福島県知事選 復興と帰還を加速する契機に

朝日新聞 2014年10月31日

沖縄知事選 基地を正面から語れ

沖縄県知事選がきのう告示された。

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題について菅官房長官は「過去の問題」と強調するが、これこそ沖縄の現実の問題であり、知事選の主要な争点である。

立候補したのは、元郵政民営化担当相の下地(しもじ)幹郎(みきお)氏、元参院議員の喜納(きな)昌吉(しょうきち)氏、前那覇市長の翁長(おなが)雄志(たけし)氏の新顔3人と、昨年12月に辺野古の海の埋め立てを承認し、3選を目指す現職の仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)氏。

自民推薦の仲井真氏は辺野古移設を容認。自民党県連幹事長だった翁長氏は「断固反対」。下地氏は移設問題を決着させるために県民投票実施を主張。喜納氏は民主党方針に反して「埋め立て承認の撤回、取り消し」を掲げ、党を除名された。

沖縄でずっと続いてきた「保革対決」の構図は崩れた。公明、民主は自主投票。保守の一部が革新と組む保守分裂の選挙戦となった。移設問題への立ち位置の違いが、この新たな構図を生んだと言える。

既成政党の枠組みが壊れ、保守が分裂した背景には、仲井真氏の方針転換がある。

前回知事選で県外移設を公約して当選したものの結局、埋め立てを承認した。今回は、辺野古移設が具体的で現実的な方策だと、計画容認にかじを切った。仲井真氏の決断を受け、政府は辺野古のボーリング調査に着手した。

知事の承認に至る過程で、やはり県外移設を公約に当選した沖縄県選出の国会議員や自民党県連に、自民党本部が公約放棄を迫り続けたことも、県民に不信感を植え付けた。知事の公約変更に、有権者がどう審判を下すのかが注目される。

さらに、政権が相次いで打ち出す「基地負担の軽減策」をどうみるかも問われる。

「過去の問題」と言いながら政府は移設に絡んで、現職の仲井真候補へ露骨な肩入れを続けていると受け止められかねない状況が生じている。

普天間配備の空中給油機を8月に岩国基地へ移転。オスプレイの訓練も県外へ分散するとも言う。だが、空中給油機は今も普天間に来ているし、オスプレイの普天間での飛行回数は、配備直後の1年間よりこの1年の方が増えている。

普天間を2019年2月までに運用停止にする政権の約束も、米政府が拒否し、空手形だったことが明らかになった。

「負担軽減」は本物か。知事選を通じて、沖縄の有権者はじっと見ている。

毎日新聞 2014年10月30日

沖縄県知事選 辺野古移設への審判だ

沖縄県知事選がきょう告示される。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、仲井真弘多(ひろかず)知事が埋め立てを承認してから初の知事選で、知事の判断と辺野古移設の是非が問われる。

読売新聞 2014年10月31日

沖縄知事選告示 「辺野古」で責任ある論戦を

沖縄の米軍基地負担をいかに軽減するか。各候補者は、責任ある論戦を展開してもらいたい。

沖縄県知事選が告示された。3選を目指す現職の仲井真弘多知事と、翁長雄志・前那覇市長、喜納昌吉・前参院議員、下地幹郎・元郵政改革相の新人3人が立候補した。

最大の争点は、米軍普天間飛行場の移設問題とされる。

自民党が推薦する仲井真氏は、「普天間問題の解決が最優先の課題だ」と訴え、名護市辺野古への移設を容認している。

翁長氏は、「あらゆる手段を尽くして新基地を造らせない」として、辺野古移設に反対する。

喜納氏は、移設先の埋め立て承認の取り消し・撤回を掲げる。下地氏は、移設の是非を問う県民投票の実施を唱えている。

仲井真氏は前回知事選で県外移設を主張したが、昨年末、辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。市街地にある普天間飛行場の危険性除去を最優先したためだ。

