なぜ、13歳の命を守れなかったのだろう。
川崎市で中学1年の上村(うえむら)遼太さんが殺された事件で、10代の3人が殺人容疑で逮捕された。
上村さんは未明に河原で暴行を受け、首を何カ所も切られて命を絶たれた。どれほどの恐怖と苦しみを味わったことか。
周りが異変に気づく契機はいくつもあった。学校、行政、地域はなぜあと一歩踏み出せなかったのか。そのことが悔しい。
まず不登校だ。彼は冬休み明けから欠席するようになった。
川崎市教育委員会によると、担任教諭は自宅や母の携帯に30回以上電話し、5回家庭訪問していた。本人とは1回電話で話したが、会えなかったという。
彼は昨年の夏休み過ぎから部活動を休み始めていた。学校は、他校の生徒たちと一緒にいる姿を把握していたという。だが、暴力を受けた事実は知らなかったとしている。
市教委の発表からは、学校の組織としての対応が見えてこない。学校と警察、教委が集まる会合でも、名前を伏せて「不登校の子がいる」と報告しただけだったという。これでは情報交換になっていない。
思春期の子が気持ちを打ち明けるのは、教師や親より同じ世代の友達であることが多い。
今回も友人が1カ月前、目の周りに大きな黒いあざができた上村さんに会い、「殴られた」と聞いていたという。「柄の良くない人と遊んでいるのを見た」という生徒もいる。
子どもたちがこうした話を、そっと寄せる関係が、教員や保護者、地域の大人との間にあったなら、と残念でならない。
彼は5人きょうだいで一昨年秋、転校してきた。母が家計を支えていた。島根県の島の港から「遼太頑張れ」の横断幕を掲げた数十人の子たちに送り出されていた。都会に来た彼の居場所はどこにあったのだろう。
ケアを要する子どもは少なくない。だとしても彼の場合、もっと周りに家庭ごと支える視点が必要だったのではないか。
市教委は市内全区にスクールソーシャルワーカーを置いている。家庭や地域など環境に働きかけて子どもを支える役目だ。だが学校は市教委に派遣を求めていなかった。学校と市の福祉部局、児童相談所などの連携のあり方も問われる。
文部科学省は学校や教委の対応を検証する会議を設けた。経緯を公表し再発防止策を打ち出してほしい。全国の学校や地域は自分ならどうするか考えてもらいたい。大人が13歳の死を無にしない道は、それしかない。
<a href="http://btsniezka.com.pl/gagamilano-watch-copy-50sn.html" >ガガミラノ グリーン</a> [url=http://btsniezka.com.pl/gagamilano-watch-copy-50sn.html]ガガミラノ グリーン[/url]