辺野古調査 移設実現へ大きな一歩だ

朝日新聞 2014年08月16日

辺野古移設 亀裂を深める強硬手法

海上保安庁の黒いボートや、防衛省に雇われた作業船が数十隻。沖合には巡視船が10隻ほど控え、目を光らせる。

沖縄県名護市辺野古の海は物々しい空気に包まれている。

抗議行動の小さな船やカヌーは、海保のボートに囲まれると、なすすべもない。体を押さえられ、漁港まで連れ戻された人もいる。

厳戒態勢の下、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古への移設工事が動き出した。防衛省は立ち入り禁止区域を示すため、ブイなどの浮き具設置作業を続けている。終えると海底ボーリング調査を始める。

菅官房長官は「粛々と進める」と繰り返すが、現地では、何が何でも移設工事を進めるのだという政府の強引さばかりが目につく。地元の人には「異様な光景」と映る。

政府は、移設先の米軍キャンプ・シュワブ周辺の立ち入り禁止区域を大幅に拡大。埋め立て予定地が丸ごと収まるよう沖まで浮き具を巡らす。この中に反対派が入れば、刑事特別法での摘発も検討している。

ここまで厳重な対策を取るのは、2004年に海底ボーリング調査を試み、反対派の激しい抵抗で調査が中止に追い込まれた苦い経験からだ。

だが、この強硬な手法は、米軍、そして日本政府に対する沖縄県民の反感を、ますます増幅させている。

米軍統治下、米軍は県民に銃剣を突きつけ、ブルドーザーで家屋や農地をつぶし、沖縄に基地を広げた。その記憶が呼び覚まされ、「日本政府版『銃剣とブルドーザー』だ」と表現する人さえいる。

11月の沖縄県知事選には、辺野古埋め立てを承認し移設を推進する現職と、移設に反対する新顔らが立候補する見込みだ。

政権側には、工事を進めて既成事実を積み重ね、現職有利に持ち込みたい意図がある。あるいは、反対派に敗れても基地建設は止まらない、と予防線を張っているようにも見える。

移設反対を掲げ、今年1月に再選された地元名護市の稲嶺進市長は「地元に丁寧に説明をし、理解を得るとしながら、地元への情報提供もないまま強行するとは」と反発を強める。

このまま対立が進めば、沖縄の反基地感情は修復不能なまでに高まるだろう。不信感に覆われた安全保障政策が果たして機能するのか。

政府はボーリング調査を強行するより、地元との対話に乗り出すべきだ。これ以上、沖縄との亀裂を深めてはならない。

読売新聞 2014年08月17日

辺野古海底調査 移設工事を粛々と進めたい

政府は法律に基づき、移設工事を着実に進めることが重要である。

米軍普天間飛行場の移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部で、防衛省が、海底地質を調べるボーリング調査の準備作業を始めた。

6月に大幅に拡大した米軍キャンプ・シュワブの常時立ち入り禁止水域内で、調査地点を囲む形でブイ(浮標)を設置した。調査を行う台船も組み立てた。

政府は2004年にも辺野古沖でボーリング調査を試みたが、移設反対派の海上での妨害行為に有効な手が打てず、調査を中止した。同じてつを踏んではならない。

今回は、反対派が禁止水域に侵入した場合、日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反として、海上保安庁が取り締まる方針だ。法治国家である以上、違法な妨害行為の排除は当然である。

海保は、必要な人員や巡視船・ボートなどを動員し、万全の警戒・警備態勢をとる必要がある。防衛省や警察など関係機関と緊密に連携することも大切だ。

防衛省は昨年3月、公有水面埋立法に基づき、辺野古沿岸部の埋め立てについて、漁業権を持つ名護漁協から同意を取り付け、仲井真弘多知事に申請した。環境保全措置などに関する沖縄県の審査を経て、12月に承認を得た。

法律上、必要な手続きは適切に実施しており、多くの関係者の理解も得ている。防衛省は粛々と工事を進めなければならない。

移設に反対する名護市の稲嶺進市長は、付近の漁港の使用許可権限を盾に、資材置き場の建設に応じないなど、工事を阻む構えを見せる。防衛省は、別の場所に資材置き場を確保するなどの対策を講じることが欠かせない。

辺野古の代替施設では、米軍機は主に海上を飛ぶ予定だ。市街地にある普天間飛行場に比べて、事故の危険性や騒音など周辺住民への影響が格段に小さくなる。

辺野古移設の実現は、沖縄県全体の基地負担の軽減と米軍の抑止力維持を両立させる観点から、大きな意義がある。

11月には沖縄県知事選が行われる。仲井真知事は既に、3選出馬を正式に表明している。

辺野古移設に反対する翁長雄志・那覇市長と、移設の賛否を県民投票で問うとする下地幹郎・元郵政改革相も出馬する見通しだ。

公有水面埋立法に、知事が埋め立て承認を取り消す規定はない。沖縄や日米関係を再び混乱させることがないよう、辺野古移設は確実に実現したい。

産経新聞 2014年08月17日

辺野古調査 移設実現へ大きな一歩だ

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の名護市辺野古への移設作業が、重要なステップを踏み出した。

埋め立て工事の前提となる海底のボーリング調査を行うため、立ち入り禁止の範囲を示すブイ(浮標)やフロート(浮具)が設置された。

反対派が抗議行動をとったが、防衛省と海上保安庁は安全に留意しつつ必要な措置をとった。妥当であり、歓迎したい。

安倍晋三首相は4月の日米首脳会談で、辺野古移設を「強い意志をもって早期かつ着実に進めていく」とオバマ大統領に約束した。この方針に基づき、粛々と作業を進めてもらいたい。

立ち入り禁止の措置は、政府が7月に臨時制限区域を設定したことに基づいている。

移設反対派が小型船などで進入した場合、海上保安庁は日米地位協定に基づく刑事特別措置法を適用し、検挙する方針だ。

10年前に辺野古沖でボーリング調査が試みられた際、反対派は作業海域に自由に出入りできた。調査用のやぐらを占拠し、組み立てを直接妨害した。危険を招きかねない、海上での度を越した抗議活動が横行し、調査は断念に追い込まれた。

今回の防衛省や海保の対応は、移設作業関係者と反対派双方の安全に留意した措置といえる。

政府が引き続き取り組むべきなのは、辺野古移設の重要性を沖縄の関係自治体の住民らにしっかりと説明することである。

住宅密集地に隣接する普天間基地の使用が固定化されれば、その危険性は除去できない。円滑な移設は、日本の守りに寄与している在日米軍の抑止力を保つ上でも欠かせない。

辺野古沖にブイとフロートが設けられた14日、尖閣諸島(石垣市)周辺の領海の外側にある接続水域を、中国海警局の公船3隻が航行した。中国は尖閣奪取の構えをとったままであることを忘れてはならない。

中国の海空軍は東シナ海で軍事活動をますます活発化させる。沖縄が国の守りの最前線になっていることにも留意すべきだ。

移設が滞れば、民主党政権当時のように日米同盟関係はぎくしゃくし、日本を守る抑止力が損なわれかねない。そうなって喜ぶのはどの国なのかを、反対派住民も考えてほしい。

戸田弘之 - 2014/08/17 08:25
沖縄の人達もナーバスになっているので、慎重な対応を求めます。
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