調査捕鯨 無法な妨害に断固措置を

毎日新聞 2010年01月11日

調査捕鯨妨害 関係国は愚行を許すな

南極海で反捕鯨団体「シー・シェパード」の船と日本の調査捕鯨船団の監視船が衝突した。シー・シェパードの船は前部を大破し、乗組員6人のうち1人がけがをしたという。

原因についての双方の主張は食い違っているが、映像から判断すると、シー・シェパードの船が針路をふさぎ、衝突するように仕向けたとしか見えない。

これまでも悪臭のする薬品を投げつけたり、捕鯨船に乗り込んだり、過激な妨害を繰り返してきたが、ついに人命を危険にさらす行動に出た。日本の調査捕鯨は、国際条約の規定に沿った公海上の合法的な活動である。それを暴力的に阻止しようとするのは、捕鯨に対する賛否以前の、国際的な法秩序無視だ。

シー・シェパードは環境保護団体「グリーンピース」に所属していた人物が1977年に設立した。クジラ、アザラシなど海洋生物の保護を掲げ、ノルウェーやカナダ沿岸などでも過激な行動をとってきた。

しかし、動物愛護や環境保護を訴えながら、薬品を投げつけロープを投棄して海を汚している。人命が失われ、大規模な油流出が起きかねない船の衝突もいとわない。言動はまったく矛盾しており、その主張に耳を傾ける気にもなれない。

今回の衝突を受けて、日本政府が、寄港地・オーストラリアや、船籍のあるニュージーランドに再発防止のための取り締まり強化などを申し入れたのは当然の対応だ。ところが、オーストラリアでは反捕鯨の世論が根強いこともあって、総選挙を秋に控えているラッド首相の労働党政権は、対応に及び腰のようだ。

しかし、捕鯨に対する賛否とシー・シェパードの暴力的な行動を許すかどうかは、別次元の問題である。自国民に冷静に説明し、法秩序の無視には毅然(きぜん)と対応すべきではないだろうか。

もし日本の調査捕鯨をやめさせたいならば、国際捕鯨委員会(IWC)で問題提起し、加盟国の賛同を得ればいい。そうした民主的な手続きをせずにシー・シェパードの行動を黙認するなら、「主張の実現のためには手段は問わない」と表明したことになる。それはテロリストの論理と変わらない。

シー・シェパードの年間の活動資金は約350万ドル(約3億2000万円)で、支持者、企業からの寄付だという。オーストラリアのビール会社や日本にも出店している米アウトドア用品メーカー、英国の化粧品会社などがスポンサーに名を連ねている。

暴力的な団体に資金提供することは企業倫理からみて問題はないのか。支援企業も早急に対応を改めるべきだ。

読売新聞 2010年01月13日

調査捕鯨妨害 「抗議」を逸脱した無謀な行動

もはや、抗議活動とは呼べない。関係各国が連携し、これ以上、調査捕鯨への妨害を許してはならない。

南極海で調査捕鯨にあたっている日本の捕鯨船団が、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の激しい妨害を受けている。6日には、この団体の小型高速船と捕鯨船団の監視船が衝突し、高速船が大破する事故も起きた。

衝突の原因については、相手に非があると双方が主張している。妨害船の寄港地の豪州と、船籍が置かれているニュージーランド両政府は、原因調査に乗り出す意向を示している。

だが、その原因にかかわらず、まず非難されるべきは、シー・シェパードが繰り返している海賊まがいの悪質な行為である。

捕鯨船団に接近し、海にロープを投げ入れてスクリューを壊そうとしたり、船に有害薬品を撃ち込んだりしている。“新兵器”としてレーザー光線も使い始めた。

事故を起こした高速船も、捕鯨船に逃げられないよう投入された。彼らの狙いが捕鯨船や乗組員への攻撃にあることは明白だ。

日本の調査捕鯨は、国際法規に(のっと)って行われている。国際捕鯨委員会(IWC)も調査捕鯨への妨害を強く非難する決議を、全会一致で採択している。

日本政府が、豪政府などに厳重な取り締まりを求めたのは当然だ。関係国は、妨害船の船籍の剥奪(はくだつ)や団体幹部の刑事訴追など、厳正に対処してもらいたい。

海賊対処法の適用や海上保安庁による護衛を求める声もある。さらに妨害行為がエスカレートし、乗組員の生命や安全航行が脅かされる状況になれば、こうした措置も選択肢となろう。

だが、取り締まりや自衛策の強化だけでは、問題の根本的な解決にはならない。大切なのは捕鯨国と反捕鯨国が、捕鯨の今後について冷静に話し合うことだ。

IWCでは、議長が日本の沿岸捕鯨の再開と調査捕鯨の停止を同時に実施することを提案し、正常化への動きも出ている。

合法で正当とはいえ、「調査」のために年間1000頭近い鯨を捕獲する必要があるのか、といった疑問は、日本国内にもある。日本の悲願である沿岸捕鯨の再開に道が開かれるなら、南極海の調査捕鯨の縮小は検討に値しよう。

シー・シェパードは捕鯨の妨害を通じて、捕鯨国と反捕鯨国の対立をあおることを狙っている。日本は挑発に乗らず、反捕鯨国との対話を進めることが肝要だ。

産経新聞 2010年01月08日

調査捕鯨 無法な妨害に断固措置を

日本の調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」と米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の高速船「アディ・ギル号」が南極海で衝突した。

SS側は「静止していたのに突然衝突された」と主張している。しかし、SSの抗議船は異常接近や進路横断のほか、異臭がする薬品入りボールを撃ち込んだり、目に当たると失明にもつながりかねないレーザー光線の照射も繰り返していた。執拗(しつよう)な妨害の結果の衝突であるのは明らかだ。

環境保護を標榜(ひょうぼう)し、反捕鯨を主張するのは自由である。しかし、今回の事態は調査捕鯨の是非を問う以前の問題だ。平野博文官房長官はア号の船籍国のニュージーランド政府に対し厳重抗議した。それでは不十分だ。反捕鯨テロといえる暴力行為に日本は断固とした対応策を講じるべきである。

威力業務妨害容疑で逮捕することが、なぜできないのか。

調査捕鯨は国際捕鯨委員会(IWC)の決定に基づく合法的な活動である。にもかかわらず、SSは日本の船団に対し、3年前から再三にわたって衝突やスクリューにからませるロープを流すなど危険な妨害活動を続けている。無法にも捕鯨船団の船に乗り込んできたケースもあった。

日本政府はそのつど、SS船の船籍国であるオランダや寄港国のオーストラリアに対し、抗議と再発防止の措置などを要求した。それでも、捕鯨反対の立場をとるこれらの国は有効な対応策を講じていない。

乗組員の生命にもかかわる問題である。なぜ日本はなすすべがないのか。

政府は現在、「現行法制では公海上で他国船籍の船に乗り込んで容疑者を逮捕、拿捕(だほ)することはできない」という見解をとる。昨年成立した海賊対処法ではそれが可能になったが、「SSは海賊とは解釈できない」との慎重論から、同法の適用外とされている。

対抗措置をとらない日本、と見透かされていることが今回の事件の背景である。反捕鯨テロは海賊行為と何ら変わらないと国際世論に訴えるべきだ。

暴力による不法行為を起こした者を逮捕し、罰するのが主権国家である。それができないのでは、主権の放棄に等しい。

これ以上、無防備な日本捕鯨船団の航海を続けさせるわけにはいかない。

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