中国機の異常接近 危険な挑発は絶対許せぬ

朝日新聞 2014年05月27日

中国機の接近 衝突回避の手立て急げ

日本と中国がにらみあう東シナ海で、またもや危険極まりない事態が起きた。

双方の防空識別圏が重なりあう公海上空で、中国軍の戦闘機が海上自衛隊と航空自衛隊の警戒監視用の航空機に異常接近。空自機には、並走するように約30メートルにまで近づいた。

お互いのパイロットの顔が見える距離だという。路上での幅寄せではあるまいし、あまりに向こうみずな行為と言わざるを得ない。

日本政府が抗議したのは当然だが、今後に備え、両国は政治と現場のそれぞれのレベルで、衝突防止に向けた措置を急いでとらねばならない。

東シナ海では、中国とロシアが合同で軍事演習を行っていた。中国国防省は、自衛隊機が「演習を偵察・妨害し、危険な行為を行った」という。一方、小野寺防衛相は「通常の警戒監視任務の一環。(中国機は)常軌を逸した近接行動だ」と批判している。

思い起こされるのは、01年の南シナ海の公海上空で起きた中国軍戦闘機と米軍偵察機との接触だ。中国機は墜落、米軍機は海南島に緊急着陸して大きな外交問題になった。

高速で飛ぶ航空機は、わずかな接触がすぐさま大事故につながる。慎重な対応が必要だ。

東シナ海では昨年1月、中国の軍艦が海上自衛隊の護衛艦に、射撃用の火器管制レーダーを照射する事態が起きた。砲弾などを発射する直前に、目標の位置や速度をつかむために使われるレーダーだ。

中国側の一連の行為は、政治的意図を持った挑発なのか、それとも現場の火遊びなのか。中国共産党の軍である人民解放軍と党中央との関係、あるいは軍の内部統制の実態は不透明だ。外部からは極めて分かりにくく、問題を複雑にしている。

日中の防衛当局間では、偶発的衝突を防ぐための「海上連絡メカニズム」の協議が進んでいたが、尖閣諸島をめぐる対立で中断している。

相手が何をするのかわからないという疑心暗鬼は安全保障環境を悪化させる。相互不信を解消するためにも、衝突回避システムの運用を急ぐべきだ。

そして何より、海や空で緊張が高まっている時だからこそ、政治が重要になる。

この春以降、日中友好議員連盟の訪中など、双方の往来が少しずつ活発になってきた。こうした動きを大きな流れに育てていくために、安倍首相も習近平(シーチンピン)国家主席も、関係改善の一歩を踏み出すべき時だ。

毎日新聞 2014年05月27日

中国機異常接近 危機管理不在の危うさ

東シナ海の公海上空で中国軍の戦闘機が24日、自衛隊機2機に異常接近した。一歩間違えば衝突につながりかねない危険な行為だ。日中両国は衝突回避のための危機管理体制づくりを急がなければならない。

異常接近は、日本の防空識別圏(ADIZ)と中国が主張する識別圏が重なる日中中間線付近で起きた。

中国軍のSU27戦闘機2機が、海上自衛隊のOP3C画像情報収集機と、航空自衛隊のYS11EB電子測定機にそれぞれ接近し、一時は約30~50メートルまで近づいたという。

小野寺五典防衛相は「常軌を逸した行動」と中国を厳しく批判し、日本政府が中国政府に抗議した。

一方、中国国防省は声明で自衛隊機に緊急発進(スクランブル)したことを認め「自衛隊機が中国の防空識別圏に侵入し、中露合同演習を偵察、妨害した」と反論した。

日本側が抗議するのは当然だ。

防空識別圏は国際法上の根拠は確立されていないが、各国が運用してきたルールがある。あくまでも領空侵犯しそうな航空機に対して、戦闘機がスクランブルをかけ、無線で警告したり、警告射撃したりする。

自衛隊機は、中国領空に向かっていたわけではない。中国の行動は各国のルールから外れ、行き過ぎだ。

軍用機同士が確保すべき距離も国際法の定めはないが、領空から離れた公海上空で30~50メートルまで接近するのは、国際常識から外れている。中国軍機にはミサイルが搭載されていた。搭載はルール違反ではないが、自衛隊機には緊張が走ったという。

東シナ海では中国とロシアの両軍が合同軍事演習をしており、中国は神経をとがらせていたのだろう。

しかし、防衛省によれば、自衛隊機が異常接近されたのは中露両軍の演習区域の外であり、演習の妨害行為はしていないという。公海上の警戒監視活動に国際法の規制はなく、各国とも通常やっていることだ。

昨年1月には東シナ海で、中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射した。中国をどう国際的ルールに関与させるか、深刻な課題だ。日本は米国など各国と協調して働きかけを強化する必要がある。

今年4月には日米中など21カ国の海軍のシンポジウムで、一方的な射撃用レーダー照射などを禁じる海上衝突回避規則が合意された。法的拘束力はないが、重要な取り組みだ。

日中間では、緊急時に防衛当局者がホットラインで連絡を取り合う「海上連絡メカニズム」が一旦は合意されたが、対立が深刻化した後、協議が中断し運用に至っていない。このメカニズムは空にも適用される。協議の再開は待ったなしだ。

