TPP交渉 日米は膠着状態の打開に動け

読売新聞 2014年02月03日

TPP交渉 日米は膠着状態の打開に動け

アジア太平洋の新たな自由貿易圏作りを停滞させてはならない。膠着(こうちゃく)状態を打開するために、日米両国が早期合意を目指す必要がある。

日米や豪州など12か国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、昨年末にシンガポールでの閣僚会合で、目標だった年内合意を見送った。その後、実質交渉が中断している。

交渉は瀬戸際に立っていると言える。2月末の開催で調整中の閣僚会合が重要な節目になろう。

もたついている最大の要因は、日米両国が関税撤廃などを巡って対立していることだ。

自民党がコメ、麦などの農産品5項目を関税撤廃の例外扱いとするよう主張している点では、米国が強硬姿勢を崩していない。

甘利TPP相とフロマン米通商代表が先月20日に電話協議したが、実質的な議論はできなかった。スイスで行われた25日の茂木経済産業相、林農相とフロマン代表の協議でも、早期合意への協力を確認しただけにとどまった。

日米が互いに原則論に終始するなら、難交渉を打開する糸口は見いだせまい。

オバマ米大統領は一般教書演説で、TPPをテコにした輸出と雇用拡大を目指す考えを強調した。本格的な景気回復を実現するとともに、政権の浮揚へ、TPPの決着を図りたいのではないか。

安倍政権も成長戦略としてTPPを重視し、アジアの活力を取り込む方針を掲げてきた。

日米が同盟国として連携を強める意義は大きい。何よりも今、求められるのは、米国が大局的な見地から、日本との妥協点を探る姿勢を示すことである。

約4年に及ぶTPP交渉は、すでに貿易円滑化や投資分野などのルール作りではほぼ合意した。

しかし、関税撤廃を巡る日米対立に加えて、米国とマレーシアなど途上国の間でも、知的財産権保護や国有企業に関する競争政策を巡って主張の隔たりは大きい。

他の10か国は、日米協議の進展を注視しており、日米が対立を解消できなければ、他分野も停滞する恐れがある。交渉全体の勢いを失速させ、早期妥結を危うくする事態は避けるべきだ。

一方、政府が農業分野の一層の市場開放に備えて、農地集積や減反見直しといった農業改革を打ち出している点は評価できる。

TPPなどの通商交渉への対応はもとより、日本経済を活性化させるため、「攻めの農業」の具体化を急がねばならない。

産経新聞 2014年02月05日

TPPと大統領 身内説得に強い指導力を

米国内政の混迷で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の先行きが怪しくなってきた。

議会が政府に強い通商交渉権限を与える大統領貿易促進権限(TPA)法案に与党民主党から待ったがかかったからだ。TPAを手にしなければ、妥結後に議会から修正を迫られかねず、政府は腰を据えて交渉に臨めない。

交渉を主導する米国の足元がぐらつくようでは、参加各国が浮足立ち、交渉機運もしぼんでしまう。ここはオバマ大統領に強い指導力を発揮してもらいたい。

大統領は先の一般教書演説で、TPAへの超党派の協力を呼びかけている。その直後、議会民主党の指導者、リード上院院内総務が「私は反対」と狼煙(のろし)を上げた。

上院では3分の1の議席が11月の中間選挙で改選され、民主党は現在の過半数を維持できるか微妙な情勢だ。

最大の支持基盤で資金源の労組は、貿易協定で産業・雇用が空洞化したと不満を持ち、同党寄りの環境団体もTPPは十分に環境を守っていないと批判的だ。

リード氏らは、TPPを推進して選挙での組織的支持が弱まることを懸念しているのだろう。

だが、交渉は今、米国が関税分野で日本と、知的財産などで途上国と対立し胸突き八丁である。オバマ政権が議会対策にすら手間取っては、交渉は停滞どころか挫折しかねない。そんな事態は何としても避けなければならない。

TPPは、アジア太平洋地域で国際ルールにのっとった巨大貿易圏を中国抜きでつくるという戦略的な側面もある。経済も絡めて外交・安全保障の軸足をアジアに移し中国の台頭を牽制(けんせい)する、オバマ政権の看板政策の重要要素だ。

オバマ政権はその点も今一度、銘記すべきである。そして、大統領自ら、議会民主党指導部はもちろん、労組など支持団体に対してもTPPへの理解を求める説得努力を強めるよう求めたい。

日本は米国の状況で、自身のつらい決断を先延ばしできると考えてはならない。日本経済の再生にはアジア太平洋地域の成長を取り込むことが不可欠である。成長戦略の柱となるTPPの妥結が遅れると、日本経済への海外の視線が厳しくなるだけなのだ。

日本も機会を捉え、早期妥結に向けオバマ政権への働きかけを強化していく必要があろう。

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