STAP不正 科学研究の原点に戻れ

毎日新聞 2014年12月27日

STAP不正 科学研究の原点に戻れ

いったいこの騒動はなんだったのか。なんとも納得のいかない結末である。STAP論文不正について理化学研究所が設けた外部の調査委員会が報告をまとめ公表した。

産経新聞 2014年12月28日

STAP問題 「全容解明」を放棄するな

最も重大な問題を、置き去りにすることにはならないか。

生命科学の常識を覆す大発見とされたSTAP細胞について、理化学研究所の調査委員会が報告書を発表した。

STAP細胞は、既存の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)である可能性が非常に高いとする内容である。

理研の元研究員、小保方晴子氏を筆頭著者とするSTAP論文の主張は、厳密な科学的検証によって否定された。

理研は、STAP論文に関する調査を終結させ、小保方氏らに対する懲戒委員会の審査を再開する方針だ。科学界を揺るがし、社会を巻き込んだSTAP問題の幕引きだが、どうにもすっきりしない思いが残る。

論文はすでに取り下げられており、その真偽はもはや問題ではない。理研にとっても、科学界全体の信頼回復のためにも、最も重要なのは不正の経緯を解明し、再発防止への教訓をくみ取ることであるはずだ。

ES細胞の混入が何回も繰り返された実態から、調査委は「研究者の常識としては、誰かが故意に混入した疑いを拭うことはできない」と指摘した。しかし、混入が故意によるものか、過失であるかの判断は避けた。

小保方氏を含めて混入の機会があったとみられる関係者は、調査委の聴取に対し、故意または過失による混入を否定した。

STAP細胞は「悪意に根ざした捏造(ねつぞう)」なのか、それとも「何らかの間違いで生じた幻想」だったのか。問題の核心が「調査委の能力と権限の限界」から、謎のままで残されてしまう。

野依良治理事長は報告を受け、「改革を進め、信頼回復に全力を尽くす所存です」とのコメントを発表した。

再発防止と信頼回復には、捏造と改竄(かいざん)だらけの杜撰(ずさん)な論文が「世界を驚かせる成果」として発表されてしまった経緯をきちんと解明することが不可欠だ。故意にしろ過失にしろ、行為者を特定しなければ、病巣は除去できない。

強制力のない調査に限界があるのは確かだが、理研は全容解明をあきらめてはならない。

健康や精神状態への十分な配慮は必要だが、少なくとも小保方氏には、自分の言葉で経緯を説明する責任がある。

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