米キューバ雪解け 「自由と民主」につなげよ

朝日新聞 2014年12月19日

米国とキューバ 正常化への流れ加速を

1961年以来、断交を続けてきた米国とキューバが、国交回復に向けて動き出した。

人の往来や送金の制限を緩めることなどで合意した。米国はハバナの大使館を再開する意向で、キューバに対する孤立化政策は大きな転換点を迎えた。

米国とキューバといえば、ソ連製ミサイルの配備をめぐって「あわや核戦争か」といわれた62年の「キューバ危機」を思い浮かべる人が多いだろう。

それから半世紀以上。冷戦はとっくに過去のものとなり、世界は政治イデオロギーより経済優先の時代に移った。

キューバはテロ支援国家とは言い難いし、経済の自由化も進む。「裏庭に共産国家は認めない」といわんばかりの超大国のかたくなな姿勢には、国連などでも批判がでていた。

オバマ大統領が「時代遅れの政策を終わらせる」と述べたのは当然だ。粘り強く今後の交渉を進め、ふつうの隣国の交流が実現することを期待したい。

米国のすぐ南側に位置する島国キューバは、59年の革命後に社会主義路線をとった。91年にソ連が崩壊した後は強い支えを失った。近年は、反米外交を続ける南米の産油国ベネズエラなどから支援を受けていた。

台頭する中国やロシアが再びキューバに接近することへの懸念もあり、米国にとっては、突き放すよりも接近に転じる方が得策と判断したとみられる。

むろん、歴史的な敵対国との和解を進め、外交遺産を築きたいオバマ氏の政権末期の野心もあろう。キューバにとっても、米国の制裁緩和は、ラウル政権の経済改革に必須だった。

米国の野党共和党には、対キューバ強硬派が多い。2年後の大統領選に向けて、移民系の票を取り込みたい与党民主党と、それを阻もうとする共和党との間で駆け引きも予想される。

ここは大局的な判断を促したい。地域全体の安定と繁栄を考えた時、国交回復は不可欠だ。むしろ、これまでの遅れを取り戻さなければならない。

キューバ国内で民主化や人権擁護の態勢づくりは、まだ進んでいない面もある。市民同士の交流を活発にすることで、社会の変化を促す必要がある。

これまでどれほどのキューバ難民が渡米をめざして命を落とし、肉親が離ればなれになったか。今回、ローマ法王が両国の橋渡し役を務めたのも、国家のいがみ合いを早く終える人道上の意義を痛感したからだろう。

双方とも小異にこだわらず、和解と関係正常化のモデルを世界に示してもらいたい。

読売新聞 2014年12月20日

米キューバ接近 冷戦の残滓解消に課題は残る

東西冷戦の残滓ざんしである敵対的関係を解消する、歴史的な方向転換だ。

オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が、53年も断絶してきた国交の正常化を目指すことで合意した。

親米政権を倒したキューバのカストロ革命政権の米資産接収を機に、両国は1961年、断交した。翌62年、キューバに配備されたソ連製核ミサイルを巡って米ソが対立し、核戦争を寸前で回避した危機は、冷戦を象徴する事件だ。

米国の歴代政権は、「親ソ反米」のカストロ体制の打倒を目指し、冷戦終結後も「テロ支援国」指定などによる経済制裁を解除せず、孤立化政策を継続してきた。

だが、オバマ氏は、この政策は成果を上げられなかったとして、「失敗だった」と切り捨てた。

キューバは冷戦後、ソ連の支援を失って困窮した。ベネズエラの反米政権の支援を受け、細々と経済改革を進める今、米国の戦略的脅威とは到底言えない。

米国内では、移民社会を中心に民間交流も進み、断交は「時代遅れ」との認識が一般的だ。

中国のキューバ進出に対する警戒感も、米政財界の国交正常化への支持につながっている。

米国のキューバ政策が過去の遺物なのは確かである。対立関係の解消を、地域の安定につなげることが重要だろう。

両国は、拘束していた相手国の工作員らを釈放した。今後、双方の大使館を再開し、渡航や送金の規制を緩和する。米通信企業のキューバ進出も調整するという。

しかし、国交正常化の実現には障害も少なくない。

米議会や在米キューバ系の中高年層には、異論も根強い。カストロ一族主導の共産党一党独裁や人権侵害を見逃すとの批判だ。

対キューバ制裁の解除には、共和党が年明け以降、上下両院を支配する議会の承認を要するものも多い。オバマ氏が大統領権限で制裁措置を骨抜きにしようとすれば、議会との対立が深まろう。

カストロ政権は、長期の経済低迷が国民の不満を高め、共産党支配が揺らぐことを警戒している。オバマ政権は、人的交流や情報インフラの提供を通じて、キューバの民主化機運を高めると説明するが、楽観は禁物だろう。

11月の中間選挙の民主党大敗によって、残り2年のオバマ政権のレームダック(死に体)化が指摘されている。政権の「遺産」作りに焦らず、地に足のついた外交を展開してもらいたい。

産経新聞 2014年12月19日

米キューバ雪解け 「自由と民主」につなげよ

米国のオバマ大統領とキューバの指導者、ラウル・カストロ国家評議会議長が国交正常化交渉に入ると同時発表した。

断交から半世紀余り、冷戦構造の崩壊から四半世紀後の歴史的転換点である。節目の交渉を、なお共産党の一党独裁下にあるキューバの民主化、経済の自由化につながるものにしてもらいたい。

米国は、ラウル氏の実兄、フィデル・カストロ前議長がバチスタ親米独裁政権を武力で倒したキューバ革命2年後の1961年、同国と外交関係を断絶した。

翌年には、ソ連がミサイルを配備したキューバを、ケネディ米政権が海上封鎖してその撤去に追い込み、米ソが核戦争寸前に至るキューバ危機が起きた。

以来、米国による禁輸などの厳しい制裁が長く続いている。先にキューバへの同国系米人の渡航や送金を認めたオバマ政権は今回、ローマ法王フランシスコの仲介も得て、そのキューバ孤立化政策の抜本的変更に踏み切った。

オバマ氏は「孤立化はうまくいかなかった」と述べ、「関与を通じての米価値観の普及」を強調した。ならば、交渉は、「民主主義や人権」という価値観を、段階的にせよ相手に受け入れさせるものでなくてはなるまい。

オバマ氏はキューバに対するテロ支援国指定の解除、両国間の往来、通商、情報通信の拡大などを目指すとも言う。くれぐれも、共産党体制を利して延命させただけとならないように願いたい。

次期米大統領選で有力な共和党候補と目されるキューバ系のルビオ上院議員は、早くも政策転換を「幻想」と断じ、カストロ体制の「権力を恒久化する」ものだと真っ向から非難している。

革命を逃れて移民してきたキューバ系にはカストロ体制への怨念が根強く、その意向を反映した議会、特に共和党から制裁解除への承認を取り付けるのは容易ではない。オバマ氏は彼らを説得できる政策の中身を示せるのか。

キューバは今年、ソ連の電子情報基地再開で継承国ロシアと基本合意した。昨年は大量の武器を載せてキューバを出航した北朝鮮船がパナマ当局に拿捕(だほ)された。地域の反米国ベネズエラは、相変わらずキューバに肩入れしている。

キューバが米国との価値観共有に転じない限り、真の意味で「西半球の冷戦」は終わらない。

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