ラグビーW杯 まず釜石の復興が前提だ

毎日新聞 2015年03月04日

ラグビーW杯 競技場を満員にしよう

アジアで初開催となる2019年の第9回ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開催地が決まった。翌年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えており、相次ぐ世界規模のスポーツイベントが社会や地域に与える影響は大きい。課題山積だが、球技でもあり格闘技でもあるラグビーの魅力を伝え、競技場を満員にしたい。

産経新聞 2015年03月04日

ラグビーW杯 まず釜石の復興が前提だ

2019年に日本で開催されるラグビー・ワールドカップ(W杯)の試合会場が決まった。

東京、札幌、神戸、福岡など全国12会場のうち大会を象徴するのは、岩手県釜石市の会場になるだろう。

かつて新日鉄釜石が日本選手権7連覇を飾ったラグビーの町であるとともに、東日本大震災の津波で多くの犠牲者を出し、復興途上にある被災地でもある。

W杯招致に歓喜する関係者がいれば、「ラグビーの前にやることがあるだろう」と横を向く住民も少なくない。いまも仮設住宅が並ぶ光景は、復興が順調に進んでいるとの印象を持てない。

まず、釜石市民が心からW杯を楽しめるかどうかで、大会の成否は決まる。その先に、20年東京五輪の成功もあるはずだ。

新日鉄釜石のV7時代、凱旋(がいせん)パレードに町は沸き、沿道を大漁旗が埋めた。「鉄と魚とラグビーの町」だった。やがてラグビー部は解散したが、後継のクラブチーム、釜石シーウェイブス(SW)が町の象徴となった。

震災時には外国人選手らも町を離れず、重たい援助物資をパス練習のように搬送した。被災した施設の老人を、その怪力で車いすごと持ち上げて運んだ。

町の人から「ボランティアもいいけど、SWにはラグビーで元気づけてほしい」といわれて練習を再開した。クラブの存続を悩んだこともあったが、今季はついに、トップリーグとの入れ替え戦に進出した。

肉親を津波で亡くした女性がクラブの応援に誘われて「震災後初めて大きな声を出せた」と喜び、「ラグビーっていいね。皆で前に進む競技だから」と話すのを聞いたこともある。

ただ、両手(もろて)を挙げて喜べるほど復興は進んでいない。津波で被災した鵜住居地区に新設する復興スタジアム(仮称)の工事で、復興にかかる資材や工賃の値上がりを心配する人もいる。

W杯の準備が復興の妨げになるような事態は許されない。

必ず大会が復興に寄与すべく、国や自治体、スポーツ界も工夫を凝らしてほしい。

19年には、W杯の熱戦が繰り広げられる釜石のスタンドが笑顔であふれ、大漁旗が振られる活況がみたい。これが実現して初めて、招致の成功を喜べる。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2110/