憲法改正 テーマの絞り込みに進む時だ

読売新聞 2014年12月05日

憲法改正 テーマの絞り込みに進む時だ

今年6月の改正国民投票法の成立により、国会が憲法改正を発議する環境が整った。憲法のどの条項をどう改正するか。各党は衆院選で、各論の議論を活発化させるべきだ。

改正国民投票法は、国民投票権は当面「20歳以上」とし、4年後に「18歳以上」とする内容だ。2007年の国民投票法制定以来の「宿題」をようやく果たした。

与野党8党は、国民投票権に合わせて、選挙権を「18歳以上」に引き下げることで合意し、公職選挙法改正案を秋の臨時国会に提出した。「護憲」を掲げる共産、社民両党以外の主要政党が足並みをそろえている意義は大きい。

公選法改正案は衆院解散で廃案になったが、来年の通常国会では確実に成立させてほしい。

今後の焦点は、具体的な憲法改正の条項の絞り込みだ。自民党には16年夏ごろまでに改正原案の国会提出を目指す動きがある。まずは多くの政党が賛成できる条項を対象にするのが現実的だろう。

自民党は政権公約で、「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出」する方針を示したが、憲法改正を党是とする政党としては素っ気なさ過ぎる。

安倍首相も公示直前の8党首討論会で、「国民に(改正の)機運が盛り上がっている状況ではない。まずは国民運動を展開したい」と述べるにとどまった。

自民党は12年に条文形式の憲法改正草案を公表している以上、どんな改正を優先するのか、正面から国民に訴え、機運を高めるよう努めるべきではないか。

公明党の公約は、「加憲」の立場から、「環境権など新しい人権」や「自衛隊の存在の明記」など、追加する内容に言及している。前向きな姿勢と評価したい。

民主党は、「国民との憲法対話を進め、未来志向の憲法を構想する」との抽象論にとどまった。

党内に改正への積極論と慎重論があるため、無難な表現にしたのだろう。安全保障論議と同様、困難な課題を先送りするのは政党として責任ある対応ではない。

維新の党は、道州制、首相公選制、一院制など統治機構改革が中心の憲法改正を唱える。次世代の党は「自主憲法の制定」を前面に掲げ、国家緊急権の規定、改正発議要件の緩和などを主張する。

こうした具体的な改正内容を提起することは、新たな「国のかたち」に関する国民の理解を広げ、論議の活性化にもつながろう。

産経新聞 2014年12月07日

衆院選と憲法改正 首相が論戦を主導すべきだ

■各党は国のありようを語れ

安倍晋三首相自身が率先して、憲法改正の必要性を有権者に説いていくしかないのではないか。

日本の国のありようをどうするかという論戦が、いまだに高まりをみせていない。

14日に選ばれる衆院議員はその任期中に、重要な役割を果たす可能性が十分にある。憲法改正案を国民投票にかけるかどうかを決めるにあたって改正原案を作成、審議、採決することだ。

そうである以上、憲法をどのように改めていくべきかについて語る責務がある。

≪国民投票の重み自覚を≫

70年近く前に定めた憲法で、激変する周辺環境を乗り切れるのか。緊急事態の規定もなくて国は生き残れるか。今からでも遅くはない。政党や候補者は自らの考えを積極的に訴えてほしい。

改正国民投票法が今年6月に施行された。これにより、衆参両院がそれぞれ3分の2以上の議員の賛成多数で憲法改正案を可決し、発議すれば、改正の是非を国民が決める国民投票が実施できる。

国民には、長く凍結されてきた重要な権利を行使できる仕組みがようやく整ったことになる。政党や政治家にとっては、時代の要請に沿い、また、自らの信ずるところに従い憲法を改める役割を担うことができるということだ。

有権者も政党、政治家も、日本の憲政にとって重要な時期に居合わせた責任を自覚すべきだろう。特に指摘したいのは、自民党を率いる安倍首相の役割である。

首相は衆院解散の2日後、憲法改正について「国会での議論が熟していく必要があるが、まだその段階ではない。国民的な議論が進むようリーダーシップを発揮したい」と語った。

改正論者である首相が、論議に主導力を発揮する意向を持っていることは歓迎したい。だが、首相を含め、最近の自民党の対応は、必ずしも憲法改正の機運を高めるものになっていない。自民党は主要政党のうち唯一、条文化した憲法改正草案を持っている。これを踏まえ、今の憲法のどの点をどのように改めるべきか、首相と自民党が率先して論じるのが、憲法改正実現への弾みとなる。

自民党は昨年7月の参院選の選挙公約では「国防軍の設置」「財政健全性の確保」など党改正草案に基づく10の論点を具体的に提示していた。

これに対し、今回衆院選の自民党の政権公約(マニフェスト)は、憲法改正を目指す旨を記するにとどまり、論点を挙げることは見送った。

首相は解散直前の産経新聞のインタビューで、改正の発議要件を緩和する憲法96条改正について、「残念ながら国民の皆さまに十分にご理解いただけなかった」と、持論を封印するような発言もしている。国民的な議論、国会での論戦を活性化する方向での発言を聞きたい。

≪9条こそ改正の核心だ≫

政権公約で、民主党は具体的な改正点を挙げず、憲法改正を目指すのかどうかさえ、はっきりさせなかった。

一方、維新の党は道州制や一院制の導入を、次世代の党は国防軍や国家緊急権の規定を改正すべき項目として挙げた。公明党は、現憲法に新しい理念、条文を加える「加憲」の検討テーマとして、環境権や地方自治の拡充などをうたっている。

衆院選の論戦を機に、各政党が「改憲案」を競い合う時代に入っていくことを期待したい。

その際、正面から取り上げるべきなのは憲法9条の改正だ。

中国は軍拡を進め、国際ルールを無視して海洋進出をはかろうとしている。日本は9条を改正して備えなければならない。安全保障の土台をなす国防について、現憲法がまったく規定していないことのマイナスは計り知れない。

日本の平和と安全、国民の生命財産を守る責任がある首相や政党、政治家は9条改正への態度をはっきりさせるべきだ。

安倍内閣が憲法解釈を変更して、集団的自衛権の限定行使容認に踏み切った7月の閣議決定も重要な論点である。この決定は日米同盟の抑止力を高める上で欠かせない。民主党などが閣議決定の撤回を求めているのはおかしい。

平和を守るため、どのような憲法と、その解釈が必要か。現実的な論議を深めてほしい。

産経新聞 2014年12月07日

衆院選と憲法改正 首相が論戦を主導すべき 各党は国のありようを語れ

安倍晋三首相自身が率先して、憲法改正の必要性を有権者に説いていくしかないのではないか。

日本の国のありようをどうするかという論戦が、いまだに高まりをみせていない。

14日に選ばれる衆院議員はその任期中に、重要な役割を果たす可能性が十分にある。憲法改正案を国民投票にかけるかどうかを決めるにあたって改正原案を作成、審議、採決することだ。

そうである以上、憲法をどのように改めていくべきかについて語る責務がある。

≪国民投票の重み自覚を≫

70年近く前に定めた憲法で、激変する周辺環境を乗り切れるのか。緊急事態の規定もなくて国は生き残れるか。今からでも遅くはない。政党や候補者は自らの考えを積極的に訴えてほしい。

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