民主党代表選 再編より政策を論じよ

朝日新聞 2015年01月08日

民主党代表選 白熱の議論が聞きたい

民主党代表選がきのう告示され、長妻昭元厚生労働相、細野豪志元幹事長、岡田克也代表代行の3氏が立候補した。

安倍政権の「1強」に対抗する野党第1党として、党再建の足がかりを築けるか。共同記者会見でそれぞれ、強い危機感と再生への決意を語った。

下野から2年、いつまでも意気消沈しているときではない。さらに具体的に、白熱の議論を繰り広げてもらいたい。

前代表の海江田万里氏は、民主党の「器」を壊さぬよう慎重な党運営に徹してきた。党の信頼回復は遅々として進まず、先の衆院選は11議席増の73議席にとどまった。昨年末の朝日新聞の世論調査では、自民大勝の理由として「野党に魅力がなかったから」が72%にのぼった。民主党に対する有権者の失望は根深いものがある。

その克服に向けて、今後どんな道を進むのか。党内には、自主再建派と野党再編派の二つの流れがある。

野党再編はいずれ起きるかもしれないが、それを今、民主党から仕掛けるような状況にはない。まずは、自らの立脚点をはっきりと示す。そこから再建の道筋を探るべきだ。

真っ先に問われるのは、安倍政権とは違った価値観の確立だろう。アベノミクスと財政規律、格差是正の問題はもとより、歴史認識や、集団的自衛権などの外交・安全保障政策でも、自民党に代わりうる党としての代案を示すべきだ。

13年に策定した綱領には「新しい公共」という言葉が盛り込まれている。官が独占してきた「公共」を地方自治体や学校、NPO、地域社会に還元する。その中に支持団体の労働組合をどう位置づけ、協働していくか。そんな議論があっていい。

今回の代表選は、国会議員が減ったために、結党以来初めて地方議員と党員・サポーターの比率が大きくなった。

だが、訴えかける先は内輪の党員・サポーターだけではない。論戦をコップの中の嵐に終わらせず、広く世論を巻き込む熱気と活力を示してほしい。それは、日本政治の「幅」を広げることにもつながるはずだ。

戦後政治のありようを大きく変えようとしている安倍自民党に不安をおぼえる人は少なくないだろう。穏健な中道からリベラルを代表する存在として、将来の首相候補になり得る人物を選び出せるか。そこがポイントになる。

党の枠を超えて共感を得られるような代表選にしてこそ、民主党の未来が見えてくる。

毎日新聞 2015年01月08日

民主党代表選 再編より政策を論じよ

民主党代表選が告示され3氏が立候補を届け出た。海江田万里代表の辞任に伴う選挙で、18日の投開票に向け低迷が続く党の再建策を競う。

読売新聞 2015年01月08日

民主代表選告示 党再建へ問われる路線と政策

失われた国民の信頼を回復する契機にできるのか。党再建に向けた路線と政策を、より真剣に論じ合うべきだ。

民主党代表選が告示された。岡田克也代表代行、細野豪志元幹事長、長妻昭元厚生労働相の3氏が立候補した。過去最大の47%の比重を占める党員・サポーター票の行方が、勝敗を左右する一つのカギとなろう。

重要な争点は、自民党の「1強」に対抗するための党再建と野党再編に臨む基本方針である。

細野氏は共同記者会見で、「過去と決別する」と解党的な出直しを主張した。これに対し、岡田氏は「過去の全否定ではなく、原点回帰を強調したい」と語った。長妻氏も、民主党の基本路線を尊重し、踏襲する考えだ。

野党再編について、岡田、長妻両氏は、自主再建路線に立ち、維新の党との合流に否定的な考えを明言した。細野氏も、維新との合流は「難しい」と語ったが、細野陣営には、新党結成も視野に入れた再編への積極論者が多い。

大胆な路線変更を目指すのか、漸進的な改革にとどめるのか。党の路線問題は、代表の世代交代も絡み、民主党にとって重大な選択となる。論戦をより本格化させることが大切だろう。

政策では、集団的自衛権と原発に関する3氏の主張が異なる。

集団的自衛権の行使を限定容認する昨年7月の政府見解については、全員が撤回を求めた。

だが、行使の是非について岡田氏は「中身に踏み込んで議論する」と明言を避けた。細野氏も「基本的に個別的自衛権で対応できる」としつつ、限定容認は否定せず、安保基本法の制定を唱える。

一方、長妻氏は、個別的自衛権の範囲内での法整備を主張し、行使容認に反対している。

原発についても、長妻氏は「原則、再稼働しない」と唱えるが、岡田、細野両氏は、条件付きで再稼働を容認する立場である。

長妻氏は、旧社会党系など党内のリベラル勢力の支持を受けており、保守系の岡田、細野両氏との違いを強調しているようだ。

「寄り合い所帯」の民主党は、安全保障政策などの党内対立の克服が長年の課題だったが、本格的な論議を避け続けてきた。

3氏は「党の決定事項に従わない文化を変える」方針では足並みをそろえた。議論の末に決まったことは党全体で守る。民主党は、この当然の規律を守れない限り、2大政党の一翼を担えないことを自覚し、新代表を選ぶべきだ。

産経新聞 2015年01月08日

民主党代表選 国を語れる再生の道示せ

民主党の所属議員や党員らはこの代表選をどう考えているのだろう。

昨年暮れの衆院選で国民から重ねて「拒否」を突き付けられ、党首の落選でダメ押しされた。

その直後の代表選に、内輪の人気投票のような感覚で臨むならば、党勢回復など望めまい。

求められているのは、この国をどうするというビジョンを語れる政党への再生である。それには当然、曖昧にしたままの重要政策の確立などが不可欠だ。

代表選は新たな針路を定める出発点だ。手を挙げた3候補はその青写真を競い合ってほしい。

「民主主義が危ない」「最後のチャンス」など、自民党との対決姿勢を強調し、党再生への決意を示す言葉は聞かれた。だが、抽象的なスローガンでは国民の期待を取り戻せない。

政権の受け皿と再び認知されるには、現実的な政策への転換を図るしかない。

共同会見では、通常国会で焦点となる安全保障法制への対応も論点となった。周辺環境の悪化や、力ずくで現状変更を図ろうとする中国などに何らかの対処が必要であるとの認識はうかがえた。

それでも、安倍晋三政権が行った集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定に対し、反対姿勢は変えないようだ。

日本の平和と安全を守る抑止力をどう強化するかの具体策を語るべきだ。それができない政党に安全保障は任せられない。

憲法改正への具体的方針も、国家の将来を語る前提として示してほしい。

「生活者」重視は重要な施策だが、これを否定する政党はない。格差拡大などアベノミクス批判を重ねても、代替案となる経済政策がなければ説得力はない。

まず、色濃い「アンチビジネス」姿勢から脱すべきだ。党の支持母体の連合が政労使会議を通じて「三本の矢」を後押ししている現実を直視する必要がある。

現政権も手をこまねいている岩盤規制の打破や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の加速は、格好のテーマだ。規制緩和や自由貿易拡大を唱え、消費者に利益をもたらそうとするなら、現実的な改革路線に値しよう。

過去最低の投票率を招いた責任の一端も、巨大与党に対抗する核となれない野党第一党の体たらくにあることを自覚すべきだ。

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