欧州経済は深刻なデフレを回避できるか。これからが正念場である。
欧州中央銀行(ECB)が、国債などを大量に買い入れる量的金融緩和策の実施を決めた。
ユーロ圏19か国の国債などを、3月から月600億ユーロ(約8兆円)のペースで買い入れる。2016年9月末まで、この政策を継続する方針で、総額1兆ユーロを超える大規模な量的緩和となる。
ECBの政策金利は、ほぼゼロの水準だが、ユーロ圏の消費者物価上昇率は昨年12月、約5年ぶりのマイナスに落ち込んだ。デフレの瀬戸際に追い込まれている。
市中に出回る資金を増やす量的金融緩和によって、局面の打開を図るのは妥当な判断と言える。
ECBの決定後、為替市場ではユーロが一時、対ドルで約11年ぶりの安値をつけた。ユーロ安が進めば、輸入物価は上昇し、デフレ圧力の緩和が期待できる。
ただ、市場などでは、量的緩和による景気浮揚効果は限られるとの見方も少なくない。
欧州主要国の貸出金利はすでに最低水準で、金利がさらに下がる余地は乏しい。追加緩和によって設備投資などの資金需要が大きく高まるかどうかは不透明だ。
無論、ECBに頼るだけでは欧州経済の本格回復は望めない。
経済力のあるドイツは、財政出動も含め、域内の需要拡大に貢献することが求められる。一方、産業の効率化が進まず、活力に乏しい南欧諸国は、規制緩和などの構造改革が待ったなしだ。
懸念材料は、ユーロ圏の経済運営を巡り、欧州各国の足並みが乱れていることである。
日米に比べ、ECBの量的緩和が「周回遅れ」となった背景には、経済情勢の違う国々の寄り合い所帯という事情があろう。
イタリアなど財政事情の厳しい国は量的緩和に前向きだったが、ドイツは国債購入が中央銀行による財政赤字の穴埋めにつながりかねないとして反対していた。
欧州経済の底上げには、各国が役割と課題を認識し、政策協調に努めることが重要だ。
ECBの量的緩和で、世界の市場のカネ余りに拍車がかかる。緩和姿勢を強める日欧と、利上げに向かう米国という、政策の方向性の違いも、一段と鮮明になる。
市場にあふれる巨額マネーの急激な動きが、市場を不安定化させるリスクは高まっている。
日米欧の金融当局は連携し、投機的な動きへの監視を強めなければならない。
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