基準地価 都市の回復を地方に広げたい

毎日新聞 2014年09月19日

地方の地価下落 格差拡大防ぐ手立てを

7月1日時点の基準地価が公表された。東京、大阪、名古屋の3大都市圏の住宅地の平均は前年に比べ0.5%上昇と6年ぶりにプラスに転じ、商業地は2年連続上昇だった。大都市の地価は回復の動きを続けている。しかし、地方圏は住宅地が1.8%下落し22年連続のマイナス、商業地が2.2%下落し23年連続のマイナスで、長期の地価下落に歯止めがかかっていない。

読売新聞 2014年09月19日

基準地価 都市の回復を地方に広げたい

大都市圏の緩やかな地価上昇を持続し、全国に波及させる。地価の回復は、地方再生を図るうえでも大切だ。

国土交通省が発表した7月1日の基準地価は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で、住宅地が6年ぶりに上昇に転じた。商業地は2年連続で前年比プラスとなり、上昇率も拡大した。

2008年のリーマン・ショック後の景気悪化で落ち込んだ地価は、大都市で底入れし、回復過程に入ったと言えるだろう。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果などで企業業績が改善し、オフィスの需要が伸びている。日銀の金融緩和を背景とした低金利や住宅ローン減税の追い風を受け、住宅販売が好調だったことも、地価を上向かせた。

個人や企業の保有する不動産の資産価値の上昇が、消費や設備投資の拡大を後押しし、好景気が不動産市場を一段と活性化させる。そうした「好循環」が実現することを期待したい。

ただし、地価の今後を展望すると、不安材料は少なくない。

首都圏のマンション販売戸数の減少が続くなど、住宅需要に陰りが見える。今年4月の消費税率引き上げ前は、住宅市場で駆け込み需要が盛り上がった。その反動減が出ているのだろう。

人手不足による人件費の上昇や資材の値上がりも心配だ。建設費がかさみ、ビルやマンションの用地取得などの不動産投資を阻害しかねない。

地価が実需より上がる「ミニバブル」も地価の安定を脅かす。

20年東京五輪・パラリンピックの主会場となる東京・臨海部では、地価の上昇率が10%前後と高い地点が目立つ。投機的な資金の動きに警戒せねばならない。

一方、全国平均の基準地価は、住宅地が23年連続、商業地も7年連続で下落した。地方圏の回復が遅れているためだ。

札幌や仙台など地方の中核都市では上昇した地点が多いが、人口流出や高齢化が進んでいる地域の地価低迷は深刻である。

多くの人が「住みたい」と思う魅力的な街づくりが進めば、地域が活気づき、地価も改善するはずだ。地方の地価動向は、安倍政権が重要課題に掲げる「地方創生」が成果を上げているかどうかのバロメーターともなろう。

地場産業や観光の振興、子育て支援など、やるべきことは山積している。政府と自治体が連携し、各地域の実情に合った再生策を加速してもらいたい。

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