日米TPP協議 首脳の決断で大筋合意目指せ

朝日新聞 2014年04月26日

日米とTPP 交渉の手を緩めるな

首脳会談をはさんで断続的に続いた日米の環太平洋経済連携協定(TPP)協議で、オバマ大統領の滞日中の「大筋合意」は見送られた。

ただ、安倍首相は「諸懸案について前進していく道筋を確認できた」と語り、大統領に同行した米政府高官も「局面の打開があった」と評価した。

おとといの両首脳の共同会見では、尖閣諸島への日米安保条約の適用が明言された。これに比べれば、TPP交渉でどんな進展があったのか、極めて分かりにくい結果となったことは否めない。

TPPは、関税の原則撤廃や投資の自由化などによって、参加国の共存共栄を図る自由貿易の枠組みだ。

同時に、地域の秩序やルールに、やがては中国も組み込んでいこうという戦略的な狙いもある。TPPもまた広い意味での安全保障政策の一環なのだ。

安保条約による守りを固めたにせよ、両国主導で中国との協力関係を築く足がかりにすべきTPPで、はっきりとした合意を首脳同士で確認する好機を逃してしまったのは残念だ。

米国は11月の中間選挙に向けて、政治の季節に入っていく。国賓待遇の大統領訪日という大きな節目を生かし切れなかったことが交渉の漂流につながらないか、懸念も残る。

安倍首相との共同会見でオバマ大統領が語ったように、交渉にあたっては双方ともに「政治的な問題」を抱えているのは確かだ。

大統領にとっては民主党を支持する自動車業界からの圧力、首相にとっては農産品重要5項目の関税を守れという国会決議などがこれにあたる。

だからこそ、交渉では安易な妥協は難しくなる。日本側の交渉責任者の甘利TPP相が「もう一度担当相をやりたいかと言えば、やりたくない」とこぼしたくなる気持ちもわからないではない。

だが、もはや交渉を後退させるわけにはいかない。

例えば、米国の自動車安全基準をのめというような一方的な主張は論外だとしても、日米がそれぞれ痛みを分かち合う譲歩は不可欠だ。まさに国内政治の利害を超えた指導者の知恵と決断が求められている。

安倍首相が、今回の会談で尖閣防衛への米国の関与や集団的自衛権容認への支持を取り付けたことをもって「よし」とするなら、それは違うだろう。

大統領は日本を後にしたが、近い将来の合意に向け、交渉の手を緩めてはならない。

毎日新聞 2014年04月26日

日米TPP協議 早期合意の意欲失うな

このままでは環太平洋パートナーシップ協定(TPP)全体が壊れかねない。

TPPを巡る日米協議は首脳会談で決着できず、閣僚による異例の延長協議でも「実質合意」にこぎ着けなかった。農産品の日本への輸入関税などで両国の溝が埋まらなかったからだ。両国は本来、TPPを主導する役割を担うはずだ。困難な国内事情を乗り越え、2国間協議の決着を急がなければならない。

1日遅れで発表された共同声明は「2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と協議を評価した。どうしても合意できない問題が明確になったということだろう。

米国は、農産品重要5項目のうちコメや麦、サトウキビなどの甘味資源については事実上、関税撤廃要求を取り下げているという。しかし、牛肉や豚肉については譲歩の姿勢を見せず、米国車輸入の数値目標や安全基準の緩和に関しても厳しい姿勢を貫いたようだ。

安倍晋三首相はTPPを成長戦略の柱に据えたい。オバマ大統領は11月の中間選挙に向け、日米合意の成果を持ち帰りたい。両首脳とも決着への強い意欲を持って会談に臨んだはずだ。それでも折り合えなかったことは、両国間の隔たりの大きさを際立たせたといえるだろう。

だからといって、早期決着への意欲を失ってはならない。日米はTPP交渉参加12カ国全体の国内総生産(GDP)の約8割を占める。両国が合意しなければ、交渉全体が失敗に終わるおそれがある。

TPPは経済成長が著しいアジア太平洋地域で、貿易・投資の幅広い分野を対象に高いレベルの自由化を目指す枠組みだ。透明で公平な経済のルールを共有することで、この地域で存在感を高める中国をけん制し、将来的にはこの枠組みに取り込んでいく狙いもある。経済の連携は安全保障面でも意義が大きいことを両国は再認識してほしい。

