G20金融会合 再び結束を示す時だ

朝日新聞 2014年02月25日

G20声明 地に足ついた成長こそ

米国の量的緩和(QE3)縮小で、新興国の一部がマネーの流出にあえぐなか、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が経済成長の底上げ目標を打ち出した。

今後5年間で世界経済の成長率を2%幅以上かさ上げすることを目指す。金額にして2兆ドル(約200兆円)の規模だ。民間資金を中心とする長期投資を各国のインフラ開発に誘導することが柱だという。

G20が共同声明で初めて成長目標を設けた背景には、景気回復で緩和縮小に動き出した米国と新興国との間であつれきが高まるのを封じ込める意味合いもあるのかもしれない。

ただ、日米欧の景気が復調しつつあるとはいえ、成熟した先進国で成長の押し上げには限度がある。かたや新興国は高成長の陰で蓄積された経済構造の矛盾を是正するため、成長の減速がむしろ望ましい場合もある。中国がその典型である。

いたずらに表面的な数字を追うと、放漫な財政拡張や金融緩和に頼むことになり、むしろ世界経済のひずみが悪化するのではないかと気にかかる。

成長戦略は11月のG20首脳会議までに具体化する。拙速を戒め、新興国の弱みを他国が補う投融資や技術支援のネットワークをつくる地道な努力を促していくべきだ。

共同声明は米国を念頭に、異例の金融緩和を正常化する必要性に理解を示しつつ、世界経済への影響にも配慮し、市場の過剰な反応を招かないような丁寧な説明努力を促している。

一方、新興国にはインフレや経常赤字への対策、経済構造の改革などを求めた。

米国と新興国双方の顔を立てた格好だが、米国は新興国の金融安定に向けて、さらに取り組む余地がある。問題国にドル資金を融通するスワップ協定を広げることはそのひとつだ。

なにより、国際通貨基金(IMF)を増資して新興国の割合を高める改革案は米議会が承認せず、立ち往生している。増資に伴う影響力の低下をいつまでも嫌がっていては、米国にとってもマイナスである。

変調のもう一方の極にあるのは中国経済の不透明感だ。財テク商品の信用不安など「影の銀行」問題が波状的に市場を騒がせている。

中央と地方の政府、銀行、企業の利害が絡まり一筋縄ではいかないが、国内の駆け引きにかまけて世界に不安をばらまくのでは通らない。早急に処理方針を明示し、金融不安を抑え込む覚悟を見せるべきだ。

毎日新聞 2014年02月22日

G20金融会合 再び結束を示す時だ

先進国に新興国を加えた主要20カ国・地域によるG20体制は、協調の精神を取り戻すことができるだろうか。世界の金融市場が再び不安定さを増す中、豪シドニーで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議の発するメッセージに注目したい。

2008年のリーマン・ショック後、強い危機意識を共有し結束したG20だった。お陰で世界経済は恐慌を回避し、予想以上に早い回復を果たしたのだが、最近は、先進国・新興国間で不協和音ばかりが目立つ。

最大の要因は米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が、自国経済を回復軌道に乗せるため導入した、異例の量的緩和政策である。

政策導入の結果、市場にあふれ出た大量のマネーが新興国に押し寄せ、通貨や不動産価格を高騰させた。かと思えば、FRBが政策を平時モードに移そうと緩和縮小に動いた途端、マネーが逆流を始め、新興国経済を混乱に陥れている。

中でも、「脆弱(ぜいじゃく)な5カ国」と呼ばれるインド、トルコ、インドネシア、ブラジル、南アフリカで事態が深刻だ。こうした国々の金融当局者はいらだち、他国への影響に配慮した政策運営を行うよう、FRBなど先進国の中央銀行に求めている。

FRB議長としてG20初出席となるイエレン氏はまず彼らとの信頼関係を築かねばならない。新興国が直面する課題について直接話を聞くと同時に、自らの政策方針を誠実に説明すべきだろう。「(新興国市場の混乱は)米経済の先行きに重大なリスクとなっていない」(イエレン氏の米議会証言)といった“自分さえよければ”の態度では、反感を買うばかりだ。ドルという基軸通貨を担う国には、特別な責任がある。

そのうえで、新興国が国内の改革、例えば金融機関の健全性向上や規制緩和などに取り組み、経済の悪化を最小化できるよう、支援の道を主導することが大切である。一方、米国に必要な金融政策の正常化をむやみに遅らせ、再びバブルを招くような失敗は絶対に避けねばならない。

もちろん、一言で「新興国」といっても、米国の量的緩和縮小による打撃の度合いは国によって違う。慢性的な経常赤字など自家製の問題を抱えた国ほど混乱は大きい。とはいえ、単に自業自得と片付けては、G20の協調体制が一段と揺らぐだけでなく、脆弱な国に端を発した危機が世界全体に及ぶ危険性も高まろう。

