今日は、文字・活字文化の日だ。
11月9日までの読書週間の始まりでもある。今年の標語は「めくる めぐる 本の世界」だ。
秋のひととき、書店や図書館を巡れば、思わぬ本との新たな出会いがあるかもしれない。
読売新聞の最近の世論調査によると、自宅から気楽に行ける場所に書店が「あった方がよい」と答えた人は79%に上った。多くの人が本との出会いの場を求めていることがうかがえる。
その「街の本屋」が姿を消しつつあるのは、寂しいことだ。全国の書店数は約1万4000店で、2000年の3分の2に減った。雑誌などの販売の低迷や郊外型大型店の伸長が背景にある。書店ゼロの市町村も約330に上る。
地域住民の熱意が実って、書店の誘致に成功した例もある。
市内にあった唯一の書店が閉店した北海道留萌市では、主婦らのグループが東京の大手書店に働きかけて出店を実現させた。朗読会や出張販売会なども行われ、収支は黒字が続いている。
「マイクロ・ライブラリー」と呼ばれる小さな私設図書館の開設も各地で進む。
長野県小布施町の「まちじゅう図書館」はその一つだ。町内に書店はないが、商店や銀行、農家などの一角に書棚が設けられ、個性豊かな蔵書が並ぶ。
アットホームな雰囲気の私設図書館は、全国で500を超えると言われる。インターネットを通じて運営方法の情報交換が行われ、急速に増えている。
図書館は、地域の人たちの対話や交流の場でもある。読書の輪を広げるには欠かせない。
子供の読書を推進するため、学校図書館の役割は重要である。子供たちの好奇心を刺激する書籍を充実させたい。
専門職員である学校司書も、大切な存在だ。多忙な教師に代わって、図書の管理や児童生徒の調べ物のサポートを行う。例えば、オリンピックや月食など、時宜にかなったテーマの本を紹介するのも学校司書の役割だ。
学校司書を置く小中学校は、半数程度にとどまる。今年6月に成立した改正学校図書館法には、小中高校への配置を進める努力義務が盛り込まれた。
学校図書館での読書活動を活性化させる契機としたい。
活字が紡ぎ出す物語の世界に感動し、知識を得る喜びを味わう。読書の楽しさを子供たちに伝えていきたい。
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