恒久的停戦を実現し、和平への道を探らなければならない。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスとイスラエルが、50日の戦闘の末、ようやく無期限の停戦に合意した。
ガザ地区の死者は2100人を超え、その大半が女性や子供など一般市民だった。双方は、停戦維持を最優先すべきである。
7月上旬の戦闘開始以来、エジプトの仲介による時限付きの停戦が何度か発効したが、いずれも長続きしなかった。
無期限停戦が成立したのは、イスラエルによって軍事部門の幹部3人を暗殺されたハマスが、危機感を強めたためだ。イスラエルにも、犠牲者の増加でネタニヤフ政権の支持率が急落し、早期収拾を迫られていた事情がある。
今回の合意を受け、イスラエルは、2007年のハマスによるガザ制圧以来続けてきた経済封鎖を緩和した。人道支援物資や、復旧に必要な建築資材の搬入なども認められることになった。
国連の世界食糧計画(WFP)は食糧援助を開始している。
ただ、復旧への道は険しい。
ガザは、前例のない規模で破壊された。失業率が50%に達するなど経済も破綻状態で、60億ドルと見込まれる復旧費用を自力で調達するのは困難だ。国際社会による支援が課題となろう。
欧米やエジプトには、イスラエル打倒を掲げるハマスに多額の援助をすると、戦力増強に転用されかねないと懸念する声がある。
実際にハマスは、イスラエルとの衝突が一段落する度に、ロケット弾などの武器を補充し、攻撃を再開してきた。
国際的な支援の枠組みを作るには、ハマスと暫定統一政府を組むパレスチナ自治政府が支援の窓口となり、援助物資や資金の流れの透明性を確保することが欠かせまい。アッバス自治政府議長の政治的指導力が試される。
一方、恒久的な停戦に向けた協議は、エジプトを仲介役とした間接交渉の形で、1か月以内に始められることになった。着実な交渉開始が和平への第一歩となる。
イスラエルは自国の安全保障を、ハマスはガザ封鎖の完全解除やパレスチナ囚人釈放などを要求している。いずれも、双方が鋭く対立してきた懸案である。交渉の行方は楽観を許さない。
仲介役のエジプトや、イスラエルへの影響力を持つ米国を中心に、国際社会が歩み寄りを促す努力を続けることが重要だ。
この記事へのコメントはありません。