安倍首相が「改革断行国会」と名付ける通常国会が召集された。
経済再生や安全保障体制の強化、医療・農業・雇用の改革など、多くの政策課題にどう取り組むべきか。与野党は、建設的で深みのある論戦を展開してもらいたい。
麻生財務相が今年度補正予算案に関する財政演説を行った。27日に各党の代表質問に入る。
首相は、今年も「経済最優先」の方針を掲げる。来週中に補正予算案を成立させたうえ、越年編成となった来年度予算案を2月中旬に国会に提出し、3月末までに成立させることを目指している。
景気回復への足踏み状況を早期に脱するため、予算案の成立を極力急ぐのは当然である。
予算案審議では、経済政策「アベノミクス」に加え、シリアでの邦人人質事件や戦後70年の安倍首相談話などがテーマとなろう。
人質事件では自民、民主両党が、首相、官房長官、外相の国会出席に関して、事件解決を優先することで一致した。適切な対応だ。
問題なのは、一部野党が、首相の中東訪問が事件の要因であるかのような批判をしていることだ。2億ドルの支援は人道援助が中心で国際社会も高く評価している。
非難すべきは、過激派組織「イスラム国」側である。与野党は党利党略を排し、結束する姿を海外に発信することが重要だ。
安倍談話に関し、首相が、過去の植民地支配や侵略に対する反省やお詫びなど、戦後50年の村山談話の表現にこだわらないととれる考えを示したのには疑問が残る。首相の真意は不明だが、野党は反発し、公明党も懸念を示した。
戦後の平和国家としての歩みや今後の世界平和への積極的な貢献に言及し、未来志向の戦後70年談話とすることに異論はない。
だが、歴代内閣の歴史認識を基本的に踏襲しないと、国際社会に誤ったメッセージを送ることにもなろう。首相には、発言に細心の注意を払うことが求められる。
通常国会では、昨秋の臨時国会で廃案となった労働者派遣法改正案、女性活躍推進法案など100本超の法案審議が予定される。
焦点は、集団的自衛権の行使を容認した新政府見解を反映する安全保障法制の整備である。
日米同盟と国際連携を強化し、様々な危機への抑止力を高める新法制の制定は急務である。より幅広い合意形成を図りたい。
政府・与党は、その必要性を丁寧に説明し、民主、維新両党など野党との連携を模索すべきだ。
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