予算委員会 党首同士の論戦を重ねよ

毎日新聞 2010年01月22日

衆院予算委 もっと聞かせる論争を

事実上の党首討論としては今ひとつ期待はずれのものだった。

09年度第2次補正予算案を審議する衆院予算委員会が21日スタート、鳩山由紀夫首相と谷垣禎一自民党総裁が1時間半にわたって論戦した。

論戦の場が持たれたこと自体は評価したい。与党側が昨年9月の政権交代後、一度も党首討論に応じてこなかったからだ。今回も国家基本政策委員会という、いわゆる正規の党首討論の場ではなかったが、形より実が大切だ。谷垣氏がこの機を自ら買って出たことには敬意を表す。

ただ、討論を聞いてみて、物足りなさを感じた、と率直に言っておきたい。

まずは「政治とカネ」である。谷垣氏は持ち時間の半分近くを使って小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る疑惑や鳩山氏の偽装献金問題を取り上げた。千葉景子法相には指揮権発動の可能性についても問いただし、幅広い論点から追及したが、疑惑の外形をなぞっただけで、事実関係が深まるところまではいかなかった。

残り半分の時間は、外交・安保、経済財政政策、マニフェストの位置付けなど、国家の政策の肝についての意見交換に使われた。テーマ選定自体は党首討論としてふさわしいものであったが、いずれも尻切れトンボに終わった。

外交・安保では、日米安保が日本外交の基軸である、との一致点を確認する入り口論にとどまり、日米安保をめぐる周辺環境の変化、在日米軍基地の今後のあり方、首相の説く東アジア共同体構想との整合性など、安保改定50年の節目ならではの中身の濃い本音のディベートを聞くことができなかった。

経済財政政策では、国民がもっとも知りたい、と思っている成長戦略について、説得力のある政策提示がいずれからもなく、マニフェストについても単なる定義付けが行われたにすぎなかった。

我々が望んでいるのは、もっと深い論点の整理である。もっと聞き応えのある論争である。これは決してないものねだりではない。例えば、昨年の衆院予算委では加藤紘一・元自民党幹事長が「日本のアイデンティティーとは何か」との論争を仕掛け、首相の「友愛政治」論を深めることができた。類似例は過去にいくらでもある。谷垣氏も鳩山氏もそういった論争をするだけの見識、能力を十分持っているはずだ。

世界は大きく動いている。その中で、日本が政権交代を通じてどういう政治を実現すべきなのか。「政治とカネ」も重要だが、日本の明日をどうするのか。その手がかりになるような議論をぜひしてほしい。

読売新聞 2010年01月22日

予算委員会 党首同士の論戦を重ねよ

一問一答形式の予算委員会審議が始まった。

野党・自民党は、谷垣総裁を質問者に立て、鳩山首相の偽装献金事件などを厳しく追及した。

前国会では、首相側が党首討論を避けたため、この日の衆院予算委員会が初の「鳩山・谷垣」対決となった。

谷垣総裁は、鳩山首相が母親からの資金提供を「知らなかった」としていることについて、自らの関与が証明された場合、首相を辞任するかと迫った。

首相は「天地神明に誓って知らない。違うという事実が出てきたら、当然、バッジをつけている資格はない」と述べ、議員を辞職する考えを表明した。

野党時代には、加藤紘一・自民党元幹事長の元事務所代表の脱税事件などで、「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と繰り返し追及した経緯もある。

予算委でこう発言した以上、国民にも納得が得られるよう、引き続き事実関係を説明しなければなるまい。

小沢民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る事件で、首相は、検察に圧力を加えるつもりはないと強調し、「国策捜査と思っていない」と述べた。

そうであれば、検察を批判したり、報道を牽制(けんせい)したりするような言動を慎むよう民主党側に指示してはどうか。

谷垣総裁は、昨年12月に習近平中国国家副主席の天皇陛下との会見を、政府が特例的に認めたことを取り上げて、「天皇の政治利用があってはならない。天皇の公的行為に関するきちんとしたルールが必要だ」と指摘した。

平野官房長官は、政府の統一見解を出すことを約束したが、明確な考え方を示すことが必要だ。

一方、首相は、民主党の山岡賢次国会対策委員長が日米中3か国の関係を「正三角形」と表現していることについて、「必ずしも三角形の辺の長さが同じとは認識していない。日米同盟が基軸だ」と述べた。

日米中「正三角形」論は、民主党外交の米国離れ、中国傾斜を示すもの、といった見方を生んでいる。首相は、日米基軸の基本方針に沿って外交政策を展開していく必要がある。

米軍普天間飛行場の移設問題では、首相は「移設先を必ず5月末までに決める」と明言した。言葉通りに実行すべきだ。

今後も実のある論戦とするためにも、今国会では党首討論を頻繁に開催してもらいたい。

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