ギリシャ支援 EUは現実的に譲歩を

朝日新聞 2015年02月18日

ギリシャ支援 EUは妥協の糸口示せ

欧州連合(EU)が求める緊縮財政に従うのか、従わないのか。財政再建中のギリシャとEUの協議で、対立が険しさを増している。

現在の支援策は、今月末までにギリシャが新たな緊縮策を実行することが条件になっている。しかし、1月の総選挙の結果、ギリシャでは反緊縮を掲げる政権が誕生し、EUとの協議に入ったが、難航したまま期限を迎えようとしている。

それまでに協議がまとまらなければ支援が打ち切られ、ギリシャは資金繰りに行き詰まりかねない。最悪の事態を避けるため、双方ともに柔軟な姿勢で交渉に臨むべきだ。

2009年に巨額な財政赤字の隠蔽(いんぺい)が発覚したギリシャは、EUなどに支援されながら、財政再建を進めてきた。緊縮財政のための年金カットや増税に対し、国民の不満は強く、1月の政権交代につながった。

新政権は緊縮策の緩和を求めている。これに対してEUは、緊縮策を条件とする現在の支援策の延長を主張している。条件の見直しについて話すのは、その後という姿勢だ。

16日に開かれた財務相会合でも意見の対立は解けず、交渉は決裂した。

支援する以上、財政規律が守られなくては困る。EU各国がそう考えるのは理解できる。しかし、反緊縮を掲げて政権が誕生した経緯を踏まえて支援策をまとめることを考えるなら、まず、EUが妥協の糸口を示してはどうか。

新政権も、緊縮策の放棄を求めているわけではない。基礎的財政収支の黒字化目標(対GDP比、16~17年)について、4・5%から1・5%程度に引き下げることを求めている。低所得者の年金の追加削減や付加価値税の再増税を避けることを狙いにする措置だ。

失業率が今も約25%にのぼることを考えれば、過大な要求とは言えまい。

もちろん、新政権の要求にも問題はある。例えば、支援の条件となっている、空港の民営化を一方的に見直す、としたことだ。そうした対応がEU側の不信を招いたのは否めない。

今回の協議で何を優先するのか。新政権も財政再建や構造改革に取り組む姿勢を示しながら要求を絞るべきだろう。

ギリシャにとってもEU各国にとっても、最優先するのは、ギリシャがユーロ圏の一員として再建を果たすことだろう。

双方がそれに取り組む意思を明確にしたうえで、現実的な妥協点を探ってほしい。

毎日新聞 2015年02月18日

ギリシャ支援 EUは現実的に譲歩を

2月末に期限を迎えるギリシャ支援の今後について協議したギリシャとユーロ圏の財務相会合は、決裂に終わった。溝は埋まるどころか、関係の険悪化さえ懸念され、緊迫度が増している。

読売新聞 2015年02月18日

ギリシャ支援 危機回避へ延長が不可欠だ

欧州発の危機再燃を回避できるか。事態は緊迫の度を増している。

ギリシャ向け金融支援策の継続問題を協議していたユーロ圏19か国財務相会合が、物別れに終わった。

欧州連合(EU)側は、緊縮財政を前提とした現行の枠組みを6か月延長するよう主張した。

これに対し、ギリシャのバルファキス財務相は「現在の支援策はギリシャ経済の安定に失敗した」と述べ、支援延長を拒否した。

EUは20日にも再び会合を開いて、合意を目指す考えだが、ギリシャと他の各国との意見の隔たりは大きい。2月末に期限を迎える支援策が続けられるかどうか、予断を許さない状況だ。

支援が打ち切られると、ギリシャの資金繰りが行き詰まり、国債のデフォルト(債務不履行)などのリスクが一気に高まる。

再び債務危機が深刻化すれば、ギリシャ経済が破綻するだけでなく、欧州全体が苦境に陥ることは避けられない。世界経済に重大な打撃を与えないためにも、支援策の延長が不可欠だ。

