アジア太平洋の新たな自由貿易圏作りを停滞させてはならない。膠着状態を打開するために、日米両国が早期合意を目指す必要がある。
日米や豪州など12か国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、昨年末にシンガポールでの閣僚会合で、目標だった年内合意を見送った。その後、実質交渉が中断している。
交渉は瀬戸際に立っていると言える。2月末の開催で調整中の閣僚会合が重要な節目になろう。
もたついている最大の要因は、日米両国が関税撤廃などを巡って対立していることだ。
自民党がコメ、麦などの農産品5項目を関税撤廃の例外扱いとするよう主張している点では、米国が強硬姿勢を崩していない。
甘利TPP相とフロマン米通商代表が先月20日に電話協議したが、実質的な議論はできなかった。スイスで行われた25日の茂木経済産業相、林農相とフロマン代表の協議でも、早期合意への協力を確認しただけにとどまった。
日米が互いに原則論に終始するなら、難交渉を打開する糸口は見いだせまい。
オバマ米大統領は一般教書演説で、TPPをテコにした輸出と雇用拡大を目指す考えを強調した。本格的な景気回復を実現するとともに、政権の浮揚へ、TPPの決着を図りたいのではないか。
安倍政権も成長戦略としてTPPを重視し、アジアの活力を取り込む方針を掲げてきた。
日米が同盟国として連携を強める意義は大きい。何よりも今、求められるのは、米国が大局的な見地から、日本との妥協点を探る姿勢を示すことである。
約4年に及ぶTPP交渉は、すでに貿易円滑化や投資分野などのルール作りではほぼ合意した。
しかし、関税撤廃を巡る日米対立に加えて、米国とマレーシアなど途上国の間でも、知的財産権保護や国有企業に関する競争政策を巡って主張の隔たりは大きい。
他の10か国は、日米協議の進展を注視しており、日米が対立を解消できなければ、他分野も停滞する恐れがある。交渉全体の勢いを失速させ、早期妥結を危うくする事態は避けるべきだ。
一方、政府が農業分野の一層の市場開放に備えて、農地集積や減反見直しといった農業改革を打ち出している点は評価できる。
TPPなどの通商交渉への対応はもとより、日本経済を活性化させるため、「攻めの農業」の具体化を急がねばならない。
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