人口減と高齢化 悲観しないで生きよう

毎日新聞 2014年04月17日

人口減と高齢化 悲観しないで生きよう

きっと心配している人が多いに違いない。総務省が発表した人口推計によると、2013年10月現在、日本の人口は前年より21万7000人減り、65歳以上の高齢化率は初めて25%を超えた。人口減少は3年連続。鳥取市や山口市規模の人口が毎年消えていくのだ。しかし、いくら心配してもこの傾向は今後数十年は変わらない。過度な悲観は禁物だ。冷静な分析と政策、そして私たちの意識を変えないといけない。

人口減と高齢化ですぐに思い浮かぶのは、働き手不足の深刻化、年金や医療など社会保障の土台が崩れていくことだろう。しかし、統計数字で一喜一憂してはならない。現在は65歳以上を「高齢者」、15~64歳を「生産年齢」としているが、65歳を過ぎても健康で働いている人は大勢いる。一方、中卒者を「金の卵」と呼んだ時代とは変わり、15歳から働く人は少なくなった。大学を卒業しても就職しない人、海外留学や大学院進学を選ぶ若者は増えている。

働き手不足とは言うが、高度情報化などで生産性が高まれば今より人手は要らなくなる。これまでも国際競争の中で各企業は人件費軽減を図り、高収入の正社員の数は減少してきた。働き手が足りないのは、建設業の現場や介護・保育など、賃金が比較的低く非正規雇用など身分の不安定な人が多い職場なのである。

政府は女性の活用のため保育所の整備を進めているが、安心して結婚や出産ができる賃金と社会保障の充実にもっと尽力すべきだ。人口減少そのものよりも、社会的格差が開いて中間層がなくなり、社会保障の枠からはじき出される人が増えていくことの方が問題だ。

人口は減っても「支えられる側」の人が「支える側」に回れば、社会保障は安定する。65歳を超えても働き続け、自らの選択で年金受給を遅らせれば、今の制度でも年金は加算される。働ける間はみんなが働き、社会保障の枠に入ることが、老いや病気や障害で本当に働けなくなったときの安心につながる。パートなど非正規労働者に厚生年金の適用を広げる必要があるのはそのためだ。

それでも不安は残る。年金はあっても1人暮らしの高齢者が急増し、過疎地では介護事業所すらない所が多い。お金や制度だけでは足りないのかもしれない。地方には新しい暮らしの形を模索している例もある。

富山県では高齢者と若い障害者が同居するグループホームが運営を始めた。専門職のケアを受けながら入居者が助け合って家族のように暮らしている。宮崎県を中心に認知症や終末期の人が民家で暮らすホームホスピスもある。統計数字にはない希望が現場にある。

読売新聞 2014年04月18日

高齢人口25% 独り暮らし対策は待ったなし

団塊の世代が高齢期を迎え、日本の総人口の4人に1人が65歳以上になった。世界に類を見ないスピードで進む高齢化への対策が急務である。

総務省が2013年10月1日時点の人口推計を公表した。65歳以上の人口が初めて全体の25%を超え、3190万人に達した。

総人口は3年連続で減少し、15~64歳の生産年齢人口は32年ぶりに8000万人を下回った。

高齢化に伴い、医療や介護などの社会保障費は膨張している。減少する「働く世代」には、社会保障制度を維持するための負担が重くのしかかる。

このままでは、制度を持続できず、経済・社会の活力も損なわれる。深刻な事態である。

団塊の世代が75歳以上となる25年には、医療や介護を必要とする人がさらに増えるだろう。

増加する高齢者を施設や病院で受け入れることには限界がある。介護・医療保険から支払われる費用が高くなりがちで、給付費の一層の膨張を招く。

可能な限り自宅で暮らせるよう、訪問介護や在宅診療を一体的に提供する体制作りが必要だ。低所得でも入居できる高齢者向け住宅の整備も求められよう。

独り暮らしの高齢者対策も待ったなしだ。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、10年の498万人が35年には1・5倍の762万人にまで増える。

家族の手助けがない高齢者は、心身が少し不調でも自立生活が困難になる。認知症などの症状も見過ごされやすい。家族に代わり、地域で支え合う互助の仕組みを育てることが欠かせない。

各地でNPOやボランティアによる見守り活動や、交流サロンといった高齢者の居場所作りが始まっている。こうした取り組みを広げていきたい。

自治体の役割も重要だ。戸別訪問で独り暮らし高齢者の生活状況を把握し、適切なサービスにつなぐ東京都港区の取り組みなどは、他の自治体の参考となる。

元気な高齢者にはボランティアなどとして地域で活躍してもらいたい。それが自身の生きがいや介護予防になり、社会保障費の抑制につながるだろう。

独り暮らし高齢者の増加は、未婚率の上昇と密接な関係にある。低賃金の非正規労働者の増加で、結婚をあきらめる人が多い。

将来の独り暮らし高齢者を増やさないためにも、非正規労働者の処遇改善や正社員への転換を促進しなければならない。

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