成績の振るわなかった地域で、学力の向上が目立った。全国学力テストの成果の表れだろう。
文部科学省が4月に実施した全国学力テストの結果を公表した。
全国学力テストは、小学6年生と中学3年生の全員を対象に、国語と算数・数学の基礎的な知識と応用力を測るため、2007年度から実施されている。
民主党政権時代には、10年度と12年度に約3割の小中学校を抽出して行われたが、昨年度からは全員参加方式に戻った。
今回、成績アップが目立ったのは、沖縄県の小6だ。全国最下位の科目がなくなり、算数の基礎問題ではトップ10に入った。
昨年度、小6国語の基礎問題で最下位だった静岡県も、ほぼ全国平均に回復した。
こうした自治体では、児童生徒に、自分の考えを文章にまとめさせる授業に力を入れている。指導力向上のための研修会に参加する教師も増加した。
成績上位の秋田県や福井県などの教師との交流を通じて、指導方法を学ぶ試みも進んでいる。
文科省は、指導改善の取り組みが、学力の底上げにつながっていると分析している。全員参加の全国学力テストが、適度な競い合いを生み出した結果と言えよう。
ただ、小6、中3とも、図形の証明や、書き手の意図を文章で表現するような応用問題を苦手とする傾向が続いている。
今回のテスト結果を基に、文科省が来月配布する授業のアイデア例などを参考に、指導力の一層の向上を図ってもらいたい。
全国学力テストについては、今回から、自治体の教育委員会が学校別成績を公表することが認められるようになった。
文科省は学校の序列化や過度な競争を招かないようにするため、平均正答率などの数値だけでなく、分析結果や改善方法を併せて公表するよう求めている。
日教組は数値を示せば、序列化は避けられず、子供に過度なストレスを与えると反対するが、果たして、そうだろうか。
子供たちはどのようなところで学習につまずいているのか。学力アップには、どのような対策が必要なのか。テスト結果から、教師と保護者が共通の認識を持つことで、学校教育に対する保護者の理解が進むはずだ。
大半の教委はまだ、学校別成績の公表には及び腰だという。文科省は、公表のメリットを周知していく必要がある。
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