アルゼンチン 国家破綻にルールを

朝日新聞 2014年08月02日

アルゼンチン 国家破綻にルールを

アルゼンチン政府の債務(借金)問題の解決が暗礁に乗り上げた。全額返済を求める米投資ファンドとの対立を期限までに解決できず、一部投資家への利払いができなくなって米格付け会社が債務不履行(デフォルト)と認定したのだ。

アルゼンチン政府は2001年、借金が返せなくなり破綻(はたん)した。そのうち民間から借りていた約1千億ドルについては、金額ベースで93%の投資家と、返済額を約7割減らすことで合意し、新たな国債と交換して利子を払ってきた。

しかし減額に応じなかった一部の米投資ファンドが提訴。米国の裁判所は今年6月、ファンドに全額を返さない限り、新たな国債への利払いを認めないと判断。アルゼンチン政府とファンドが協議を続けてきたが、合意できなかった。

アルゼンチンは01年以後、国際的な金融市場から事実上、締め出されており、今回のデフォルトが世界の金融市場に与える影響は小さいとみられる。

しかしアルゼンチン経済にとっては痛手だ。アルゼンチンは約100億ドルの公的債務の返済について、パリクラブ(主要債権国会議)と今年になって合意するなど、国際市場への復帰を目指していた。それが当面、難しくなる。外貨準備が減っていくなか、自力での経済再建を目指さざるを得ない。

ファンドにとっても、資金力の乏しいアルゼンチンを追い詰めて得られるものは少ない。両者は妥協点を探るべきだ。

今回の混乱を直接招いたのは米裁判所の判断だ。「減額に応じなければ一切利子を払わないのは、国債発行時に定めた債権者平等条項に反する」というファンドの主張を認めた。

債務者の支払い能力を考慮して大多数の債権者が合意した債務削減計画を無視するような判断には疑問が残る。一国の司法判断が国際的な債権者の合意を台無しにした事実は重い。今後、債務問題で、債権者の合意を得ることが難しくなるかもしれない。

最近は、一定割合の債権者が債務の減免に合意すれば、債権者全体に強制的に適用される「集団行動条項」を発行時に定める国債が増えている。しかし同じような文言でも、国によって司法の解釈が分かれる可能性は残る。

国際通貨基金(IMF)は00年代前半、こうした問題に対する法的な枠組みづくりを検討したことがある。が、合意が得られずに棚上げになった。再挑戦することも一案だ。

毎日新聞 2014年08月04日

アルゼンチン 混乱防ぐ法的枠組みを

アルゼンチン政府が国の借金の利払いを期限までに実行できず、債務不履行(デフォルト)に陥った。同国の国債の保有者(=貸手)で、満額の返済を要求していた米ヘッジファンドとの交渉が決裂したためだ。

読売新聞 2014年08月05日

アルゼンチン 「ハゲタカ」の横暴が目に余る

アルゼンチン政府が国債の利払いをできない債務不履行(デフォルト)の状態に陥った。

事態の早期収拾を図り深刻な危機に拡大しないようにすることが重要だ。

今回のデフォルトは、全額返済を求める米投資ファンドとの交渉決裂によって起きた。

アルゼンチンは2001年にいったんデフォルトになった。1000億ドルの債務について9割超の投資家と約7割の減免で合意し、利払いを続けてきた。

ところが、減免に応じないファンドが提訴し、ファンドに全額返済するまで他の債権者への利払いを認めないとする判決が、米国の最高裁で確定した。

このため、アルゼンチン政府はファンド以外の債権者に利払いしたくてもできなくなった。

問題の投資ファンドは、当初の債権者から国債を破格の安値で買い取り、全額返済を求める裁判を起こした。アルゼンチン当局がファンドを「ハゲタカだ」と、強く非難しているのは当然だろう。

現在、アルゼンチン国債の市場取引はほとんどなく、国際金融市場への影響は限定的とされる。

だが、信用低下による通貨安など、アルゼンチン経済への打撃は避けられない。経済の結びつきの強いブラジルなど新興国に連鎖しないか、注視する必要がある。

混乱の長期化は、ファンドにとっても得策ではあるまい。経済力の乏しいアルゼンチンをいくら追いつめたところで、得るものは限られよう。ファンドはアルゼンチン政府との間で、現実的な妥協点を探るべきだ。

問題は、荒稼ぎを狙ったファンドの行動で、01年のアルゼンチン危機を収束させるため、債権者が損失覚悟で結んだ合意が、簡単に台無しになったことである。

多数の債権者が合意した経緯があるのに、ファンド側の一方的な主張を認めた米裁判所の司法判断を疑問視する見方も多い。

一国の司法判断が国際的な合意を覆したことに、国際通貨基金(IMF)などは、他国で将来、デフォルトなどが起きた際、債務減免といった支援策をまとめにくくなるとの懸念を強めている。

最近は、一定割合の債権者が債務削減に合意すれば、すべての債権者が従わなければならないという条項を、発行時に定めている国債が多いという。

IMFや先進7か国(G7)は、こうした取り決めが司法の場でも実効性を保てるよう、国際的な枠組み作りを急ぐべきだ。

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