辺野古移設は、基地負担の軽減と米軍の抑止力維持を両立させるうえで、最も現実的な選択肢だ。実現には大きな意義がある。

日米両政府は昨年4月、辺野古移設を前提に、2022年度以降の普天間飛行場返還で合意した。移設が遅れれば、普天間だけでなく、合意に盛り込まれたキャンプ瑞慶覧など他の米軍5施設の返還も先送りされる可能性が高い。

辺野古移設に反対する候補は、普天間の危険性を除去する具体的な代替策を示す必要がある。沖縄全体の基地負担の軽減が遅れるリスクについても、県民にしっかり説明しなければならない。

防衛省は公有水面埋立法に基づき、必要かつ正当な手続きを踏み、埋め立ての承認を得ている。この法律には、喜納氏の言及する承認撤回などの規定はない。法令に基づく決定の一方的な変更は、行政権限の乱用にあたるだろう。

疑問なのは、公明党が自主投票を決めたことだ。辺野古移設を支持する党本部は、反対する県本部を説得できず、仲井真氏の推薦を見送った。与党の一員として責任ある対応ではあるまい。

民主党の姿勢にも問題がある。鳩山政権時代に普天間問題を迷走させた末、辺野古移設の支持に転換した。それなのに、今回の自主投票は無責任ではないか。

最近は、尖閣諸島周辺で中国公船が領海侵入を繰り返すなど、沖縄県の平和と安全が脅かされている。知事選では、こうした問題も議論することが大切だ。

読売新聞 2014年10月27日

福島県知事選 復興と帰還を加速する契機に

原子力発電所事故からの復興と避難住民の帰還の加速に向けて、新知事には強い指導力を発揮することが求められる。

新人6人の争いとなった福島県知事選は、前副知事の内堀雅雄氏が大差で初当選した。

自民党県連は当初、独自候補の擁立を目指した。だが、党本部は認めず、民主党などとの相乗りで内堀氏を支援することを決めた。7月の滋賀県知事選に続く敗北の回避を最優先したのだろう。

内堀氏は、自民、民主、公明など各党の組織票を手堅くまとめ、無党派層にも支持を広げた。

選挙戦では、復興を最優先課題に位置づけ、「国や東京電力と直接交渉する」と訴えた。トップセールスで、企業誘致や県産品の販路拡大を進めるとも強調した。

総務省出身の内堀氏は2001年に福島県に出向し、06年から副知事を務めていた。東日本大震災後は佐藤雄平知事の下、原発事故対応や復興の実務を仕切った。

その高い行政手腕に、県民は期待を寄せたと見られる。

原発政策では、6候補とも県内の原発10基をすべて廃炉にすると主張した。熊坂義裕・前岩手県宮古市長は県外の原発の再稼働にも反対したが、浸透しなかった。

原発政策は、国全体のエネルギー事情や安全・経済性などを考慮し、大局的な観点から政府が判断すべきものだ。内堀氏が県外の原発について「言及する立場にない」と明言したのは、妥当だ。

大震災から3年7か月が経過したが、福島再生は道半ばだ。県は、従来以上に復興促進の前面に立ち、市町村への支援や調整、政府との交渉に臨んでもらいたい。

原発周辺に住んでいた12万以上の人たちが今なお、県内外で避難生活を送る。今年4月に田村市で、今月には川内村の一部地域で避難指示が解除された。希望者の帰還を進め、その生活再建をしっかりと支えることが重要だ。

道路や医療・教育施設の整備や、雇用確保などを計画的に推進せねばならない。市町村単位でなく、広域で町づくりを進めるには、県が果たす役割は大きい。

除染作業で生じる汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設も喫緊の課題だ。行き場のない汚染土は県内各地に点在し、復興停滞の一因となっている。政府による用地交渉や工事、汚染土の搬入を県が側面支援する必要がある。

風評被害により、県内の農産物価格は依然、震災前の水準に戻りきっていない。新知事は、正確な情報発信の先頭に立つべきだ。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/1999/