事は、前知事の承認を検証する県の第三者委員会の審査が終わるまで、作業を停止するよう政府に求めている。ここは政府が提案を受け入れて作業を中止し、県との対話による関係修復に乗り出すべきだ。

政府も米軍も、長年、重い基地負担に苦しむ沖縄県民の心をこれ以上傷つけてはならない。民意を重く受け止められない政府の存在は、国民全体にとっても不幸だ。

毎日新聞 2015年03月14日

沖縄との対話 首相側から呼びかけを

防衛省は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査を半年ぶりに再開した。辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)知事ら沖縄の声に耳を傾けようとせず、調査を強行する政府の姿勢は、極めて残念だ。

読売新聞 2015年03月13日

辺野古調査再開 理解得ながら移設を進めたい

地元関係者の理解を得る努力を粘り強く続けながら、米軍普天間飛行場の移設を着実に進めることが大切である。

移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部で、防衛省が、海底地質のボーリング調査を再開した。調査は昨年8月に始まり、台風の影響や知事選への配慮から9月以降、中断していた。

政府は、代替施設の本体工事を今夏にも開始する予定だ。2022年度の完成を目指している。

住宅密集地にある普天間飛行場と異なり、移設先は市街地から遠いため、騒音の影響や重大事故の危険性が格段に小さい。

中国の海洋進出などで、在沖縄米軍の重要性は増している。

基地負担の軽減と米軍の抑止力維持を両立する観点で、辺野古移設は最も現実的な近道である。

昨年11月に初当選した翁長雄志知事は、調査再開について「大変遺憾だ。あらゆる手法を駆使し、新基地を造らせない」と語った。それなら、辺野古移設以外の方法で、県民の負担をどう軽減するのか、説明する必要があろう。

政府と県は、調査海域のブイ(浮標)を固定する防衛省のコンクリート製アンカーの設置を巡って、対立している。

県は、アンカーが無許可で設置され、サンゴ礁の一部を損傷した、と主張する。翁長知事は、工事に伴う岩礁破砕許可の取り消しを示唆し、政府をけん制している。

防衛省は、昨年6月に県からアンカー設置に関する許可は不要と回答されたため、許可申請しなかった、と説明する。菅官房長官は「アンカー設置は県の了解を得た上で行っている」として、県の対応を批判している。

防衛省は、アンカー設置に必要な手続きを踏んでおり、問題はなかろう。県側に丁寧に説明を尽くすことが求められる。

県は今年1月、仲井真弘多前知事が政府の埋め立て申請を承認した過程を検証する第三者委員会を設置した。検証終了までの調査中止を防衛省に要請したが、要請に法的根拠はなく、無理がある。

翁長知事には、辺野古移設を阻止するとの公約を掲げた以上、様々な手段で代替施設の建設を妨害せざるを得ない事情があろう。

しかし、法律に基づく適正な工事を覆すことは許されないし、妨害にもおのずと限界がある。

工事が遅れれば、普天間飛行場の危険な現状がそれだけ長く続く。政府と歩み寄り、接点を探る選択肢はないのか。翁長知事は、冷静に考えてもらいたい。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2127/