異例の金融政策を平時体制に戻す例のない実験は始まったばかりである。影響を測りきれないために投資家の心理は極端に振れやすい。そうした今こそ、協調を印象付ける強いメッセージで市場の不安解消に力を尽くすことが求められている。

読売新聞 2014年02月24日

G20共同声明 世界成長2%底上げへ結束を

新興国通貨安などへの懸念がくすぶる中、世界の成長加速に向けて、日米欧と、中国、ブラジルなど新興国の連携強化が問われよう。

先進国と新興国が参加し、シドニーで開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明を採択した。

共同声明は「世界経済は改善しているが、力強く持続的で均衡の取れた成長にはほど遠い」と分析した。その上で、「今後5年間で世界全体の成長率を2%以上引き上げる」という新目標を明記したことは強いメッセージである。

G20は、11月に豪ブリスベーンで開く首脳会議までに「行動計画」をまとめる方針を示した。

G20が成長率引き上げの数値目標を設定するのは初めてだ。

その背景には、明るさが出てきたとは言え、世界経済への警戒感を拭えないことが指摘できる。2%という数値目標を設け、持続的成長を目指す決意を示す必要があると一致したのだろう。

国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによると、2014~15年の世界成長率は実質3・7~3・9%が見込まれる。

米国の景気回復が鮮明になり、欧州経済もようやくマイナスからプラス成長に転じた。日本の景気も回復基調が続いている。

一方、08年の金融危機後に先進国に代わって世界経済を牽引(けんいん)してきた新興国経済の減速が最近目立っていることが懸念材料だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和策を縮小する「出口戦略」に踏み出したのを機に、トルコ、インドなど「フラジャイル5(脆弱(ぜいじゃく)な5か国)」と呼ばれる新興国で通貨安が加速した。

新興国に流れ込んでいた緩和マネーが引き揚げているのが要因で、新興国経済の変調や通貨安によって世界の市場が動揺する悪循環を食い止める必要がある。

G20声明が通貨安に見舞われた新興国を念頭に、「経済政策や構造改革を強化すべきだ」と指摘したのは妥当だろう。巨額の経常赤字や高インフレといった課題の克服を加速してもらいたい。

声明は米金融政策に関連し「世界経済に与える影響に配慮する」との文言も盛り込んだ。FRBは金融緩和策縮小に当たって、新興国経済への目配りなど「市場との対話」の工夫が求められる。

世界経済の成長を加速するため日本への期待も大きい。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の3本目の矢である成長戦略の強化を急がねばならない。

産経新聞 2014年02月25日

G20成長目標 達成へ改革を加速させよ

世界経済を力強く牽引(けんいん)できる国が見当たらない現状への危機感の表れなのだろう。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が共同声明で、G20全体の国内総生産(GDP)を5年間で2%以上引き上げ、2兆ドル(約200兆円)以上増やす目標を掲げた。

成長率で世界共通の数値目標を設けるのは異例だ。目標を実現するため、各国はそれぞれ成長につながる改革を加速させなくてはならない。ただの努力目標として絵に描いた餅で終わるようでは、G20の存在意義が問われる。

11月の首脳会合で、各国の成長戦略の具体策をまとめる。民間投資の促進策や労働市場改革、財政出動などが検討課題だ。

国ごとに成長率の目標数値を約束するわけではないが、世界経済を真に底上げするには、それぞれが実効性の伴う行動計画を示さねばならない。

4月の消費税増税を控えた日本には、海外から内需に陰りが出ることに懸念が出ている。規制緩和や税制改正で成長戦略を抜本的に強化し、世界経済を主導する役割を果たしたい。

G20の枠組みは、新興国抜きでは世界経済の激変に対応できないという問題意識で始まった。

リーマン・ショック後に世界経済を牽引したのも中国などの新興国だが、今や様相は一変し、新興国の成長は総じて鈍化した。米国が量的金融緩和を縮小した途端、新興国からお金が流出し、通貨下落やインフレが進んだ。日米欧の景気回復も力強さに欠け、長期的な停滞期入りも懸念される。

だからこそ、G20が足並みをそろえる必要があり、連携が求められている。懸念された米国と新興国の対立が先鋭化することはなかったが、市場につけ込む隙を与えないよう協調姿勢を演じただけでは意味がない。

米国の金融政策には新興国に与える影響に配慮した丁寧さが求められる。経常赤字を抱える新興国には経済構造を強くする改革の断行が不可欠だ。G20での確認事項を着実に進めてほしい。

新興国の筆頭格である中国の責任も重い。「影の銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれる不透明な金融取引で膨らんだ債務や生産設備の過剰を解消し、G20各国が懸念する先行きへの不安を払拭しなければならない。

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