日本サッカー協会が、日本代表チームのハビエル・アギーレ監督を任期途中で解任した。
アギーレ氏には2011年5月のスペインリーグ監督時代の試合を巡って、八百長疑惑が出ていた。地元検察当局の告発が裁判所に受理されたことを受けての決断である。
アギーレ氏は潔白を主張しており、まだ疑惑の段階だが、今後、捜査は本格化する。
6月からは、次のワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア予選が始まる。
監督の不在によって、チームづくりや代表活動に支障が出かねないことを考えれば、解任を決めたタイミングも含め、妥当な判断だ。
協会の大仁邦弥(だいにくにや)会長は「監督に選んだことは間違いではなかった」と話している。選考にあたった担当者の責任は問わない考えを示した。
昨年8月の契約時に、八百長疑惑を把握することや、今回の告発受理を予見することは難しかったかもしれない。
しかし、アギーレ氏との契約交渉を担当した原博実専務理事は「スペインやイタリアではこういう(八百長疑惑の)話は常に出てくる」という認識を示していた。
さらに、八百長疑惑がスペインで報じられたのは9月末にさかのぼる。協会はすぐに担当者を現地に派遣することもしなかった。その後の4カ月間、調査や情報収集に手を尽くしたとは思えない。
グローバル化が進み、スポーツでも情報は貴重な武器になる。欧州を中心としたサッカー市場に目を配りつつ、情報を集める態勢やネットワークづくりが不可欠だ。今回のようなリスクがあることを、協会は常に想定しておく必要がある。
監督解任の影響は大きい。
W杯予選に向けて貴重な強化の場だったアジアカップ直後の監督交代で、チームづくりは振り出しに戻る。
そもそも、昨夏のW杯ブラジル大会で惨敗した検証も十分にされないまま、監督に迎えられたのがアギーレ氏だった。
いったんそこまで立ち返って、後任監督の人選や契約交渉を進めるべきだろう。
疑惑発覚後の対応について、大仁会長は自身を含めた役員や担当者の処分を協会理事会にはかる、と明かした。
そうであれば、選任過程やその後の対応策を細かく検証し、可能な限り明らかにすべきだ。その上で、協会の態勢を根本から見直し、今後の教訓として生かしてほしい。
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