竹島の日 国民運動へ「政府主催」に

読売新聞 2015年02月22日

竹島の日10年 「領土」解決に重要な啓発活動

領土問題の解決には、外交交渉に加え、国民の関心を高め、問題を正しく理解してもらう国内啓発活動が欠かせない。

島根県などが22日、松江市で第10回「竹島の日」記念式典を開催する。

島根県は2005年に条例を制定し、翌年以降、1905年に竹島が県に編入された2月22日に式典を開いてきた。竹島に関する調査研究活動を続け、解説書や記念誌も製作した。その地道な努力に敬意を払いたい。

政府は、領土問題担当の松本洋平内閣府政務官を式典に参加させる。12年まで政府代表は出席していなかったが、安倍政権の発足後、政務官の派遣は3年連続だ。

自民党は12年衆院選で政府式典の開催を公約したものの、韓国への配慮から見送っている。

13年2月には内閣官房に領土・主権対策企画調整室を設置し、昨年6月から竹島関係の資料収集を続けている。領土教育や対外発信にも力を入れたい。より多くの人々が竹島問題の歴史的経緯や現状を知ることが大切である。

竹島は、江戸時代から日本が漁労地として利用してきた。戦後のサンフランシスコ講和条約でも日本が放棄する領土に含まれなかった。だが、条約発効直前の52年1月、韓国は李承晩ラインを一方的に設定し、不法占拠している。

昨年6月と11月にも、日本の中止要求に応じず、周辺海域で軍事訓練を強行した。

日韓関係は停滞の度を深めている。朴槿恵大統領が、慰安婦問題の解決が前提条件とし、首脳会談をかたくなに拒否しているためだ。

今月中旬、自民党の二階総務会長が韓国を訪問し、関係改善を呼びかける安倍首相の親書を手渡した。朴氏は「元慰安婦が生きている間に問題を解決したい」と繰り返すのみだった。その主張は依然として、具体性に欠けている。

アジア通貨危機を踏まえて01年に締結された日韓通貨交換(スワップ)協定も、23日に期限切れのために終了する。

韓国の外貨準備高が増え、協定の必要性は低下したとはいえ、李明博前大統領の竹島訪問強行などに伴う日韓関係の悪化が背景にあるのは間違いあるまい。

日中韓当局は、3月下旬に3か国外相会談を韓国で開く方向で調整している。6月22日に日韓基本条約署名50周年を控え、関係修復への契機となる可能性もある。

領土問題で対立しても、対話や実務的協力を重ね、双方が歩み寄って良好な関係を構築したい。

産経新聞 2015年02月22日

竹島の日 国民運動へ「政府主催」に

2月22日は竹島の日だ。返還運動に取り組む島根県が制定してから、10回目を迎えた。

日本固有の領土である竹島(同県隠岐の島町)は、韓国に不法占拠されている。返還を求め活動を続ける県や町の関係者の努力に感謝したい。

だが、この領土問題を国民はどれだけ認識しているだろうか。昨年12月公表の内閣府世論調査で、竹島に関心がある人は66・9%で、前年より4・2ポイント減ったことは気がかりだ。

松江市で開かれる県主催の式典には、安倍晋三政権から松本洋平内閣府政務官が出席する。3年連続で政務官を派遣しているが、それで十分だと考えているのか。

北方領土の日(2月7日)は政府が制定し、東京での返還要求大会には首相や関係閣僚が出席する。これに比べ竹島を軽視する印象を内外に与えてはなるまい。

日本が閣議決定で竹島を領土編入した明治38年当時、どの国からも抗議はなかった。遅くとも17世紀初頭から、日本人は漁業などにこの島を使ってきた。

連合国による占領期に、韓国は領有権を主張した。しかし米政府は昭和26年8月、ラスク国務次官補の書簡で日本領との認識を韓国に伝えている。同年9月調印のサンフランシスコ平和条約も、竹島放棄を求めていない。国際社会は日本領と認めていたのである。

ところが、韓国は27年1月、沿岸水域の主権を唱えるため日本海に「李承晩ライン」を一方的に設定し、竹島をその中に含め日本の漁船を拿捕(だほ)した。同条約が発効(27年4月)し日本が再独立する直前の出来事である。

海上保安庁や県は28年6月、調査上陸して領土標識を建て、韓国漁民を退去させたが、翌月には竹島に上陸した韓国側が海保の巡視船を銃撃する事件が起きた。

29年8月には、巡視船が約200発もの銃撃を浴びた。韓国は今も、日本の抗議を無視して竹島周辺で軍事演習を行っている。

こうした事実、歴史を政治家も国民も共有する形で、安倍政権はオールジャパンで返還を求めていく態勢をとってほしい。4月から使用が始まる小学高学年の社会科教科書で、初めて「日本固有の領土」と明記されたのは前進だ。

県独自の竹島の日を政府制定の日に格上げし、式典を政府主催にするなど、目に見える取り組みの強化が急務である。

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