互いに譲り合うのが通商交渉だ。農産品の関税問題は、保護すべき国内産業の重要性や競争力をにらんで譲歩の余地を見いだせるのではないか。農業の強化は待ったなしの課題なのだ。それには政治的指導力で国内対策を加速させる必要がある。

もっとも、自動車の安全基準は話が違う。国民の生命に直結するものであり、主権国家として譲れない問題だ。他の課題と引き換えに安全基準を緩めることがあってはならない。譲れない一線では、米側を粘り強く説得する必要がある。

安倍首相は記者会見で「日米がTPPをリードしている」と述べた。それを現実のものとするために残された時間は少ない。

読売新聞 2014年04月26日

日米共同声明 TPP決着へ「大胆な」決断を

難航する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の最終決着に向けて、日米首脳会談後に行われた異例の延長協議は、大きな前進があった。

日米協議をテコに、豪州なども含めた12か国のTPP全体交渉の合意を目指さねばならない。

日米両政府は25日、安倍首相とオバマ大統領による首脳会談の共同声明を1日遅れで発表した。

共同声明が日米TPP協議について、「2国間の重要課題について前進する道筋を特定した」と明記し、交渉全体の「キー・マイルストーン(重要な一里塚)」と位置付けた意味は重い。

前日の首脳会談では、まとまらなかった。両首脳の指示で、甘利TPP相とフロマン米通商代表の閣僚協議などが25日未明まで続いた結果、大統領の離日直前に発表にこぎつけた。

TPPを成長戦略の柱と位置づける安倍首相が、「大きな成果を上げることができた」と述べたのも、ようやく手応えを感じたことをうかがわせる。

日米は他の10か国に早期妥結を呼びかける方針だ。来月にも予定される12か国の閣僚会合で、今度こそ、大筋合意できるかどうか。アジア太平洋地域の新たな貿易・投資ルールにより、自由貿易を一層推進することが求められる。

一方で、共同声明は「まだなされるべき作業が残されている」と強調した。野心的な合意に向け、「必要な大胆な措置を取る」とも明記した。日米間でさらなる調整が必要と見ているのだろう。

最大の焦点となったのは、日本が関税撤廃の例外を主張した農産物5項目の扱いである。

コメ、麦、甘味作物については関税を原則維持できる見通しになった。しかし、米国は、牛・豚肉の大幅な関税引き下げのほか、米国車を一定台数まで輸出できるよう、日本の安全基準を緩めることを要求して激しく対立した。

双方とも国内業界の反発などがあり、安易に妥協しにくい。ぎりぎりの協議で、歩み寄ろうとしたことは評価できる。

ただ、気掛かりなのは、オバマ大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案が米議会で成立するメドが立たないことだ。

TPA法案が未成立のままではTPPが最終決着しても、議会の承認を得られない恐れがある。11月の議会中間選挙を控え、大統領は難しい舵取りを迫られる。

先進国とマレーシアなど新興国の対立も根深い。最終段階の交渉を楽観視してはならない。

産経新聞 2014年04月25日

日米首脳会談 同盟深化で抑止力強めよ TPP合意先送りは許されぬ

「尖閣」という日本が直面する具体的な危機を前に、日米両国の強い絆が改めて確認された。今回の日米首脳会談を同盟再強化の契機として評価したい。

それを最も強く印象付けたのは、「尖閣諸島も含め、日本の施政下にある領土はすべて、日米安保条約第5条の適用対象となる」というオバマ大統領の共同記者会見での発言である。

米大統領が公の場で尖閣への安保適用を明言したのは初めてで、その発言の意味は重い。

一方、大筋合意を目指していた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が、首脳会談で決着せず、共同声明の発表も25日以降にずれこんだことは残念だ。

≪「安保適用」の意味重い≫

安保、経済を通じた日米協力を実現する努力をさらに重ねなければならない。

安保条約第5条は、日本の施政下にあるすべての領土について、米国の防衛義務を明記している。尖閣諸島をめぐり中国が日本に武力行使した場合、米軍は自衛隊とともに戦うという規定である。

