自民党大会 谷垣さん、もっと前に

朝日新聞 2010年01月25日

自民党大会 再建担える若い人材を

ひときわ大きな拍手がわいたのは、「決別宣言」に対してだった。

きのう、政権交代後初めての自民党大会が開かれた。そこでの谷垣禎一総裁の演説である。

「54年の政権与党の間に積もり積もったしがらみの数々。それは本来、国民とつながる絆(きずな)のはずだが、惰性に陥っていた」

「我が党が官僚諸君に依存し、安住し、政治と官僚のなれあいが生じたのも否めない」

そう反省の弁を述べたうえで、「一部の人間が利益を分配して、内輪の権力闘争に明け暮れる、そんな自民党とはきっぱりと決別する」と語った。

支持者に利益を配ろうにも、予算や税制の決定権はすでにない。官僚機構にももう頼れない。失ったあと、ようやく語られた「決別」。遅きに失した感はあるが、党再生には欠かせない、過去の総括の一歩と言えるだろう。

しかし、総裁の一言で長期政権の総括をしきれるわけもない。傾いた家を壊し、建て替えるには、それだけの時間と地道な取り組みが必要だ。

第一は政策・路線の再検討である。

大会では新綱領が了承された。そこでは「日本らしい日本の保守主義」といった理念のほか、次世代にツケを回さないよう「財政の効率化と税制改正により財政を再建する」と掲げた。

消費増税の議論を避ける民主党との違いを打ち出す狙いはわかる。だが、国の財政が悪化したのは、自民党政権下でのことだ。これまでの施策の何が誤りだったのか。どこをどう変えるのか。厳しく自問し、反省する作業を経ない限り迫力は出てこない。新しい家の設計図も明確な像を結ばない。

第二に、再建を担う人材を育てなければならない。政権交代の背景として、自民党に世襲議員が多いせいで、優秀な人材が民主党から立候補したと指摘されている。これを変えなければ再生はおぼつかない。

自民党は、国政選挙の候補者を公募し、予備選の実施など党員参加で選ぶ試みを始めているが、真剣に取り組むべきだろう。幸か不幸か、特に衆院では議席が減ったぶん、若く新しい人材を迎える余地が生まれている。

いずれも時間のかかる難題だが、いま始めなければ2大政党の一翼でいられるかどうかも怪しくなりかねない。現・前議員の離党が相次ぎ、舛添要一前厚生労働相は新党結成の可能性に言及している。

政治資金の問題などで民主党政権に逆風が吹いている。にもかかわらず自民党の政党支持率は低迷したままだ。民主党には期待はずれでも、今のままの自民党には政権を委ねられないという有権者の意思の表れだ。

自民党執行部に必要なのは、瀬戸際に立たされている深い自覚である。

毎日新聞 2010年01月25日

自民党大会 谷垣さん、もっと前に

党再建の足がかりとなっただろうか。自民党の定期党大会が開かれ、谷垣禎一総裁は「政治とカネ」の問題で鳩山内閣を追及し、早期の政権奪還を目指す決意を強調した。

政権交代以降、鳩山内閣の運営は迷走気味だが、その一方で野党に転落した自民党は存在感を発揮できず、参院選の候補公認をめぐる調整の難航など、もたつきばかりが目立つ。谷垣氏が党を主導する姿勢を前面に出すことが何よりも肝心だ。そのうえで、民主党との対立軸の構築に努めなければならない。

大会では、民主党への批判だけでなく、さきの衆院選敗北をもたらした党のあり方への反省を語る声が多く聞かれた。谷垣氏は自民党の長期政権下で与党への安住があった面を認め、「一部の人間が利益分配」する政党との決別を訴えた。ゲストで登壇したプロ野球・東北楽天前監督、野村克也氏の「負ける時は負けるべくして負ける」とのスピーチも、身にしみたはずだ。

この日の谷垣氏の演説はそれなりに意気込みを感じさせた。だが、次期参院選について与党過半数阻止など、具体的目標に踏み込まないのでは迫力を欠く。候補の公認調整は年齢問題などで手間取り、現職議員の離党も相次いでいる。民主党から容赦ない支持組織の切り崩しにあい、どれだけ幅広い層の国民から信頼を回復できるかが問われているはずだ。内輪もめにエネルギーを費やしているばかりでは、とても守勢からの転換は図れまい。

また、民主党の小沢一郎幹事長との対決を意識し谷垣氏は「『小沢独裁』と戦う」とまで語った。では、民主党との違いは何か。大会では「進歩を目指す保守政党」を掲げ、新憲法制定や財政再建などが盛られた新綱領を採択したが、党再生の指針としては生煮えだ。

東西冷戦終結後、自民党はその存在意義を自ら問い直さないまま政権に安住し、凋落(ちょうらく)を招いたと言える。それだけに、理念や基本政策の合意形成を改めて進めることが肝心だ。格差問題への批判などを意識したのか「小さな政府」との表現を新綱領からは除いたが、そもそも「小泉改革」の総括すら不十分ではないか。

自民党が野党として「政治とカネ」の疑惑を追及することは当然だ。だが、国民の期待はそればかりではあるまい。建設的な「よき野党」としての信頼を取り戻してこそ、鳩山内閣や民主党も、より緊張感のある政権運営を迫られよう。

