米中間選挙 超大国の迷走が心配だ

朝日新聞 2014年11月06日

米中間選挙 不毛な政争に区切りを

与党の民主党は、オバマ大統領を投票日まで疫病なみに隔離したい。米国主要各紙に先月、そんな風刺漫画が載った。

米中間選挙は、それほどまで深まったオバマ人気の低迷ぶりをあぶり出す結果になった。

野党の共和党が着実に勢力を伸ばし、上下両院を制した。上院でも多数派になるのは8年ぶりのことだ。

オバマ氏は引きつづき険しい政権運営を迫られる。米政界は早くも見切りをつけたかのように、次の大統領選挙へと話題を移しつつある。

だが、いまの多極化世界はもはや米国の選挙サイクルを時間軸にして語れる時代ではない。オバマ政権の残る任期2年の間にも、世界はめまぐるしく変わっていくだろう。

今後も自由主義世界を率いる大国としての自負があるなら、米議会は一刻も早く不毛な政争に区切りをつけるべきだ。

米国は「決められない政治」に陥って久しい。リベラル派の大統領に対し、保守色を強める共和党はことごとく抵抗し、政権の打倒を叫んできた。

膨らむ財政赤字の中での社会保障と税制の改革、雇用の創出や所得の保障、広がる格差とともに細る中間層をどう守るか。そうした米国の課題は、先進国に共通する悩みでもある。

3年前に米国債を初めて格下げした格付け機関は、米国の経済ではなく、政治にこそ病があると警告した。ところが昨年秋も、予算交渉のもつれなどから政府機関が閉鎖され、国債は債務不履行寸前になった。

世界経済を人質にとるかのような議会の振るまいは、国内外に米政治の機能不全ぶりを印象づけた。結果として大統領の指導力不足が問われるのは仕方ないにしても、野党の狭量さにも問題があったのは明らかだ。

上下両院をにぎる共和党は、それだけ重責を担うことを自覚すべきだ。少数派市民の急増など社会の変化をとらえ、政権と賢明な妥協を築く国民政党に脱皮できなければ、党だけでなく国も世界経済も沈む。

オバマ氏にとっても、今後2年間は正念場だ。この6年間、戦争の終結と経済の再建という2大急務に専心した結果、世界が当初期待したような、理想の旗手にはなりえなかった。

イスラムとの対話、核なき世界、アジア重視、欧州・アジアとの広域自由貿易圏構想など、未完の外交目標は数多い。

米国だけでなく、世界史にも刻まれる遺産を確かに残してくれた。そんな「オバマ伝説」になるよう望みをつなぎたい。

毎日新聞 2014年11月06日

米中間選挙 超大国の迷走が心配だ

民主党というよりオバマ政治への不満だろう。米国の中間選挙は野党の共和党が上院でも過半数を制し、連邦議会の上下両院を支配して大統領と対峙(たいじ)する構図となった。残る任期が2年余りのオバマ大統領にとって足場が揺らぐ敗北であり、指導力の低下、レームダック(死に体)化が急速に進行する恐れもある。

読売新聞 2014年11月06日

米中間選挙 オバマ氏は「ねじれ」克服図れ

オバマ米大統領には、手痛い敗北である。拡大した政権と議会のねじれをいかに乗り越えるか。その手腕が試される。

米国の中間選挙で、野党の共和党が勝利し、上下両院で過半数を制した。下院で議席を大幅に増やし、上院では8年ぶりに多数派に復帰した。

中間選挙では伝統的に政権与党が逆風を受けやすい。今回も、国内の経済格差の拡大や、成果に乏しいオバマ外交への国民の不満や失望が強かった。これらが共和党への消極的な支持に回り、民主党の多数の現職議員が落選した。

民主党が上院の支配を失ったことにより、法案の審議・成立は一段と困難になる。オバマ氏は厳しい政権運営を迫られよう。

しかし、米国の影響力がさらに低下し、世界を不安定化させることは避けねばならない。

オバマ氏と共和党は、共に歩み寄り、政治の停滞を回避する共同責任を負っている。

選挙戦は2016年大統領選の前哨戦の色彩も帯びた。不人気なオバマ氏に代わり、民主党候補の応援に飛び回ったのはヒラリー・クリントン前国務長官だった。共和党の候補選考も本格化する。

オバマ氏は今後2年間、レームダック(死に体)化との戦いが続く。思い切った人事で政権の政策遂行体制を立て直し、山積する課題に取り組む必要がある。

内政では、財政赤字の削減や最低賃金の引き上げが急務だ。

外交では、中東で勢力を拡大する過激派組織「イスラム国」の掃討や、ウクライナ東部の紛争の平和的解決、エボラ出血熱対策で米国の指導力が求められている。

中国が台頭する中、米国のアジア政策の行方が注目される。

ヘーゲル国防長官は、国防費が削減されても「アジア重視政策は影響されない」と明言している。言葉通りの対応を期待したい。

難航する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の打開も急がれる。自由貿易を推進する共和党の議会支配により、大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案の成立が早まる可能性はある。

ただ、共和党内には、日本の農産品市場の全面開放を求める声も強い。中間選挙が終わった今、オバマ氏は、過激な対日強硬論を抑え、現実的な妥協点を見いだすことに全力を挙げるべきだ。

TPPには、日米両国の主導で新しい貿易・投資ルールを作り、中国の覇権を抑止する戦略的な目標がある。米国は、その大義を思い起こしてもらいたい。

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