尖閣諸島の領有権を主張し、公船で挑発行為を繰り返し、一方的に防空識別圏を設定している中国に対し、大きな抑止力となる。大統領発言に対し、中国外務省は「(尖閣を)安保条約の範囲に入れることに反対する」と直ちに反発した。

米側の明確な意思表明を受け、安倍晋三首相は「日米同盟は力強く復活した。同盟はかつてないほど盤石だ」と語った。揺るぎない同盟を内外にアピールできた成果は大きい。それは、日本が自ら取り組むべき課題の重要性を、より明確にしたともいえよう。

首相は集団的自衛権について、政府の有識者懇談会での議論の状況を説明し、「日米同盟を有効に機能させるために(解釈改憲による行使容認を)検討している」と述べた。大統領は安倍政権の取り組みを「歓迎し、支持」した。

大統領自らの発言を受けて、安倍首相は行使容認に向けた政府与党内の議論をさらに加速する必要がある。

安保条約の尖閣への適用や集団的自衛権行使に関する大統領の発言は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への強い牽制(けんせい)にもなる。

日米の共同対処能力を高める上でも極めて大切だ。

自衛隊と米軍の役割や協力のあり方を定める日米防衛協力の指針(ガイドライン)を年末までに見直すが、その中身にも大きく影響する。行使容認は同盟再強化への日本の覚悟を示すものとなる。

漁民を装った海上民兵による尖閣への不法上陸などに備えられるよう、防衛出動に至らないグレーゾーンと呼ばれる事態に対処する領域警備法の整備も急務だ。

≪まず集団自衛権容認を≫

日米の対立で停滞していたTPP交渉にとって、首脳会談はこれを前進させる絶好の機会だった。このまま両国が合意できず、交渉全体の先行きが見通せなくなることは避けなければならない。

両首脳は、日米の溝を埋めてTPP交渉を早期に妥結させるよう甘利明TPP担当相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表に指示した。当然である。それぞれの国内事情を乗り越えて事態の打開を図ることは、交渉を主導する両国の責務である。

日米協議では一定の歩み寄りもみられた。米国は、あらゆる品目の関税撤廃を強硬に求めた従来の姿勢を改め、日本が関税維持を目指す農産品でも協議が進んだ。ただ、豚肉など一部品目で折り合いがつかなかったようだ。

今秋に中間選挙を控えるオバマ政権は、日本市場への輸出拡大を目指す食肉業界や、日本車の輸入増に気をもむ自動車業界などからの圧力にさらされている。安倍政権も、重要品目の関税撤廃からの除外を求める国会決議があるため、安易な妥協はできない事情がある。

とはいえ、いつまでもにらみ合いを続けるわけにはいくまい。大統領は会見で「大胆な措置をとって包括的な合意に達することができると信じている」と語った。双方の政治決断は不可欠である。

日本にとりTPPは成長戦略の柱で、米国にとっても輸出増と雇用拡大が期待できる重要政策だ。日米主導のルール作りは存在感を高める中国への対抗手段となる。TPPも同盟深化の試金石であることを忘れてはならない。

朝日新聞 2014年04月25日

日米首脳会談 アジアの礎へ一歩を

極めて異例の会談だった。

きのうの安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談は、環太平洋経済連携協定(TPP)の協議がととのわず、共同記者会見に合わせて共同声明を発表するにはいたらなかった。

事前の閣僚らの折衝で大筋が詰められ、首脳はその成果を確認し合う。首脳会談のこうした通例とはかけ離れた今回のありようからは、焦点の農産品や自動車の貿易をめぐって、国益むき出しのやりとりがあったことがうかがえる。

一方、安全保障分野に限れば、首相は大統領から、ほぼ望み通りの「お墨付き」をもらったということなのだろう。

共同会見で大統領は、沖縄県の尖閣諸島が、日米安保条約5条に基づく米国の防衛義務の適用対象だと明言した。

首相はまた、集団的自衛権の行使容認に向けての政権内の検討について、「大統領から歓迎し、支持するとの立場が示された」と明らかにした。

閣僚レベルで何度も確認していることでも、大統領の口からはっきり宣言してもらう。これが尖閣周辺海域で緊張を高めている中国への牽制(けんせい)になるというのが日本政府の狙いだ。首脳会談に先立つ調整でも、そこに力点が置かれた。