参院選で退潮が続くようでは再生どころか、党解体にすら直結しかねないのが厳しい現実だ。だからこそ、谷垣氏は古いしがらみを断ち切る姿を自ら示す覚悟がいる。

読売新聞 2010年01月25日

自民党大会 「再生」の姿が見えてこない

古い殻を打ち破り、思い切ってイメージ転換を図らない限り、政権奪回への道は開けまい。

自民党が定期党大会を開き、新綱領と、今夏の参院選で「第1党の座」をめざすとした運動方針を採択した。

自民党を取り巻く環境は、これまでになく厳しい。

衆参両院で過半数を割る中、現職議員の離党が相次ぎ、支持団体の離反も目立っている。小泉構造改革路線をめぐる党内対立も尾を引き、世代間の軋轢(あつれき)もある。

政党支持率は低下し、今や2割の支持しか得られていない。

民主党は、鳩山首相や小沢幹事長の政治資金問題で大きくつまずき、支持率を低下させている。

それなのに、自民党が「民主批判」の受け皿になり得ていないのは、有権者が「再生自民」の手応えを感じられないからだろう。

新綱領は、昨年の衆院選敗北の反省に立ち、「国際的責務を果たす日本らしい日本の保守主義を政治理念として再出発」すると宣言、新憲法制定などを明記した。

5月には、憲法改正手続きを定めた国民投票法が施行される。それを機に、「国のかたち」にかかわる憲法論戦を、国会でも再活性化させる必要がある。

民主党は、政権内に「護憲」の社民党を抱えており、憲法論議で身動きが取れない状況だ。自民党が改正論議の主導権をとることは、民主党と差別化をはかるうえでも役立つだろう。

運動方針では、「消費税の全額が社会保障給付と少子化対策に充てられることを明確化した上で、消費税率を引き上げる」とうたった。責任政党として当然だ。

消費税論議を避けている民主党に対して、積極果敢に論争を挑んでもらいたい。

しかし、こうした取り組みだけでは、今夏の参院選に向けて、反転攻勢をかけるのは困難だ。

参院選の候補者は、公募などを通じ、もっと清新な人材を送り出さねばならない。同時に、民主党の政策を批判するだけでなく、自民党の政策も見直し、説得力のある対案を示すことも大事だ。

谷垣総裁は、大会での演説で、「野党としての政権批判の責務をしっかりと果たすこと」の重要性を指摘し、「『小沢独裁』と闘わなければならない」と、民主党との対決姿勢を鮮明にした。

だが、先の衆院予算委員会での首相との論戦では、力強さに欠けたとの指摘が少なくない。「戦う野党」党首として、強い指導力の発揮が求められる。

産経新聞 2010年01月25日

自民党大会 谷垣氏は戦う姿勢みせよ

野党転落後、初の自民党大会で谷垣禎一総裁は「積極果敢に戦う」と結束を呼びかけたが、党員の胸にどれだけ響いただろうか。

党大会に参加した人々の頭には、先週の衆院予算委員会で、谷垣氏が鳩山由紀夫首相と直接対決した場面の印象が残っていたのではないか。

首相の偽装献金問題を攻め立てる絶好の機会を得たのに「今日はこのぐらいで」などと、与野党ともに肩すかしを食らうような中途半端な追及が目立った。迫力不足は否めない。参院選の候補者選定でも、毅然(きぜん)とした姿勢を示さず、谷垣氏の「顔」が見えない状態が続いている。

23日の全国幹事長会議では、地方代表から「もっと体を張って取り組んでほしい」といった谷垣氏への注文が相次いだ。離党者が相次ぎ、党内からも新党論が出ることへの不満が広がっている。

「政治とカネ」の問題などで鳩山内閣が失速しているのに、自民党が存在感を回復できないことへのいらだちも、指導力を欠く谷垣氏に向けられている。

党長老や実力者の排除論が出た昨年の総裁選で谷垣氏が選ばれたのは、党内融和が優先された結果でもある。だが、谷垣氏は党大会で「一部の人間が利益を分配して、内輪の権力闘争に明け暮れる自民党とは決別する」と言い切った。実力者の顔色をうかがうことはしないという意味なら、候補者選定など行動で示してほしい。

死にものぐるいで与党と対決し、参院選を少しでも優位に導くのが谷垣氏の役割だ。それが無理だというなら、戦いを待たず、党首の資格を問い直される事態も予想されよう。

一方、党大会で採択された「新綱領」は、保守政党の立場を明確にし、新憲法制定の必要性を打ち出した。天皇制尊重や「家族・地域社会・国」への帰属意識など「日本らしさ」を重視する立場を再確認したのは評価したい。

永住外国人への地方参政権付与法案について、石破茂政調会長が「拙速な法案成立に断固反対する」と表明したのは当然だ。これまで連立相手の公明党に配慮して、自民党らしさがなくなったことも支持層の離反を招いた。

鳩山内閣の政策には、地方参政権など国家主権や国益を損ないかねないものが多い。それをただすことは、政権奪回を目指す自民党の重大な責務である。

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