対露制裁強化 米欧の協調で圧力かけ続けよ

毎日新聞 2014年08月03日

対ロシア制裁 首脳間対話の道も探れ

日米欧が協調してロシアに対する制裁強化を決めた。ウクライナ東部で起きたマレーシア航空機撃墜事件の原因調査を親ロシア派武装集団が妨害しており、ロシアが今なお武装集団への支援を続けているというのがその理由だ。ロシアは国際社会の深刻な懸念を受け止め、納得が得られる説明をすべきだ。

読売新聞 2014年08月01日

対露制裁強化 米欧の協調で圧力かけ続けよ

米欧各国が足並みをそろえて、経済への悪影響も覚悟し、ロシアに対する外交圧力を強めた意義は大きい。

米国と欧州連合(EU)が、本格的な対露経済制裁の発動を決めた。東西冷戦終結後では最大規模とされる。

EUは、3月にクリミアを一方的に編入して以来のロシアの行動を強く非難し、同国の対応次第では更なる追加制裁も示唆した。

制裁には、ウクライナ東部で起きたマレーシア航空機撃墜事件の国際調査に協力するよう、ロシアに圧力をかける狙いがある。

事件後、現場は親露派武装集団に支配されてきた。機体の残骸からは、証拠隠滅とも受け取れる切断の跡が見つかった。国連安全保障理事会決議が求めた現場の保存とは、ほど遠い状況である。

国際調査団が現場入りできたのは、31日になってからだ。

ロシアには、真相究明に向け、親露派武装集団に影響力を行使させるとともに、ウクライナへの介入をやめさせる必要がある。

米欧の制裁は、欧州への影響が大きいガス関連企業を対象から外したが、金融、軍需、エネルギー部門というロシア経済の根幹を標的としている。

ロシア国営銀行による米欧金融市場での資金調達を制限した。新規の武器取引、軍民両用技術の提供、海底油田やシェールオイル開発向けの技術供与も禁止した。

欧州は、重要なエネルギー供給源のロシアへの本格制裁に及び腰だった。だが、撃墜事件で多数の犠牲者を出したオランダが強く主張し、慎重なドイツが動いた。

米国が、ロシア領内からの対ウクライナ攻撃の証拠として衛星写真を公表したことも、欧州に制裁強化を促す一助になった。

ロシア経済は、株価やルーブルの下落、資金流出など、悪化の兆しが出ている。外国からの投資と技術への依存度も高く、制裁が経済全体へ悪影響を及ぼすことは避けられまい。北極海や西シベリアでの資源開発も停滞しよう。

プーチン露政権は、欧州向けエネルギー価格の引き上げなどで対抗する構えだ。米欧との関係は、対決色が強まろう。

日本が米欧との連携を重視し、ウクライナ問題に関係する個人や団体の資産凍結、クリミア産品の輸入制限などの対露追加制裁を決めたのは妥当である。

日本は、今秋のプーチン露大統領の来日を調整しているが、当面は、事件の調査進展に向けた国際協調を優先する必要がある。

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