だが、オバマ大統領の発言の主眼は、日本側の期待とは少しずれていた。

大統領はこう語った。「私が強調したのは、この問題を平和的に解決することの重要性だ。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力していくことができるかを決めるべきだ」。さらに「日本と中国は、信頼醸成措置をとるべきだ」とも。

尖閣諸島の「力による現状変更」は決して認めないにしても、関係改善に向けてもっと努力すべきだという、日中双方に対するメッセージだろう。大統領は「我々は中国とも非常に緊密な連携を保っている」と付け加えるのを忘れなかった。

首相がいくら米国との同盟の絆をうたいあげようと、中国との間に太い一線を引いたままではアジア太平洋地域の安定はあり得ない。日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう。

首相の昨年末の靖国神社参拝が、日本と中国や韓国との関係を決定的に悪化させ、米国からの不信も招いた。

米国との関係にひとつの区切りをつけたいま、近隣諸国との関係改善への一歩は、安倍氏から踏み出さねばならない。

毎日新聞 2014年04月25日

日米首脳会談 地域安定への重い責任

米国が安全保障や経済の重点をアジア太平洋に移す「リバランス(再均衡)」政策に対し、実行が伴わないなどとアジア諸国の懸念が広がる中、不安払拭(ふっしょく)を狙ったオバマ大統領の日本、韓国、マレーシア、フィリピン4カ国歴訪が始まった。

安倍晋三首相との首脳会談でオバマ大統領は、沖縄県・尖閣諸島が対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象となることを、米国の大統領として初めて明言した。両首脳は中国の海洋進出を念頭に「力による現状変更」に反対し、アジア地域の安定に日米同盟が「主導的役割」を果たすことも確認した。

中国が軍備を拡張し、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海で海洋進出を拡大させていることに対し、日米同盟の抑止力が強化されることを評価し、歓迎したい。

会談の成果を言葉だけに終わらせないよう、日米両国はアジア地域安定にさらに力を尽くす責任がある。

重要なタイミングでの大統領の訪問となった。

オバマ政権は対シリア政策で迷走し、ウクライナでもロシアによるクリミア編入を阻止できず、その威信は大きく傷ついた。

中国の海洋進出や北朝鮮の核・弾道ミサイル開発に対しても、オバマ政権は十分に対応できないのではないか。中国がロシアのように力を背景に一方的な現状変更に出た場合、オバマ政権は頼りにならないのではないか。そんな不安が日本や東南アジア諸国に急速に広がっていた。

米国は日米、米韓の両同盟を基礎に日米韓3カ国が連携してアジアの安定を図る戦略をとってきた。ところが土台となる日米関係は安倍政権の歴史認識をめぐってきしみ、日韓関係も改善の見通しが立たない。

一方、米国は米中が主導して世界秩序を仕切ることを連想させる「新型大国関係」構築を中国から持ちかけられ、バイデン副大統領らが一時、中国側表現をそのまま受け入れる発言をして日本側をいら立たせた。

日本にすれば、尖閣周辺での領海侵入など中国側の挑発的行動にさらされている同盟国に対し、米国の理解は不十分に見えた。日米同盟が漂流しかねない危機感がささやかれる状況で、対中政策でも日米の緊密な連携が確認されたことは有意義だ。

首脳会談では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉をめぐる日米協議は決着せず、日米共同声明の発表を遅らせて、早期妥結に向けて会談後も閣僚級協議が続いた。

読売新聞 2014年04月25日

日米首脳会談 中国念頭に強固な同盟を築け

安倍政権の「積極的平和主義」と、米オバマ政権のアジア重視のリバランス(再均衡)政策が、相乗効果を上げることが肝要である。日米両政府は緊密に政策調整すべきだ。

安倍首相とオバマ大統領が東京で会談し、日米同盟について、アジア太平洋地域の平和と繁栄に主導的役割を果たしているとして、一層強化する方針で一致した。

米大統領の国賓としての来日は18年ぶりだ。安倍首相の靖国神社参拝に米国が「失望」を表明し、一時はすきま風が指摘された日米関係を立て直し、連携を国際的にアピールできた意義は大きい。

