日本海の津波 揺れたら避難徹底しよう

毎日新聞 2014年08月28日

日本海側の津波 避難と減災に本腰を

国土交通省の有識者検討会が、日本海の海底断層で発生する大規模地震に伴う予想津波高を公表した。

読売新聞 2014年08月29日

日本海の津波 短時間での襲来に備えたい

日本海側では、揺れはさほどでなくとも、大きな津波が来る。不意打ちされぬよう、着実な防災対策が求められる。

日本海の海底で発生する様々な地震で、どのような津波が襲来するか。政府が、想定すべき津波の最大規模や到達時間を初めて試算し、発表した。

人口の多い平地部では、北海道から福井県までの沿岸が4~12メートル台、京都府から九州北部が3~4メートル台の津波に襲われる可能性がある。沿岸部全体では、北海道で20メートルを超える地点がある。

ただ、これらは、あくまで現段階での目安に過ぎない。まだ見つかっていない断層で発生する津波もあろう。警戒は怠れない。

試算は、東日本大震災を踏まえて2011年に制定された「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく。沿岸自治体に津波対策の強化を義務づけている。

太平洋側では、南海トラフ地震などを念頭に、各自治体が巨大津波対策を進めている。これに対し、広大な震源域がない日本海側では、関係する16道府県の取り組みにばらつきがあるのが現状だ。

今回、政府が津波の試算をまとめたことは、関係自治体の対策を促す上で意義がある。

対策を講じる際に重要なのは、日本海側の地震、津波の特性を十分に考慮することだ。

日本海の海底断層は沿岸に近く、浅い位置にある。津波が大きくなりやすく、地震発生から沿岸に達するまでの時間も短い。試算によると、到達時間が1分以内という地域が少なくない。迅速な避難が何より大切になる。

被害軽減のため、地域の実情に合わせたハザードマップを作成すべきだ。避難路の整備や訓練など、ハード、ソフト両面から実践的な取り組みを進めたい。

北海道から秋田県の沖で発生した津波が、海底の地形の影響を受けて拡散し、中国地方まで到来する可能性も指摘された。

日本沿岸の津波が大陸沿岸で跳ね返り、繰り返し被災地に押し寄せる恐れもあるという。いったん津波が引いても、気を緩められないということだ。

原子力発電所の安全対策も重要である。日本海沿岸には、福井、新潟両県のように、原発が集中立地している地域が多い。

電力会社は東日本大震災を教訓に、既に政府試算より大きな津波を想定し、防潮堤の建設や、浸水時の電源確保などの対策を講じている。津波の脅威を考えれば、万全の備えが欠かせない。

産経新聞 2014年08月28日

日本海の津波 揺れたら避難徹底しよう

海岸近くで強い揺れを感じたら、すぐに高い所へ逃げる。津波から命を守るための鉄則を、改めて肝に銘じたい。

日本海の大規模地震による津波について、政府の調査検討会の想定が公表された。津波の高さは最大で23メートル、地震発生から津波到達までの時間は最短で1分という、極めて深刻な内容である。原発周辺では、電力各社が新規制基準に沿って想定した津波高を下回った。

日本海の大規模地震では、短時間で大津波が襲来する可能性があることは、頭に刻み込んでおくべきだ。一方で、津波の高さや到達時間の想定の数値に、過度にとらわれることも良くない。

日本海の地震は、太平洋側の南海トラフ地震などに比べると科学的知見が乏しい。想定はあくまでも最悪のケースであり、不確かさもはらんでいる。

最もいけないのは、「1分や2分では逃げられない」と、避難を諦めてしまうことだ。

平成5年の北海道南西沖地震を振り返ろう。

マグニチュード(M)7・8の大地震発生の直後に大津波が奥尻島を襲った。死者・行方不明者は230人。地震から津波到達まで2~4分だったとされる。

被害が大きかった青苗地区は津波と火災で壊滅状態となった。当時の住民1015人のうち死者・行方不明者は107人を数えた。一方で、10年前の日本海中部地震(昭和58年)を教訓に、すぐに避難した住民の多くは助かった。

たとえ津波襲来までの時間が短くても、すぐに避難を始めれば助かる可能性は広がることを、奥尻の教訓として学びたい。

東大などが行った島民の聞き取り調査では、津波の犠牲になったケースで「津波は予想したが襲来までには時間があるだろうと思っていた」「家族や近所の人と一緒に逃げようとして逃げ遅れた」などの理由が浮かび上がった。

東日本大震災では、地震発生直後の予想津波高が実際より低い数値だったために、「堤防があるから大丈夫」と判断して犠牲になった事例が指摘された。

どんな状況であれ、津波に対して「逃げない理由」を作ってはならない。数値にとらわれることの怖さを示す一例でもある。

重ねて書く。「揺れたらすぐ逃げる」。それ以外に津波から命を守る方法はない。

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