大手電力5社が、太陽光など再生可能エネルギーの新規受け入れを中断ている問題で、政府が対策をまとめた。
太陽光による発電量が急増した際、再生エネの発電事業者に出力抑制を求める制度を拡充することが柱だ。
国内自給でき、地球環境への負荷が小さい再生エネは、できる限り普及させたい。
だが、政府がすでに認定した太陽光発電所がフル稼働すると、発電量が送電網の許容量を超え、停電などが起きる恐れがある。
現行の買い取り制度が正常に機能していない以上、大幅に見直すことは当然だ。
現行制度では、電力が余った場合、電力会社は年間30日まで、太陽光発電事業者に補償金を払わず受け入れを制限できる。
これから買い取りを開始する契約については、日数の上限なしに制限をかけられるよう改める。事業用に限っていた出力制限の対象に、家庭用も加える。
太陽光の買い取り申請が特に多い九州電力や東北電力は、政府の認定した発電能力の半分程度しか受け入れられない計算だ。
出力制限を拡充して発電量を調整しやすくし、認定を受けた設備が発電を開始できなくなる事態を防ぐ狙いは妥当だろう。
ただ、買い取り量が見込みより大きく落ち込めば、採算が合わなくなる事業者もいよう。売電収入をローン返済の一部に充てようとしていた人が、住宅購入を見合わせるケースも出ているという。
各電力会社は、できるだけ再生エネで発電した電気を受け入れるよう、工夫してもらいたい。
2012年に1キロ・ワット時40円でスタートした太陽光の買い取り価格は、32円に引き下げられたが、それでも欧州の約2倍の高さである。政府はこれを来年4月から、さらに下げると見られる。
これまで、価格を引き下げる前になると、買い取ってもらえる権利だけは確保しておこうと、実態のない計画が申請され、政府の認定を得ることを繰り返してきた。政府は計画を精査すべきだ。
予定日を過ぎても発電を開始しない場合は、特段の事情がない限り契約解除を原則としたい。
太陽光だけでなく、風力や地熱など特性の違う再生エネをバランスよく導入することが、電力の安定供給にも資するはずだ。
参入が突出して多い太陽光については固定価格による買い取りから入札制に改めるなど、より抜本的な改革が求められる。
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