強引な拡大路線が招いた破綻劇と言えよう。
国内航空会社3位のスカイマークが、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。
今後は裁判所の管理下で、経営再建を目指す。コスト削減のため路線や便数を絞り込み、運航を継続していく方針という。
突然の経営破綻だけに、社内の動揺も大きいだろう。現場の混乱を防ぎ、安全運航に万全を期さなければならない。
スカイマークは、独立系航空会社として1998年に就航した。全日本空輸と日本航空の2強に対抗する「第3極」を育て、競争を促進する。こうした政府の航空自由化政策に沿った設立だった。
「大手の半額」という低料金を売り物に注目されたが、値下げ競争で収益は低迷した。
2004年にIT企業創業者の西久保慎一氏が社長に就任し、業績を盛り返したものの、格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入などで、再び苦境に立たされた。
LCCとの差別化を狙った座席の広い中型機への切り替えは、乗客数の伸び悩みで裏目に出た。
国際線への参入のため一括契約したエアバスの超大型機6機の購入も、支払いのメドが立たなくなり、7億ドル(830億円)の違約金を請求される事態となった。
6機の価格は、年間売上高の2倍と巨額だった。ワンマンとも評される西久保氏ならではのトップダウンの判断だったが、見通しの甘さは否めまい。
当面は、国内の投資ファンドが資金繰りなどを支える。だが、本格的な再建には、他の航空会社の協力が欠かせない。
スカイマークは、羽田空港に36の発着枠を持つ。乗客の多い「ドル箱路線」の増便が期待できることから、全日空や日航に加え、海外勢がスカイマーク支援に名乗りを上げる可能性もあろう。
ブランド力に勝る大手と、安さが人気のLCCの狭間で、スカイマークがどう活路を開くか。再生計画の実効性が試される。
スカイマーク破綻に、航空行政も有効な手を打てなかった。
経営改善策として、スカイマークは日航との共同運航を提案したが、公的支援で再生した日航の事業拡大につながることを理由に国土交通省は難色を示した。全日空を交えた共同運航などを模索するうちに、経営が行き詰まった。
競争促進による利便性向上と、航空会社の経営安定をいかに両立させていくか。航空行政の在り方を点検すべきだ。
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