政治の安定と重要政策の遂行に向けて、公明党は連立政権の合意形成に引き続き努力し、役割を果たしてもらいたい。
公明党が第10回全国大会を開き、山口代表の4選と新役員人事を正式決定した。井上義久幹事長、石井啓一政調会長は留任し、国会対策委員長には大口善徳国対委員長代理が昇格した。
山口代表はあいさつで、安倍改造内閣について「連立与党としてしっかり支え、国民のための政策実現に不退転の決意で邁進する」と語った。来賓の安倍首相も、「与党と協力して結果を出したい」と述べ、結束を呼びかけた。
山口、井上両氏は2009年9月の就任以来、3年余の野党時代を含め、自民党との連携・協力関係を維持してきた。
小渕内閣で自公両党が連立してから、来月で15年を迎える。主張が異なる政策についても、双方が協議を重ねて歩み寄り、合意を形成してきたことは、政治の安定に貢献したと評価できる。
安倍政権は今、経済再生、地方創生、震災復興、社会保障制度改革など、多くの政策課題に直面している。これらを着実に前進させるため、公明党には、一段と建設的な取り組みが求められる。
安全保障政策でも、安倍政権は今年4月、武器輸出3原則に代わる防衛装備移転3原則を、7月には集団的自衛権の行使を限定容認する政府見解を決定した。いずれも歴史的な意義を持つものだ。
50年前の結党以来、「平和の党」を標榜する公明党には、特に集団的自衛権の憲法解釈変更について慎重・反対論が強かった。
だが、山口執行部は、地方組織代表を交えた会議を何度も開き、粘り強く説明と説得を繰り返して党内の意見をまとめた。政権与党として責任ある対応だった。
党大会での井上幹事長報告は、公明党の中道路線の「今日的意義」として「政治の左右への揺れや偏りを正す」「時代の変化に応じた新しい政策提言」などを挙げた。集団的自衛権をめぐる対応はその実例だとも指摘した。
今後は、新政府見解に基づく安全保障法制の整備が課題となる。日米同盟の抑止力を強化し、自衛隊が実効性ある活動をできる法制となるよう、公明党には、一層の前向きな対応を期待したい。
山口代表は、消費税率を10%に引き上げる際の軽減税率の導入を目指す方針を改めて強調した。
公明党は与党内で、軽減税率の具体的な制度設計の議論を主導することが重要である。
この記事へのコメントはありません。