欧州も量的緩和 不安抱えた歴史的決定

朝日新聞 2015年01月24日

欧州経済 緩和策だけでは不十分

欧州中央銀行(ECB)が、国債などを買って市場に大量のお金を流す量的金融緩和に乗り出すことを決めた。昨年12月のユーロ圏の物価上昇率がマイナスに落ち込み、デフレを回避する必要があるからだ。しかし、金融緩和は時間稼ぎの性格が強い。加盟各国は成長を支える他の政策手段も講ずるべきだ。

量的緩和は日米英の中央銀行が採用している。ECBは昨年6月に「マイナス金利」という奇策を導入しながら、量的緩和は見送ってきた。ユーロ圏の特殊な事情があるからだ。

ユーロ加盟19カ国はそれぞれ国債を発行しており、その信用力もバラバラだ。様々な国債をどう買うべきなのか、日米英とは異なる難題があり、加盟国の賛否も割れてきた。

3月に始める量的緩和では、ECBへの出資比率に応じて各国の国債を購入。国債購入で損失が出たら2割をECB、残りの8割を各国の中央銀行が負担する。ギリシャなど財政事情が特に悪い国は、財政再建の公約を守ることなどを国債購入の条件にし、ECBがギリシャ財政をまかなうような形にならない歯止めを設けた。

国債などの買い入れ額は月に600億ユーロ(約8兆円)。期間は来年9月までだが、消費者物価上昇率が目安とする「2%弱」に届く見通しが立たなければ、その後も続ける。

量的緩和が欧州経済にどんな効果をもたらすのか。

まず、ユーロ安にはなりやすく、ドイツなどの輸出企業には追い風にはなる。輸入品の価格が上がり、物価全体を押し上げる可能性もある。

しかし、ECBが供給する資金が、企業などに流れて投資に結びつくのか、その点は不透明だ。特に企業の資金繰りが厳しい南欧は、ECBへの出資比率がドイツなどに比べて小さく、今回の緩和によるお金は回りにくい事情もある。

景気を回復させるうえで、金融緩和には限界があることは、日本の経験からも明らかだ。日本の大規模な緩和も、他の経済政策とのセットになっている。

ユーロ安の恩恵を受けている間に、欧州経済の課題とされてきた労働市場の改革などに各国は取り組まなければならない。財政で景気を刺激することも必要になるだろう。

同時に財政規律にも配慮しなければならない。量的緩和(中央銀行の国債大量購入)をやめるには、各国の財政が健全で債券市場が落ち着いている必要がある。政策を始める際には「出口」も見通しておくべきだ。

毎日新聞 2015年01月24日

欧州も量的緩和 不安抱えた歴史的決定

欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和の導入を決めた。日銀や米英の中央銀行が、国債を大量に買い入れて市場にお金を供給する量的緩和を実施する中、一線を画してきたECBだったが、デフレ懸念が広がり、毎月600億ユーロ(約8兆円)の債券を購入する歴史的決断をした。

読売新聞 2015年01月25日

欧州の量的緩和 政策協調強めてデフレ回避を

欧州経済は深刻なデフレを回避できるか。これからが正念場である。

欧州中央銀行(ECB)が、国債などを大量に買い入れる量的金融緩和策の実施を決めた。

ユーロ圏19か国の国債などを、3月から月600億ユーロ(約8兆円)のペースで買い入れる。2016年9月末まで、この政策を継続する方針で、総額1兆ユーロを超える大規模な量的緩和となる。

ECBの政策金利は、ほぼゼロの水準だが、ユーロ圏の消費者物価上昇率は昨年12月、約5年ぶりのマイナスに落ち込んだ。デフレの瀬戸際に追い込まれている。

市中に出回る資金を増やす量的金融緩和によって、局面の打開を図るのは妥当な判断と言える。

ECBの決定後、為替市場ではユーロが一時、対ドルで約11年ぶりの安値をつけた。ユーロ安が進めば、輸入物価は上昇し、デフレ圧力の緩和が期待できる。

ただ、市場などでは、量的緩和による景気浮揚効果は限られるとの見方も少なくない。

欧州主要国の貸出金利はすでに最低水準で、金利がさらに下がる余地は乏しい。追加緩和によって設備投資などの資金需要が大きく高まるかどうかは不透明だ。

無論、ECBに頼るだけでは欧州経済の本格回復は望めない。

経済力のあるドイツは、財政出動も含め、域内の需要拡大に貢献することが求められる。一方、産業の効率化が進まず、活力に乏しい南欧諸国は、規制緩和などの構造改革が待ったなしだ。

懸念材料は、ユーロ圏の経済運営を巡り、欧州各国の足並みが乱れていることである。

日米に比べ、ECBの量的緩和が「周回遅れ」となった背景には、経済情勢の違う国々の寄り合い所帯という事情があろう。

イタリアなど財政事情の厳しい国は量的緩和に前向きだったが、ドイツは国債購入が中央銀行による財政赤字の穴埋めにつながりかねないとして反対していた。

欧州経済の底上げには、各国が役割と課題を認識し、政策協調に努めることが重要だ。

ECBの量的緩和で、世界の市場のカネ余りに拍車がかかる。緩和姿勢を強める日欧と、利上げに向かう米国という、政策の方向性の違いも、一段と鮮明になる。

市場にあふれる巨額マネーの急激な動きが、市場を不安定化させるリスクは高まっている。

日米欧の金融当局は連携し、投機的な動きへの監視を強めなければならない。

産経新聞 2015年01月24日

欧州の量的緩和 金融だけで再生図れない

欧州中央銀行(ECB)が、国債を買い入れて市中にお金を供給する量的金融緩和に初めて踏み切った。デフレを防ぎ、域内経済を活性化するための政策転換だ。

世界経済にとって、欧州経済は大きなリスクになっている。低迷から抜け出すことは、ユーロ圏が果たすべき責務といえる。ECBの決断はその大きな一歩と受け止めたい。

量的緩和は域外輸出を後押しするユーロ安につながるが、金融政策に頼るだけでは真の再生は果たせまい。域内各国が成長を促す改革の手を緩めず、消費と投資を活発にすることが肝要だ。

ECBの国債などの買い入れ規模は、予想を上回る月600億ユーロとなった。ドラギ総裁は2%弱のインフレ目標達成が見込めるまで量的緩和を続けると説明した。

ユーロ圏は債務危機の峠を越した後も、ウクライナをめぐるロシアとの関係悪化なども相まって経済は成長軌道に戻っていない。物価上昇率は目標に及ばず、デフレが懸念されている。

ガガミラノ 48 - 2015/05/08 21:46
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