川崎の中1殺害 少年は救えなかったのか

朝日新聞 2015年02月28日

中1殺害事件 なぜ異変を見逃したか

なぜ、13歳の命を守れなかったのだろう。

川崎市で中学1年の上村(うえむら)遼太さんが殺された事件で、10代の3人が殺人容疑で逮捕された。

上村さんは未明に河原で暴行を受け、首を何カ所も切られて命を絶たれた。どれほどの恐怖と苦しみを味わったことか。

周りが異変に気づく契機はいくつもあった。学校、行政、地域はなぜあと一歩踏み出せなかったのか。そのことが悔しい。

まず不登校だ。彼は冬休み明けから欠席するようになった。

川崎市教育委員会によると、担任教諭は自宅や母の携帯に30回以上電話し、5回家庭訪問していた。本人とは1回電話で話したが、会えなかったという。

彼は昨年の夏休み過ぎから部活動を休み始めていた。学校は、他校の生徒たちと一緒にいる姿を把握していたという。だが、暴力を受けた事実は知らなかったとしている。

市教委の発表からは、学校の組織としての対応が見えてこない。学校と警察、教委が集まる会合でも、名前を伏せて「不登校の子がいる」と報告しただけだったという。これでは情報交換になっていない。

思春期の子が気持ちを打ち明けるのは、教師や親より同じ世代の友達であることが多い。

今回も友人が1カ月前、目の周りに大きな黒いあざができた上村さんに会い、「殴られた」と聞いていたという。「柄の良くない人と遊んでいるのを見た」という生徒もいる。

子どもたちがこうした話を、そっと寄せる関係が、教員や保護者、地域の大人との間にあったなら、と残念でならない。

彼は5人きょうだいで一昨年秋、転校してきた。母が家計を支えていた。島根県の島の港から「遼太頑張れ」の横断幕を掲げた数十人の子たちに送り出されていた。都会に来た彼の居場所はどこにあったのだろう。

ケアを要する子どもは少なくない。だとしても彼の場合、もっと周りに家庭ごと支える視点が必要だったのではないか。

市教委は市内全区にスクールソーシャルワーカーを置いている。家庭や地域など環境に働きかけて子どもを支える役目だ。だが学校は市教委に派遣を求めていなかった。学校と市の福祉部局、児童相談所などの連携のあり方も問われる。

文部科学省は学校や教委の対応を検証する会議を設けた。経緯を公表し再発防止策を打ち出してほしい。全国の学校や地域は自分ならどうするか考えてもらいたい。大人が13歳の死を無にしない道は、それしかない。

読売新聞 2015年03月03日

川崎・中1殺害 少年法の在り方も議論したい

あまりに痛ましい。

川崎市の中学1年生、上村遼太君(13)が多摩川の河川敷で、遺体で見つかった事件だ。

神奈川県警は17~18歳の少年3人を殺人容疑で逮捕した。容疑を否認していたリーダー格の18歳の少年は、殺害を認める供述を始めたという。

この少年は以前、上村君に暴行を加え、その話を聞いた上村君の友人らから謝罪を求められたとされる。少年は「チクられて頭にきた」と話している。上村君を逆恨みしたとすれば、身勝手で短絡的な犯行と言うほかない。

上村君の首には、刃物による複数の刺し傷があった。腕や足にもあざができていた。なぜ、これほど残忍な行為に及んだのか。県警はしっかりと解明してほしい。

罪を犯した20歳未満の少年については、成人とは異なる手続きが少年法で定められている。

刑事裁判で審理する重大事件では、懲役5~10年といった不定期刑が言い渡されることが多い。更生の見込みがあれば、刑期の範囲内で早期の出所が可能になる。少年の実名や顔写真の報道は禁じられている。

少年法の主眼が、少年の保護と更生にあるためだ。

選挙権年齢について、20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案が今国会に提出され、成立する見通しだ。上川法相は民法の成人年齢の18歳への引き下げも検討する意向を示している。

事件後、与党幹部は「少年法の年齢も合わせるべきだとの議論も出るだろう」と発言している。

少年による凶悪事件は後を絶たない。犯罪抑止の観点からも、少年法の在り方を議論する時期にきているのではないか。

残念なのは、上村君が追い込まれていた状況を、周りの大人が察知できなかったことだ。冬休み明けから不登校になり、担任の教師が本人や家族との接触を試みたものの、悲劇を防げなかった。

子供がトラブルに巻き込まれないようにするには、学校や家庭、警察などが情報交換を密にすることが欠かせない。今回のケースで、連携は十分だったのだろうか。

捜査を通じ、上村君が無料通話アプリ「LINE」を使って、少年らと連絡を取っていた実態が浮かんだ。スマートフォンの普及で、子供同士のやり取りが周囲の目に触れにくくなった面がある。

文部科学省は省内に事件の対策会議を発足させた。警察など関係機関も対応を検証し、再発防止につなげねばならない。

産経新聞 2015年02月28日

川崎の中1殺害 少年は救えなかったのか

川崎市の中学1年生、上村遼太さんは、首を切られるなど全身に傷を負い、多摩川の河川敷に捨てられていた。殺人容疑で、18歳の少年らが逮捕された。

亡くなった少年がかわいそうでならない。13歳の少年を救うことは本当にできなかったのか。

不登校を心配した担任教師は30回以上、自宅訪問や電話連絡を試みていた。事件の4日前には「そろそろ学校へ行こうかな」の返事ももらっていた。安易に責める気にはなれない。

グループを抜けたがっていた少年から「殺されるかもしれない」と聞いた友人もいる。事件前にも暴行を受け、顔面を腫らしていたことを知る者もいた。だが学校や警察へ訴えることはなかった。

彼らを責めることもできない。不良グループへの恐怖もあったろう。だが今となっては、やはり大人に相談してほしかった。

地元警察や市教育委員会は、少年の不登校を情報として知っていた。だが暴行を受けているとの報告はなく、対応は取れなかった。もっと緊密に学校や地域と情報を共有できていれば、違う結果があったかもしれない。

すべて後悔は先に立たずだが、誰かがもう少し早く、もう一歩前に踏み出していれば、彼の命を救えた可能性がある。そう思うと悔しくてならない。

上村さんは島根県の隠岐諸島西ノ島で育った。一昨年7月、川崎に引っ越すため島を離れる際には約70人の友人らが港に集まり、横断幕と紙テープで送り出したのだという。大変な人気者だったのだろう。残された、屈託のない笑顔の写真が痛々しい。

集団による少年犯罪は時に、その未成熟や無知が手伝い、信じ難いほど残酷なものとなる。

集団の中の地位を守るため、残虐性を競い合うような事例も過去にあった。携帯電話や無料通信アプリが大人の目や耳を遠ざけている側面もある。

警察にはまず、悲惨な事件の全容を解明してほしい。教委と学校には事件に至る経緯を詳細に検討し、公表してもらいたい。

いじめや暴力に悩む君には、恐れず学校や警察の大人に相談してほしい。子供を守るのは大人の責任だ。事件の芽に気づいた人は、通報や通告をためらわないでほしい。こんな悲劇を一件でも減らすため、すべきことをやろう。

ガガミラノ グリーン - 2015/05/08 19:40
【ガガミラノ スクエア http://arema.cz/gagamilano-clock-pair-85rd.html 】の商品でセレブになりましょう!
<a href="http://btsniezka.com.pl/gagamilano-watch-copy-50sn.html" >ガガミラノ グリーン</a> [url=http://btsniezka.com.pl/gagamilano-watch-copy-50sn.html]ガガミラノ グリーン[/url]
この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2106/