首相は共同記者会見で「日米同盟はかつてないほど盤石だ」と強調した。大統領は「日本がさらに多くの世界の平和に貢献してくれることを期待する」と語った。

注目すべきは、オバマ大統領が尖閣諸島について「日米安保条約第5条の適用対象となる」と初めて明言し、対日防衛義務の対象と認めたことである。日本外交の大きな成果と言えよう。

両首脳は、自由で開かれたアジア太平洋地域に中国を関与させるために日米が連携する一方、「力による現状変更」には明確に反対する方針を確認した。

中国は、東シナ海で防空識別圏を一方的に設定し、尖閣諸島周辺で日本の領海侵入を繰り返している。南シナ海でも、軍事力を背景に領土・海洋権益の拡張を図る動きを公然と見せている。

中国にこうした行動の自制を求めるには、日米同盟の抑止力と実効性を高める努力が欠かせない。自衛隊と米軍の協力を強化し、今回の首脳会談の政治的メッセージを具体化すべきだ。

年末に予定される日米防衛協力の指針(ガイドライン)見直しの作業を加速し、日米共同対処のあり方を明確化する必要がある。

在日米軍の駐留をより安定的で持続可能なものにするため、米軍普天間飛行場の辺野古移設や在沖縄海兵隊のグアム移転を進め、沖縄の基地負担を着実に軽減することも大切である。

オバマ大統領は会談で、安倍政権による集団的自衛権の憲法解釈の見直しを歓迎し、支持した。

憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を可能にすることは、日米同盟を強化するうえで、極めて有効な手段となろう。

政府・与党は、来月の有識者懇談会の報告書を踏まえ、必要最小限の集団的自衛権に限って行使を容認する「限定容認論」の合意形成を急がねばならない。

北朝鮮の核・ミサイル問題について、両首脳は、日米韓3か国の連携の重要性で一致した。大統領は、日本人拉致被害者の家族の代表と初めて面会し、拉致問題の解決に協力する考えを表明した。

米国の支持をテコに、日朝協議で拉致問題の再調査を実現し、具体的な進展につなげたい。

ウクライナ情勢について会談では、ロシアのクリミア半島編入を念頭に「力による現状変更は許されない」ことを確認した。領土問題で中国に誤ったシグナルを送らないよう、日米は欧州と協力し、平和的解決を模索すべきだ。

オバマ大統領は日本訪問後、韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪する。

日米両国が、韓国や東南アジア各国と重層的な協力関係を構築し、各国の海洋監視能力を高めて、海上交通路の安全を確保することが重要だ。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に関しては、首脳会談で決着せず、甘利TPP相とフロマン米通商代表による閣僚協議を継続する異例の展開となった。

日本が関税撤廃の例外扱いを求める農産品の重要5項目を巡り、大筋合意できなかったためだ。

5項目のうち、コメ、麦、甘味作物は一定の前進があったが、牛・豚肉などは対立が続いている。大統領は「日本市場のアクセス(開放)が必要だ」と強調し、日本に一層の譲歩を求めた。

日米双方とも、農業団体の圧力など厳しい国内事情を抱えている。だが、アジア全体の経済成長を促進して、共存共栄を図るという大局的見地から、両国が政治決断し、歩み寄る時である。

アジア太平洋地域で高いレベルの自由貿易体制を導入するTPPの12か国による交渉の妥結には、日米両国の合意が不可欠だ。

日米が新たな貿易・投資のルール作りを主導することは、国際的発言力を強める中国に対するけん制効果を持つという戦略的な視点も忘れてはならない。

産経新聞 2014年04月22日

TPPと日米 政治決断で「漂流」回避を

首脳同士の政治決断で、新たな自由貿易の枠組みが漂流する事態だけは避けてもらいたい。

オバマ米大統領の来日を控えながら、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐる日米協議は難航している。

経済規模がずば抜けて大きく、交渉を主導する立場にある日米の間で協議が進展することは、極めて重要だ。それは、24日の日米首脳会談に臨む安倍晋三首相とオバマ氏の2人の肩にかかっている。

