日米防衛相会談 同盟強化へ画期的な新指針に

読売新聞 2014年07月13日

日米防衛相会談 同盟強化へ画期的な新指針に

日本とアジアの新たな安全保障環境に、より効果的に対処できるよう、日米同盟の実効性を高めることが肝要である。

小野寺防衛相とヘーゲル米国防長官がワシントンで会談し、年内に改定する日米防衛協力の指針(ガイドライン)に、集団的自衛権の行使を限定容認する新たな日本政府の見解を反映させる方針を確認した。

新指針の中間報告を早期に公表することでも一致した。ヘーゲル長官は記者会見で、新見解について「大胆で歴史的な決定であり、強力に支持する」と表明した。

新指針には、集団的自衛権の行使容認を前提に、自衛隊と米軍の協力拡大をできるだけ具体的に盛り込むことが重要である。

1978年に日本有事を想定して作られた指針は、97年の改定で、朝鮮半島などの周辺有事の際、自衛隊が米軍に一定の後方支援を行うことが明記された。

しかし、集団的自衛権の行使や「武力行使との一体化」を禁じる憲法解釈のため、支援内容は大きく制限されていた。

日本周辺では、北朝鮮が核・ミサイル開発を続け、中国は東・南シナ海で挑発行為を強めている。17年間で激変した安保情勢に対応する新指針が不可欠だ。

様々な事態を想定し、平時から有事まで「切れ目のない」自衛隊と米軍の共同対処の作戦計画を策定することが急務である。

政府は今回、集団的自衛権行使を限定容認し、「武力行使との一体化」の対象を戦闘現場での支援などに限った。これにより、自衛隊の米艦防護や米軍への補給・輸送支援の拡大が可能になった。

周辺有事では、自衛隊がこうした米軍支援を行う。武装集団による離島占拠などのグレーゾーン事態では、米軍がより迅速に自衛隊と共同対処する。こんな双方向の協力を新指針で打ち出したい。

ヘーゲル長官は、日米協力を深める分野として、ミサイル防衛、大量破壊兵器の拡散防止、海賊対処、災害救援などを挙げた。日本政府は、これらの分野での協力拡大を念頭に、国内関連法の整備を着実に進める必要がある。

防衛相会談では、今年4月に閣議決定した防衛装備移転3原則を踏まえ、装備・技術協力を強化することでも一致した。

小野寺防衛相は訪米中、航空自衛隊が導入する最新鋭ステルス戦闘機F35の国際的な整備拠点を日本に誘致する考えを示した。防衛生産・技術基盤の維持・拡充のため、実現を目指すべきだ。

産経新聞 2014年07月14日

日米防衛相会談 同盟の新段階築く指針を

日本やアジア太平洋地域の平和と安定を確保するには、日米同盟の下で十分な抑止力が発揮されなければならない。

それを実現する、新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)作りを加速するときだ。

安倍晋三政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことを受け、小野寺五典(いつのり)防衛相が米国のヘーゲル国防長官とワシントンで会談し、一連の安全保障法制の見直し内容を年末に策定する新指針に反映させることで一致した。

ヘーゲル氏は安倍政権の決定を強く支持し、「指針の歴史的改定が可能になる」と語った。同盟の「新たな段階」を迎える作業を着実に進めてほしい。

新指針は、自衛隊と米軍の役割分担を決める政府間の重要文書である。これに基づき、自衛隊や米軍は個別または共同の作戦計画を立てて行動する。

小野寺氏が記者会見で「閣議決定を十分反映させた画期的な指針にすべく、作業を進める」と語ったのは当然である。

ただ、閣議決定に至る与党協議では、政府・自民党と公明党の間で集団的自衛権の行使をめぐる考え方について、なお曖昧な点を残している。公明党が行使の範囲をできるだけ狭めたいからだ。

自衛隊の活動を拡大し、いかに機能を発揮できるようにするかをはっきりさせておかなければ、同盟による抑止力向上も国の守りの強化もおぼつかない。

「同盟国との関係を革新的に強化する」という小野寺氏が挙げた課題を実現するには、閣議決定をことさら限定的にとらえ、自衛隊の行動範囲を過度に抑制するようなことは避けるべきだ。

小野寺氏は訪米期間中、米海兵隊の戦闘開発司令部を訪問し、自衛隊に水陸機動団を創設することを踏まえ、「実戦のノウハウ」の提供を要請した。新型輸送機オスプレイの購入費を平成27年度予算の概算要求に計上することや、離島奪還や災害救援用の強襲揚陸艦の導入検討も表明した。

次期主力戦闘機F35のアジアでの整備拠点を日本に誘致する意向も示した。これらは評価できる。さらなる取り組みも求めたい。

防衛相会談での合意が、新指針策定の弾みとなることを期待したい。個々の防衛力整備の課題も実現し、平和を保つ施策を確実に推進することが欠かせない。

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