COP20 目標値急ぎ存在感回復を

読売新聞 2014年12月18日

COP20 温暖化対策に問われる実効性

京都議定書に代わる2020年以降の新たな枠組みを討議するため、ペルーで開かれた国連気候変動枠組み条約の第20回締約国会議(COP20)は、決裂を辛うじて回避した。

各国は来年のCOP21での最終合意を目指すが、その道のりは険しいと言わざるを得ない。

COP20で際立ったのは、これまでと同様、先進国と新興・途上国の対立である。すべての国が、温室効果ガス削減の基準年や達成時期などを明記した自主目標を国連に提出することは決まった。

ただ、新興・途上国は、高潮など温暖化の影響を軽減する自国の対応策を含めた自主目標にするよう主張し、先進国は抵抗した。

新興・途上国の狙いが、対応策を実施するための資金援助を先進国から引き出すことにあるのは明らかだろう。

結局、合意文書では、対応策の扱いについて「検討する」という表現に落ち着いた。新たな枠組みを実現するため、先進国と新興・途上国双方が受け入れられるギリギリの内容と言えよう。

これまでのCOPと異なったのは、最大排出国の中国と、それに次ぐ米国が議論を主導した点だ。自国に有利な枠組みにしようとの思惑がうかがえる。

各国の目標の妥当性を事前検証する仕組みの導入に中国が反対したのも、その表れではないか。

米中両国は先月の首脳会談でそれぞれの削減目標を表明し、排出抑制に前向きの姿勢を示した。とはいえ、「30年をピークに排出量を減少させる」というのが中国の目標だ。裏を返せば、今後15年以上も増加させることになる。

米中の排出量を合わせると、世界の4割超になる。新たな枠組みに実効性を持たせるには、米中の積極的な取り組みが不可欠だ。

望月環境相はCOP20で、日本の削減目標について「できるだけ早期に提出する」と強調したが、時期には言及しなかった。

二酸化炭素を排出しない原子力発電所がすべて停止し、将来の電源構成比率が定まらない現状ではやむを得まい。

来年3月が目標提出のメドとされる。日本の遅れには各国の批判が高まるだろう。だが、大切なのは現実的な削減率にすることだ。原発の活用を考慮した目標策定を進めてもらいたい。

日本は優れた省エネ技術で途上国を支援し、世界の温室ガス削減に貢献することが重要だ。燃料電池車などの革新的技術は、国内の排出削減にも役立とう。

産経新聞 2014年12月17日

COP20 目標値急ぎ存在感回復を

環境問題の優等生といわれた日本が八方塞がりの窮状に陥っている。

ペルーでの国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)が閉幕しての印象だ。

地球温暖化対策は、2020年以降の新たな枠組み作りに向けて動いている。先進国だけでなく途上国を含めたすべての国が温室効果ガスの排出削減に取り組む新制度を目指している。

ようやく全世界参加による実効的な制度が誕生しようとしているのだが、今回も先進国と途上国の意見の隔たりは完全に解消されることなく残ってしまった。

京都議定書を生んだ日本が調整に動くべきだったが、存在感は希薄で無力に近かった。どうして、こんなありさまになったのか。

理由の第1は、全原発の停止継続で、火力発電による二酸化炭素の排出が増えているためだ。日本の温室効果ガス排出は過去最大になっている。これでは国際交渉で、ものを言えない。

第2の理由は、削減量やその実現手段などを示す「約束草案」を主要国にとっての期限である来年3月までに国連へ提出できるめどが立っていないためである。

20年以降は、各国が削減の目標値を定めて自主的に達成していくことになっている。この新制度に対し、2大排出国の中国と米国が従来の消極姿勢から一変し、積極参加の勢いだ。両国連携での主導権掌握を視野に入れているとの見方が多い。

困ったことに、両国とも自国の都合で石炭火力発電の排斥に向かっている。米国はシェールガスの輸出拡大、中国はPM2・5の大気汚染対策のためだ。

途上国の二酸化炭素削減には、日本の高効率石炭火力発電技術の普及が最も効果があるのだが、今のままでは、無理が通って道理が引っ込みかねないことになる。

日本の影響力回復には、約束草案の早期提出が不可欠だ。そこに書き込む目標値に根拠を持たせるには、原子力発電の利用を挙げるしかないだろう。再生可能エネルギーだけでは世界を納得させる水準には到底届かない。

国際情勢を見据えると安全対策を終えた原発を再稼働させ、発電と規制委による安全審査を並行させることを考えるべきだろう。

荒療治に映るかもしれないが、地球環境と日本の復権には他に良策がないのが現実だ。

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