SIMロック 利便広げる解除は当然だ

毎日新聞 2014年07月09日

携帯SIMロック 解除で利便性の向上を

携帯電話会社は、携帯端末に「SIM(シム)ロック」と呼ばれる電子的な制限をかけている。携帯の契約をして端末を手にした後に、他の携帯会社に乗り換えたくても、ロックがかかっていて端末は作動しない。買い換えが必要になる。携帯会社が利用者を囲い込むやり方だ。

総務省はSIMロックの解除を、携帯会社に義務付ける考えだ。2015年度にも実施する方向で詳細を検討する。スマートフォン(多機能携帯電話)など携帯端末は、購入した利用者の所有物なのに、携帯会社の都合で制限がかけられてきた。欧米では契約から一定期間後に解除できるのが一般的だ。利用者の利便を考えれば解除義務化は当然だ。

NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手携帯3社は、料金やサービス、端末機種がほぼ横並びだ。寡占状態が進み、競争が働かなくなっている。

通信速度や容量は見劣りするが、料金は格安の通信会社が増えてきた。使い慣れたスマホで簡単に乗り換えられれば、利用者の選択肢は広がる。これを阻んでいたSIMロックが解かれれば、大手3社も格安会社に対抗して通信料の引き下げや、通信速度、容量に応じた料金体系の多様化を進める可能性がある。こうした競争は必要だ。

総務省は4年前、大手3社に自主的なロック解除を求めた。しかし、解除は一部にとどまり、米アップルの人気スマホ「iPhone(アイフォーン)」をはじめ、多くの端末はそのままロックされてきた。解除義務化は遅すぎたとも言える。

一方で大手3社は、客の奪い合いに血道をあげてきた。販売代理店に販売奨励金を積んで、何万円もするスマホを「実質ゼロ円」にし、高額のキャッシュバック(返金)までして他社から乗り換えさせるやり方だ。スマホを頻繁に買い替え、そのたびに携帯会社を乗り換える人には得だ。だが、奨励金は、すべての利用者の通信料に上乗せされている。長く使う客ほど不公平だ、料金をもっと下げるべきだという批判に大手3社は向き合うべきだ。

SIMロック解除で、利用者を縛れなくなれば、今までほど長期の通信料収入が見込めなくなり、多額の販売奨励金を積むこともできなくなる。

この結果、端末の価格が上がる懸念はある。ただ、通常2年間の契約期間中は、よほどサービスが悪くなければ乗り換えは進まず、さほど端末価格に影響しないとの見方もある。いずれにせよ、公平な販売手法、料金体系が大前提だ。そのうえで、競争を促し、サービスの多様化で選択肢を増やし、料金の引き下げや利便性の向上につなげてほしい。

読売新聞 2014年07月10日

SIMロック 「囲い込み商法」をやめる時だ

手持ちの端末が他の携帯電話会社でも使えるようになれば、利便性は大いに向上しよう。

スマートフォンなどの携帯電話は、契約情報を記録した「SIMカード」を差し込んで使っている。

携帯各社は他社のカードでは端末が作動しない「SIMロック」という制限をかけている。端末を買い替えなければ他社に乗り換えられないようにするためだ。

総務省は、こうした携帯各社の「囲い込み」が消費者の選択肢を狭めているとして、「SIMロック」の解除を2015年度から義務化する方針という。

他の携帯会社に移るたびに、使い慣れた端末を手放さなければならない現状に、納得できない利用者は多いだろう。ロック解除の義務化は当然である。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯3社は、ほぼ横並びのサービス、料金のもとで寡占状態を続けてきた。

欧米など海外では、契約から一定期間後にロック解除を義務化しているケースが多い。

総務省も10年、携帯各社に自主的にロックを外すよう求めたが、解除は一部の端末にとどまった。携帯業界の消極的な姿勢が改まらず、義務化に踏み切らざるを得なくなったと言えよう。

割安な料金の通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)が登場しているが、そのシェア(占有率)は約4%にすぎないとされる。

SIMロック解除を弾みに新規参入が増え、料金や通信サービスの多様化が期待できよう。

ロック解除の手数料を高額に設定するなど使い勝手を悪くすれば実効性は上がるまい。携帯各社には積極的な対応を求めたい。

携帯会社によっては、SIMカードを差し替えると音声電話が通じなくなるなど、サービスに支障が出る場合もある。利用者への丁寧な説明が求められる。

SIMロックによる顧客の囲い込みが、不毛な顧客争奪戦を助長してきた面もある。

携帯業界では、販売代理店に販売奨励金を渡し、本来は何万円もするスマホを大幅に値引きして、他社から契約を乗り換えさせる商法が続けられている。

スマホを何度も買い替える人には得になるが、奨励金は利用者の支払う通信料でまかなわれる。

長年の契約者がないがしろにされていると、不満を募らせる人も多い。携帯各社は利用者の厳しい視線を自覚する必要がある。

産経新聞 2014年07月05日

SIMロック 利便広げる解除は当然だ

携帯電話の大手同士がスマートフォン(高機能携帯電話)などの端末を相互に使えないようにしている「SIMロック」機能について、総務省が解除を義務付ける方針を打ち出した。

利用者は、高額な端末を新たに買うことなく、使い慣れた端末のまま、携帯電話会社を乗り換えることができる。競争促進には当然の措置で、日本の携帯事業のさらなる国際化も促しそうだ。

携帯電話契約のトラブル増加を受けて導入する予定のクーリングオフ制度とともに、平成27年度にも実施する。通信サービスの多様化や、高止まりとの批判もある携帯料金の値下げにつなげたい。

SIMロックは、電話番号などの利用者識別情報を記録したICカード(SIM)を端末に差し込むことで掛かる仕組みだ。事業者にとっては、顧客の囲い込みに不可欠な機能となっている。

一方で、他社からの顧客引き抜きのため、高額なキャッシュバック(返金)が日常的に行われるなど、歪(いびつ)な販売促進策が横行する一因にもなっている。

この販促費は、同じ端末を長期に使い続ける人の請求に上乗せされている。利用者間に不公平感を生む商慣行は正されるべきだ。

ロックの解除で、逆に端末価格の高騰を心配する声もある。端末での囲い込みに見切りをつけた電話会社が、価格を安く抑えるための販売奨励金の投入を打ち切る公算が大きいからだ。

だからといって、通信各社がロックの解除に消極的でいい理由にはならない。長い目で見れば、競争環境の整備は、利用者にはメリットの方がはるかに大きい。

大手の回線を借りて格安スマホなどを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスも広がる可能性がある。端末の中古市場の拡大も見込まれる。

欧米諸国では、契約から一定期間後にSIMロックは解除されるのが一般的だ。旅行者も、日頃使い慣れたスマホ端末に、現地で購入したカードを差し込むだけで、安い通信料金で利用できる。

日本では、端末の販売から通信サービスまで、すべてを携帯電話会社が提供している。このため端末は高機能だが、汎用(はんよう)性に欠け、世界市場では通用しないガラパゴス化の見本ともなっている。

携帯メーカーもロック解除を機に世界に打って出るべきだ。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/1875/