TPPは、成長を続けるアジア太平洋地域で自由貿易の重要性を共有する12カ国が参加する協定だ。新たな貿易・投資ルールを日米中心に確立し、中国を牽制(けんせい)する意味合いも大きい。

日本と米国で今月2回にわたり行われた甘利明TPP担当相とフロマン米通商代表による閣僚交渉は合意に至らなかった。

これまでの協議で、日本側の重要品目であるコメや麦、砂糖などの関税撤廃は避けられる方向となったが、米国が牛肉と豚肉で大幅な関税引き下げなどを求め、難航しているもようだ。

菅義偉官房長官は21日の政府与党協議会で「まだ距離がある。事務レベル協議が始まるので、しっかり交渉したい」と述べた。

進展には双方の歩み寄りが欠かせない。関税をめぐり一定の妥協案を示した日本にとって、さらなる決断を求められる場面も予想される。同時に、米国の譲歩も必要なのは当然だ。

米国では11月の中間選挙を控え、議会を中心に対日圧力が強まっている。だが、自国の利益ばかりを追求していては交渉は前進しない。両国は、将来にわたって得られる大きな利益を見据えた大局観を持つべきだ。

すでにTPP交渉は、昨年末としていた合意期限を過ぎ、大筋合意を目指した2月の閣僚会合でも決着できなかった。5月に開かれる閣僚会合などの行方が、今後のTPPを左右する可能性が高い。夏以降は中間選挙を前に米国がさらに妥協しにくくなるからだ。

TPPでは日米間の関税交渉だけでなく、他国の知的財産権の保護や国有企業改革などでも難航が続いている。関税で対立する日米が大筋合意すれば、交渉全体を進展させる原動力となりえる。

他の参加国が見守るなかで、両首脳は共通の価値観を具現化してほしい。

読売新聞 2014年04月20日

日米TPP協議 首脳の決断で大筋合意目指せ

難航してきた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の日米協議は、大きなヤマ場を迎えた。

焦点の農業分野で歩み寄ろうとする動きがうかがえ、互いに着地点を探る一層の努力が重要である。

高いレベルの自由貿易を推進するという野心的な合意に向け、24日に東京で会談する安倍首相とオバマ大統領が指導力を発揮することが求められよう。

ワシントンで3日間行われた甘利TPP相とフロマン米通商代表の協議が終わった。

首脳会談直前の重要な地ならし交渉だったが、今月上旬の東京での閣僚協議に続き、最終的な大筋合意には至らなかった。

協議後、甘利TPP相は、「一定の前進はあったが、まだ距離は相当ある」と述べた。米通商代表部も、「重要な課題でかなりの意見の隔たりが残っている」との声明を発表した。

日米両国は首脳会談まで事務レベルの協議を続ける。限られた時間で、どこまで対立点を埋められるかが課題になる。

今回、閣僚協議が決着できなかった主因は、自民党が関税撤廃の例外扱いを主張している農産品5項目を巡って、駆け引きが続いたためである。

米国は、コメ、麦、甘味作物については、関税撤廃を求めない柔軟姿勢を示唆する一方、牛肉・豚肉の大幅な関税引き下げを強硬に要求したとされる。

日本は大幅下げに難色を示しながらも、ギリギリの妥協案を模索したようだ。しかし、輸入が急増した場合の緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動条件などを巡って溝は深く、なお調整が必要と判断したのだろう。

11月に議会中間選挙を控えた米国では、保護貿易主義圧力が高まり、オバマ政権が対日強硬姿勢に傾いている。日本の畜産農家も一層の市場開放に警戒感を示す中、日米双方とも安易に妥協できない事情がうかがえる。

だが、互いにかたくなな姿勢を続けるばかりでは活路は開けまい。

オバマ大統領は、TPPを重視するとともに、米国の輸出拡大を掲げている。安倍首相は、TPPを成長戦略の柱に位置づけ、交渉合意に意欲を表明してきた。

日米主導でアジア太平洋地域の活力を高めるため、首脳同士が大局的な見地で決着を図る時だ。

日米の対立が続けば、このままTPP交渉が漂流しかねない。豪州など他の参加10か国は、日米交渉の行方を注視している。

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