読売新聞 2014年05月26日

中国機異常接近 習政権は常軌逸した挑発慎め

一歩間違えば衝突事故につながりかねない、非常識かつ極めて危険な挑発行為である。看過することはできない。

中国軍のSU27戦闘機2機が24日、東シナ海の公海上空を飛行していた海上自衛隊のOP3C画像情報収集機と、航空自衛隊のYS11EB情報収集機に異常接近した。

現場は、日本の防空識別圏と、中国が主張する防空識別圏が重なる空域である。中国軍機はOP3Cには約50メートル、YS11EBには約30メートルまで近づいたという。

国際法上、航空機同士が安全のため確保すべき距離は定められていないが、今回のような異常接近は国際常識から外れている。

小野寺防衛相は「常軌を逸した近接行動だ」と中国を批判した。日本政府は外交ルートを通じ中国に抗議した。当然の対応だ。

東シナ海では、中国とロシアが合同演習を実施していた。防衛省によると、自衛隊機は演習区域から離れた場所で通常の警戒監視任務中だったが、中国国防省は「自衛隊機が中露合同演習を偵察、妨害した」との声明を発表した。

中国は過去にも、国家海洋局のヘリコプターや航空機が東シナ海で数回、海自の護衛艦の100メートル以内を近接飛行した例がある。

今回は、ミサイルを搭載し、速度も速い戦闘機だ。より危険な示威活動を一方的に正当化しようとすることは許されない。自衛隊は安全に配慮しつつ、警戒監視活動をきちんと継続すべきだ。

中国機の異常接近の背景には、「海洋強国」建設を掲げ、東・南シナ海で覇権の拡大を目指す習近平政権の強硬姿勢があろう。

懸念されるのは、中国軍の現場部隊が今後も、過激な示威活動を繰り返しかねないことだ。

昨年1月の海自艦船へのレーダー照射事件で明らかになったように、軍隊の国際常識に反する行為を明確に禁止する部隊行動基準(ROE)さえ中国軍には整っていない可能性が高いと見られる。

レーダー照射に関しては、今年4月、中国で開かれた21か国の西太平洋海軍シンポジウムで採択された行動規範で、「回避すべき行動」に位置づけられた。

日本は、米国や関係国と緊密に連携し、不慮の事故や衝突を防止する軍事的な国際行動規範やルールを策定して、中国に参加を粘り強く促すことが重要だ。

制服組幹部間のホットライン設置などを柱とする日中の「海上連絡メカニズム」の協議も再開し、早期合意を目指したい。

産経新聞 2014年05月26日

中国機の異常接近 危険な挑発は絶対許せぬ

中国軍戦闘機が東シナ海の公海上空で、情報収集活動中の海上、航空の両自衛隊機に相次いで異常接近を仕掛けた。

最接近時はわずか30メートルに迫ったといい、一歩間違えば衝突しかねない危険な行為そのものだ。

日本側の公海上での活動に問題はなく、小野寺五典防衛相が中国機の行動を「常軌を逸した近接」と指摘し、中国側に自制を促したのは当然だ。

意図的に緊張状態を作り出し、地域の平和と安定を損なう中国軍の行為は見過ごせない。政府は外交ルートで抗議することと併せ、衝突防止策の協議に応じるよう中国側に要求すべきだ。

異常接近は、日本の防空識別圏(ADIZ)と中国が主張する識別圏が重なる空域で発生した。

中国機は空対空ミサイルを積み、自衛隊機を追い抜く形で接近した。自衛隊機が中露海軍の合同演習を「監視、妨害」したので、緊急発進(スクランブル)をかけたと称している。

だが、無線による警告を行わないなど通常とられるスクランブルの手順も踏んでおらず、日本への挑発、牽制(けんせい)にほかならない。

中国側は昨年11月に尖閣諸島上空を含む識別圏を一方的に設定したが、日本は受け入れられないと主張してきた。

中国軍機による異常飛行がいかに危険なものかは、2001年4月、南シナ海の公海上空での米中両軍機接触事件を思い起こせばわかるだろう。

中国の戦闘機が米軍の電子偵察機に接触、墜落し、米軍機は中国・海南島に緊急着陸した。それ以前から中国機は何度も異常接近を繰り返し、米側が抗議していた中で事件は起きた。中国軍は当時の教訓に学ぶどころか、改めて緊張を高める行動に出ている。

自衛隊機による中露合同演習の情報収集は、相手の技量を知るうえで常識的な活動であり、どの国も行っている。しかも公海上での活動に国際法上の問題はない。

安倍晋三首相は小野寺防衛相に「引き続き、しっかりと態勢をとってほしい」と指示した。引き続き警戒、監視に万全を尽くしてもらいたい。

同時に、偶発的衝突を防ぐ措置を講じることも必要となる。海軍艦艇・航空機にとどまらず、空軍も対象に加えた衝突回避策を講じることが急務だ。

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