リニア着工へ 「世界初」を再び日本から

毎日新聞 2014年09月06日

リニア建設 本当に進めて大丈夫か

JR東海が国土交通相に着工の認可を申請したことで、リニア中央新幹線がいよいよ現実味を帯びてきた。認可が下りれば、国による基本計画決定から41年を経て、巨大プロジェクトが動き出すことになる。

産経新聞 2014年09月03日

リニア着工へ 「世界初」を再び日本から

「世界初」尽くしの夢のビッグプロジェクトがいよいよ動き出す。

JR東海が平成39年に東京(品川)-名古屋間で開業を目指すリニア中央新幹線の工事実施計画を、国土交通相に申請した。早ければ今秋にも着工の運びだ。

強力な磁力で車両が10センチも浮き上がり、時速500キロ以上の超高速で走る。日本の超電導リニア技術は世界の最先端に位置するが、本格的な高速鉄道への導入は世界で初めてだ。技術立国・日本の底力を改めて世界に見せつける好機としたい。

前人未到の大事業だけに、難工事は避けられまい。都心部は深さ40メートル以上の大深度地下を貫き、南アルプスでは過去に例のない長大トンネルの建設に挑む。計画区間286キロのうち、実に86%がトンネルだ。残土だけでも東京ドーム約50杯分が発生する。

国の環境影響評価(アセスメント)で、石原伸晃環境相は残土の抑制に加え、精度の高い地下水位の予測、生態系への影響回避などにも万全を尽くすよう求めた。環境問題を置き去りにしてリニアの成功はおぼつかない。環境負荷を最小限にするという分野でも、最先端の対応策を示してほしい。

リニア中央新幹線が完成すれば品川-名古屋間は40分、57年には東京-大阪間も1時間強で結ばれる。東名阪の移動時間を大幅短縮することによる経済活性化が期待される。新幹線を含む高速鉄道の輸出にも追い風となるはずだ。

大都市圏への人口集中が加速し、地方の疲弊につながるとの見方もある。リニア整備は政府の成長戦略にも盛り込まれており、地方の底上げに結びつくものでなければならない。

リニア時代の到来を見越した国のグランドデザインを政府がしっかりと描き、国民に提示することも欠かせない。

最終的には9兆円を超すとみられる建設費用は、JR東海が全額自己負担で賄うという。柘植康英社長は申請後の記者会見で「リニア自体のコストダウン、経営体力の増強で対応していく」と語り、予想される工費の増加分を含め、資金調達に自信を示している。

民間の事業とはいえ、国家的な大プロジェクトだ。大規模災害に備え、今年で開業50年となる東海道新幹線のバイパス路線としての役割も見逃せない。政府も側面支援を惜しんではなるまい。

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