ギリシャは、放漫財政のツケを他国の財政資金で穴埋めしてもらっている以上、緊縮財政の痛みを甘受すべきである。

ギリシャのチプラス首相率いる急進左派連合は、反緊縮財政を旗印に1月の総選挙で勝利し、政権を奪取したばかりだ。公約に基づき、EU側の求める緊縮策をかたくなに拒まざるを得ないのだろう。

だが、ギリシャ経済は長年にわたり、観光や農業などを除けば有力な産業がなく、労働人口に占める公務員の比率が高い。

こうした財政出動に依存した経済運営を続けた結果、社会の活力は失われ、歳出増加と税収低迷によって債務は膨張を続けた。

ギリシャを再生するには、EUなどの支援プログラムに沿って財政規律を立て直すとともに、非効率な経済構造を抜本的に改革する以外に、道はあるまい。

欧州の一部の国では、ギリシャと同様に「反緊縮」を掲げる政党が支持を広げている。

EUは、財政規律の緩みが南欧諸国などに波及する事態を懸念して、強い態度でギリシャに緊縮路線の堅持を迫っている。

悩ましいのは、協議が完全に決裂した場合、ギリシャのユーロ圏離脱が現実味を帯びることである。ユーロ体制の信認が揺らぐ事態は避けなければならない。

EUは、現行の枠組みを基本としつつ、返済条件の緩和などの妥協策も模索すべきだろう。

産経新聞 2015年02月19日

ギリシャ支援 EUの理解得る現実策を

財政再建中のギリシャ支援をめぐり、同国と欧州連合(EU)の交渉が大詰めを迎えている。

2月末で期限が切れる支援策の延長をEUが求めているのに対し、厳しい緊縮財政を課す支援に反発してきたギリシャが新たな支援の枠組みを要求しているためだ。

交渉が決裂して支援が打ち切られた場合、3月にもギリシャの資金繰りが行き詰まる恐れがある。ギリシャの債務不履行やユーロ離脱という最悪のシナリオを回避するため、ぎりぎりまで交渉を重ねてもらいたい。

EU側の歩み寄りも必要だが、それ以上に問われるのはギリシャ側の姿勢である。ギリシャは19日に延長を申請するが、各国の理解が得られる現実的な策を示す必要がある。欧州危機の再発は起こさない、という自覚を求めたい。

16日のユーロ圏財務相会合は双方の溝が埋まらず、物別れに終わった。EU側は、ギリシャが20日までに支援策の延長を申請するよう通告を行っている。

ギリシャ側には現行支援の終了を「成果」としたい立場がある。緊縮策や債務返済を緩和する新たな枠組みを作るまでの間は、つなぎ融資で急場をしのぐ考えだ。

反緊縮路線で1月の総選挙に勝ったチプラス政権が、安易に妥協できない事情はわかる。失業率は約25%に達し、年金減額や増税に伴う「緊縮疲れ」もある。国民の不満は放置できる状況にない。

その点、緊縮の度合いが厳しすぎるなら、支援条件の変更は確かに必要だ。だがそれは、現行の枠組みを延長した後でも可能だ。大切なのは、双方が支援条件で折り合い、ギリシャ経済や財政の持続可能性を高めることにある。

チプラス政権には、放漫財政で破綻のふちに追い込まれたギリシャの再建が欧州諸国の国民に支えられていることを重く受け止めてもらいたい。強気一辺倒では事態を打開できまい。国民への丁寧な説明で理解を促すべきだ。

もちろん、EU側もギリシャ支援に大きな責務を負っている。

ユーロ圏が加盟国に財政規律を求めるのは、共通通貨を持ちながら国ごとに財政が異なる構造問題を乗り越える知恵だ。一国の国内事情で結束が揺らぎ、ユーロの信認に疑義が生じるようでは、統合の推進力も失われよう。欧州の混乱は、世界経済の大きなリスクとなることを忘れてはならない。

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