不祥事続きの相撲界は待ったなしの改革を求められている。日本相撲協会の理事選挙で新たに選ばれた貴乃花親方らは、横綱朝青龍の暴行問題などで迅速な対応を迫られよう。
理事選では、候補だった11人の親方の中から、10人の理事を選任した。37歳の若さで立候補した貴乃花親方も、下馬評を覆して初当選した。
協会の現状に不満を抱く親方たちの票が、貴乃花親方に流れたということだろう。
理事会は、協会の意思決定機関だ。理事選は、角界の派閥といえる五つの一門の中で、立候補者を調整し、無投票で決着することが多かった。理事を擁し、各一門が協会内で発言権を確保する狙いなどがある。
これに対し、貴乃花親方は、所属した二所ノ関一門を離脱して出馬し、当選した。年功序列、一門への貢献度で候補者を決めてきた慣例に一石を投じたといえる。
ただ、貴乃花親方は、角界の改革に意欲的とされるが、その具体策は明確ではない。当選後も、「与えられた職責を全うしたい」と述べるにとどまった。
現役時代は「平成の大横綱」と称賛されながら、親方になってからは関取を送り出しておらず、実績不足も指摘される。
若手理事として、どう協会を変えていくのか、注視したい。
大相撲の伝統を守っていく。それが相撲協会の大切な役割であることは言うまでもない。しかし、旧弊を改めるのも、協会に与えられた重要な責務である。
時津風部屋での序ノ口力士の暴行死事件の背景には、角界に染みついた暴力体質があった。大麻汚染問題では、力士教育のあり方が問われた。
新理事たちに期待したいのは、不祥事の連鎖を断ち切り、負のイメージを払拭することだ。今のままでは、大相撲を目指す若者たちは減るばかりだろう。
ファンは、強い日本人力士の登場を待ちわびている。力士養成のあり方を、各部屋任せにせず、協会が一体となって検討していく必要もあるのではないか。
新布陣の理事会が直面するのは朝青龍問題だ。大相撲を担う看板力士でありながら、横綱としての自覚、品位に欠け、幾度も厳重注意処分を受けている。
泥酔して、一般人を負傷させたとされる今回の問題に、どう対処するのか。ファンは厳しい目で理事会の対応を見ていることを忘れてはならない。
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