3日間にわたる衆参両院での各党代表質問が終わった。
政策課題では、民主党が目玉施策と位置づける子ども手当や、米軍普天間飛行場の移設問題などが論戦のテーマとなった。
しかし、質疑は小沢民主党幹事長の資金管理団体による土地購入事件に集中し、政策論議はすっかりかすんでしまった。
自民党の谷垣総裁は、民主党内から小沢氏擁護論や、検察批判が噴き出している現状をとらえ、鳩山政権は「小沢独裁に堕した」と批判した。
首相は、小沢氏が党や政府を支配することは一切ないと反論し、党側に「検察が捜査中であり、冷静に見守るように」と指示したことを強調した。
だが、報道機関への検察の情報漏洩の調査や、捜査の全面可視化を法案にしようとする動きは続いている。政権トップの威令が届いていないのではないか。
首相の指導力に疑問符がつくようでは、普天間問題などの懸案について「自分で必ず決める」と言われても、空疎に響くだけだ。
小沢氏をめぐる疑惑に党として自浄能力を発揮できるかどうか。それは、鳩山政権の統治能力にかかわる問題である。
首相は答弁で、「同志の潔白を信じるのは当然」と繰り返した。ならば、国会への関係者招致や党の独自調査に積極的に取り組み、「潔白」を証明したらよい。
ところが、関係者招致には「国会で議論してほしい」と言うのみだ。首相が民主党代表として決断すれば、すぐ実現することだ。
党の独自調査も、「解明は検察にゆだねるべきだ」という答弁にとどまった。
結局、小沢氏の威を恐れて何もしないということではないか。そのような姿勢が、「小沢独裁」との見方を招いていることを自覚してほしい。
石川知裕衆院議員を含めて小沢氏の元秘書ら3人が逮捕されている。小沢氏には、検察の捜査とは別に、説明責任や政治的、道義的な責任がある。
最近、前原国土交通相や枝野幸男・元政調会長らが小沢氏の進退にようやく言及し始めたが、党内ではなお、圧倒的に少数派だ。
鳩山首相はもちろん、民主党議員も、なぜ「小沢独裁」と指摘されたのか、もっと深刻に受け止めるべきだろう。
自民党から「自由がないのが民主党」と揶揄されないように党の体質を改める必要がある。
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