中国8%成長 バブル経済の崩壊をどう防ぐ

朝日新聞 2010年01月24日

中国の高成長 隣国の活力生かす道を

中国の2009年の国内総生産(GDP)は、前年比8.7%の伸びとなり、日本に肉薄した。より高い成長が見込まれる今年は、日本を追い抜くことが確実視されている。

巨額の公共投資に加え、自動車や家電などの消費奨励策、金融緩和策が効果を発揮し、国家目標の「8%成長」を達成した。中国の財政金融政策の威力を見せつけた。

自動車は生産・販売とも世界一になり、上海株式市場の売買代金は東京を抜いて世界3位である。勢いづく中国は、世界経済のエンジンとして期待を集める存在になった。

だが、高成長も一皮むけば、危ういバランスの上にあることがわかる。

最大の不安要素は、景気刺激策の副作用だ。公共事業を担う国有企業に、国有銀行から巨額の資金が流れ込んだ。輸出競争力を維持するために人民元の対ドル相場を安く据え置く「元売りドル買い」介入により、市中に資金がだぶついている。これらが株式や不動産の相場をつり上げた。

住宅価格の上昇に対する国民の不満がくすぶり、この先、消費者物価が上昇すれば生活を圧迫する。

景気刺激策の8割程度を鉄道や道路、港湾などの公共投資が占め、公害や資源の浪費が懸念される。

こうした副作用を抑えるため、中国政府はいずれ金融引き締めなどで景気対策からの「出口」を探らざるをえない。バブルの芽を摘み、過度の輸出依存から脱するには、人民元の対ドルレートの切り上げも必要になる。

同時に大切なのは、内需を拡大しつつ国民の所得格差の是正に努めることだ。それが対外不均衡や社会のひずみを是正するのに役立つ。

具体的には、一人っ子政策による少子高齢化が本格化する前に社会保障制度を整えたり、賃金を引き上げたりして国民の生活水準を高め、消費のすそ野を拡大する必要がある。

環境と調和した生活を実現するためにも、国際社会から求められる温暖化対策に力を注ぐ。そうして成長の質を高める。それらも今後の課題だ。

日本にとって、中国はすでに米国を上回る最大の貿易相手だ。2万社を超える日本企業が進出する投資先でもある。「世界第2の経済大国」の看板を譲り渡す日本は、決して将来を悲観すべきではない。むしろ、この伸び盛りの隣国の活力を、日本の経済成長につなげる方法を考えるべきだ。

そのためには、貿易や投資を円滑にする経済連携協定(EPA)の交渉を本格的に推進しなくてはならない。

製品やサービスの交流だけでなく、社会保障の制度づくりや環境技術をはじめとする日本の知恵で、中国の経済成長の新段階を開くことは可能だ。それを日本の未来図に生かしたい。

読売新聞 2010年01月24日

中国8%成長 バブル経済の崩壊をどう防ぐ

中国の2009年の実質経済成長率が、政府の目標としていた8%を達成した。

世界の主要国が、金融危機の影響から抜け出せずに低迷する中、中国経済の回復ぶりが印象づけられた。

だが、中国国内では過剰投資の副作用で、不動産価格が高騰するなどバブルが膨らみつつあるとの見方が強まり、中国政府は金融引き締めに動き始めた。

今や、世界経済のけん引役になった中国経済が安定成長軌道に軟着陸できるか。中国政府は難しいかじ取りを迫られており、その動向に関心が集まっている。

中国政府によると、09年10~12月期の成長率は10・7%と、08年4~6月期以来、6四半期ぶりに2けたをつけた。09年1~3月期には6・1%まで低下したが、それを底にV字型回復を示した。

この結果、09年は年間で8・7%成長を記録した。

中国の国内総生産(GDP)は昨年中に日本を抜き、世界第2位になるとの観測もあった。だが、円高もあり、わずかに日本が上回ったのではないかとされる。

ただし、今年は中国が日本を抜くのがほぼ確実なようだ。そうなれば、1968年に日本が当時の西ドイツを抜いて以来、42年ぶりの2位交代となる。

中国の高い成長の原動力が、08年秋から実施中の4兆元(約54兆円)に上る大型財政出動による大量の公共事業だ。

設備投資や不動産投資などを示す「固定資産投資」の年間伸び率が、前年を4・6ポイント上回る30・1%だったことでも裏付けられる。一時は弱りかけた景気の強力なカンフル剤となった。

輸出が昨年12月に、14か月ぶりに前年同月比でプラスに転じたことも大きい。中国の09年の輸出総額は世界1位となった。

ただし、今後も輸出増が続けば、為替管理政策で低く抑えられている人民元の切り上げ問題が、再浮上することは避けられまい。

中国経済で最大の問題は、都市と農村との間で、所得格差がさらに拡大したことだ。

都市住民の昨年の可処分所得の増加率が9・8%なのに対し、農民は8・5%だった。経済発展の恩恵が、農村には十分に及んでいないということだろう。

中国では1日1ドル以下の生活で暮らす貧困層が、まだ1億5000万人もいる。

都市と農村の均衡ある成長を図ることが、今後の中国経済の大きな課題である。

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