この1年で4回目の日米防衛相会談が東京で行われた。自衛隊と米軍の協力を閣僚が緊密に協議し、具体化していることは高く評価できる。
ヘーゲル米国防長官は小野寺防衛相との会談で、北朝鮮の核やミサイルの脅威に対応するため、2017年までに米海軍の弾道ミサイル防衛対応型のイージス艦2隻を日本に追加配備し、計7隻態勢にすると表明した。
日米同盟の抑止力を高める米海軍の増強を歓迎したい。
北朝鮮は一昨年12月、米本土に到達する可能性がある長距離弾道ミサイルを発射した。先月下旬にも中距離弾道ミサイル2発を発射しており、小野寺防衛相は、さらなる発射に備え、ミサイル破壊命令を自衛隊に発令している。
ミサイル防衛では、ミサイル発射の兆候の把握に加え、発射の探知、追尾、迎撃という一連の対応を短時間に行う必要がある。その実効性の向上には、日米双方が情報を共有し、適切に役割分担して連携することが欠かせない。
海自と米海軍は長年、密接な協力関係にあるが、その関係を一層深めることで、ミサイルへの対処能力が高まるはずだ。
集団的自衛権に関する日本の憲法解釈見直しの動きについて、ヘーゲル長官は「その努力を奨励し、支持する」と明言した。
北朝鮮や中国の軍備増強や示威活動によって、北東アジアの安全保障環境は一段と厳しくなっている。解釈変更によって日米同盟を強化することは、日本だけでなく、アジア全体の平和と安定を確保するうえで大きな意味を持つ。
政府・与党は、集団的自衛権の行使を容認する方向で合意形成を急いでもらいたい。
防衛相会談で、中国の「力による現状変更」に反対し、尖閣諸島が日米安保条約の対象であることを再確認したことは重要だ。
ヘーゲル長官がウクライナ情勢に関連して指摘した通り、21世紀において、力による威嚇を背景にした国境線の変更は許されない。日米を含む国際社会全体が結束して対応しなければならない。
日本に続き中国を訪問したヘーゲル長官は、常万全国防相と会談した。中国が昨年、東シナ海で防空識別圏を一方的に設定したことを厳しく批判したという。
米国は、中国に対し、サイバー能力を含む軍事力の透明性の向上に努めるよう呼びかけている。
日本も米国と共同歩調を取り、様々なルートで中国への働きかけを強めることが大切である。
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