日米外相会談 普天間5月決着、公約に

朝日新聞 2010年01月14日

同盟協議 土台を固め直す議論に

鳩山政権が発足して4カ月、普天間問題という太いとげはのどに刺さったままだが、日米関係の歯車がようやくかみ合いだした。

ハワイでの日米外相会談で「同盟深化」の協議を始めることが決まった。

クリントン国務長官は米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する日米合意の実行を重ねて求めた。

同時に、普天間問題は極めて重要だが「包括的なパートナーシップの一部だ」とも述べ、日米の他の協力関係は進めなくてはいけないとの立場を明確にした。

太平洋の東と西で、相前後して政権交代が実現した。多国間の協調や核廃絶、地球環境問題への取り組みの重視など、多くの理念を共有する鳩山、オバマ両政権には幅広い協力の可能性が開けている。

ところが、日本の新政権の普天間合意見直しをめぐる外交のまずさもあって、両政権当局者間の信頼が傷ついた状態が続いてきた。

クリントン長官は、日米同盟が米国のアジア外交の礎であるとともに、アジア太平洋地域の安全保障の基盤だと強調した。普天間問題だけで他の関係を損なってはいけないという判断である。時間はかかったが、両政権は何とか本来の出発点に立ったといえる。

今年は日米安全保障条約が改定されて50年の節目にあたる。両外相は今後の同盟の土台を固め直す議論を始めようと一致した。岡田克也外相はオバマ大統領の来日が予定される今年11月をメドに、新しい安保共同宣言をまとめたい考えだ。

アジア太平洋地域にどんな脅威や不安定があるのか、安全保障環境についての認識を共有する作業から始めたいという。

戦後一貫して日米安保体制を担ってきた自民党政権にとって代わった民主党政権である。何を継承するのか。アジアや世界の大変化の中で何を新たな日米戦略としていくのか。岡田外相のいう「継ぎ足しではない、基本からの、構えの大きな議論」が必要だ。

こうした認識の共有は、普天間問題での出口を探る作業にも役立つだろう。基地や日米地位協定、思いやり予算のあり方など、長く安保体制を支えてきた施策について、新しい国際環境の中でその当否を考え、国民の認識を深める好機にもなろう。

普天間について、政府与党は辺野古以外の移設先を検討中だ。岡田外相は「首相の約束」として5月までに結論を出す方針を伝えた。この約束が果たせなければ、政権の信用にかかわるとも述べた。

普天間問題が日米同盟の一部でしかないのは事実だが、双方が納得できる解決策を見いだす厳しい作業なしには同盟の将来を語ることも難しい。

毎日新聞 2010年01月14日

日米外相会談 普天間5月決着、公約に

岡田克也外相はハワイでのクリントン米国務長官との会談で、日米安全保障条約改定50周年に合わせた「日米同盟深化」への政府間協議開始で合意する一方、米軍普天間飛行場の移設問題の結論を5月までに出すと伝えた。

これで普天間問題の「5月までの結論」は日米政府間の正式の約束事となったわけである。鳩山政権として自ら、「普天間移設は自民党政権下での合意」という逃げ道をふさいだ形だ。同盟協議を前へ進めるためにも5月決着の約束を守りたい。

「日本外交にとって日米同盟がすべての礎だ」(鳩山由紀夫首相)、「(日米同盟は)両国だけでなくアジア太平洋地域の安定と繁栄のための基軸だ」(オバマ大統領)。日米の首脳が同盟関係の重要性を確認し合ったのはちょうど2カ月前の東京での会談だった。

その関係がいまぎくしゃくしている。日本政府が普天間問題の年内決着を断念する方針を固めた際、岡田外相は「日米双方に深刻な信頼関係の喪失が生まれかねない。日米同盟が若干揺らいでいる」と述べた。現職外相が日米同盟の揺らぎを指摘するのは尋常ではない。同様の懸念は米側にもあり、オバマ政権内からは「(普天間問題の迷走が)長期化すれば同盟の信頼性を侵す」(キャンベル国務次官補)などと憂慮の声が出ている。

今回の外相会談開催の背景には双方のこうした危機感があるのは確かだろう。両外相が確認した、今年前半の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催や、改定安保条約の調印50周年記念日(19日)の外務・防衛担当閣僚による声明発表は、同盟の揺らぎをこれ以上大きくしないための防御措置という側面もあるのだろう。日米双方の“大人の対応”と受け止めたい。

岡田外相は同盟深化の協議に関し、1996年の日米安保共同宣言に代わる合意づくりを目指す考えを示した。96年宣言はアジア太平洋地域の安全保障と米軍基地の負担軽減の双方を同時に目指すものだった。今回の協議をそれに代わるものとして位置づけようというなら、やはり足元の揺らぎをまず止めることが必要だ。

普天間問題について鳩山首相は「米国の意向を無視した与党合意はありえない」と言っている。しかし、政府と社民、国民新両党による沖縄基地問題検討委員会がキャンプ・シュワブ沿岸部という現行計画に代わる新たな移設先を模索しているのに対し、クリントン長官は岡田外相に現行計画が「最善の道だ」とクギを刺した。隔たりを埋める双方の努力が求められる。

読売新聞 2010年01月14日

日米外相会談 同盟深化へまず普天間解決を

日米同盟を深化させる作業を実りあるものにするには、やはり米軍普天間飛行場の移設問題の早期解決が不可欠だ。

岡田外相がクリントン米国務長官と会談し、5月までに普天間問題に結論を出すとの政府方針を説明した。長官は、現行の移設案が「最善だ」として、「日本が約束を守るよう期待したい」と現行案の早期履行を求めた。

この問題は本来、昨年中に決着させるのが筋だった。政府が5月という期限を、さらに延ばすことは許されない。

米国と移設先の自治体の双方が了解するような新たな移設案を、わずか4か月で見つけるのは極めて困難だ。政府は、現行案こそが最も現実的な選択肢であることを認識すべきだろう。

懸念されるのは、政府・与党が、平野官房長官と社民、国民新両党幹部を中心に新たな移設先を選ぼうとしていることだ。さらなる問題の迷走につながらないか。

社民党は、米軍の抑止力や即応能力を無視し、国外・県外移設を主張し続けている。国民新党も、米空軍嘉手納基地への統合など、既に日米両政府が不可能と結論づけた案を持ち出している。

いくら政府・与党で新たな移設先に合意しても、米国と移設先の自治体が受け入れなければ、机上の空論にすぎない。

担当閣僚の岡田外相と北沢防衛相を外して作業を進めているのも問題だ。現行案を排除する狙いのようだが、結果的に非現実的な案ばかりを検討している。

「政治主導」という鳩山政権のスローガンで自縄自縛になるべきではない。本当に沖縄の負担軽減を早期に実現したいのなら、専門知識を持つ官僚組織をもっと有効活用することが大切だ。

安保条約改定50周年に合わせた同盟深化の協議開始に外相会談で合意したことは、歓迎したい。

協議の中核は無論、安全保障であるべきだ。在日米軍が日本とアジアの平和と安全に貢献してきたことについて、鳩山政権が米国と共通の認識を持たなければ、意味のある協議にはなるまい。

北朝鮮の核の脅威や中国の軍事大国化に、日米がどう共同対処するのか。自衛隊と米軍はどんな役割分担をするか。戦略的な対話を重ねることが重要だ。

同盟深化の協議は、地球温暖化や軍縮、途上国支援、貿易自由化など、広範な分野にも広げたい。日米両国が一連の課題に連携して取り組むことが、世界全体と両国の利益になろう。

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