政治とカネを巡る閣僚や国会議員の不祥事が相次いでいる。国民の信頼を回復するため、与野党は、再発防止策を早急に検討すべきである。
宮沢経済産業相が代表を務めていた自民党支部は2007、08年に、外国人が株式の過半数を保有する企業から計40万円の政治献金を受け取っていた。
外国人や、外国資本の企業などからの献金を禁じる政治資金規正法に抵触する可能性がある。宮沢氏は、企業の実態を知らなかったと説明したが、資金管理が甘かったことは否定できない。
民主党政権当時は、前原外相が在日韓国人から献金を受けていた責任を取って辞任した。菅、野田両首相も外国人からの献金問題で非難された。類似の問題が後を絶たないのは残念である。
宮沢氏の資金管理団体がSMバーに政治活動費を支出していたことも発覚している。これ以外に不適切な支出がないか、厳格な点検と丁寧な説明が求められる。
望月環境相の関連政治団体は、08、09年分の政治資金収支報告書に交際費として計約660万円を計上すべきだったのに、本来は関係がない賀詞交歓会の経費に付け替えて記載していたという。
望月氏は、経理を担当していた妻が死去したため、付け替えの理由など詳細は確認できない、と釈明している。だが、望月氏の監督責任は免れない。関係者からの事情聴取など、本格的な調査を行い、結果を公表せねばならない。
野党も人ごとではない。民主党の枝野幹事長の関係政治団体は、11年の新年会収入約240万円を記載していなかった。枝野氏は、記載ミスを認めて陳謝した。
政党交付金制度の導入で政治資金には公金も含まれる。
女性2閣僚の辞任後も、問題が続出している。国民の政治不信を助長しかねない事態だ。
国会議員の関係政治団体は、07年に改正した政治資金規正法によって、09年分の報告から、公認会計士や税理士らによる政治資金監査を義務づけられている。
ただ、実態は、領収書通りに記載されているかなどの確認にとどまり、支出の適正性などはチェックされない。監査の実効性を高める方策を検討してはどうか。
報告書を作成する会計担当者や秘書らの能力向上も欠かせない。自民党は、所属議員秘書らを対象に、報告書などに関する研修会を検討している。こうした取り組みを積極的に進め、幅広く定着させることが急務である。
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