成長著しいインドと安全保障と経済で協力を進める意義は大きい。
安倍首相がインドを訪問し、シン首相と会談した。シン首相は地域の平和安定や経済開発の「キーパートナー」と日本を位置づけた。安倍首相も「日印関係は世界で最も可能性を秘めている」と応じた。
安倍首相のインド訪問は2007年以来、2回目だ。今回は、インドの共和国記念日という重要な行事に、日本の首相では初めて主賓として招かれた。両国の関係の深まりの表れだろう。
外交・安全保障では、安倍首相が「積極的平和主義」の立場で国際社会に貢献していく方針を説明した。シン首相は、「日本の努力を称賛した」という。
新たに、国家安全保障会議(日本版NSC)の谷内正太郎国家安全保障局長と、インドの国家安全保障顧問が定期的に協議することで合意した。
海上自衛隊とインド海軍の共同訓練を継続し、海自の救難飛行艇「US2」のインド輸出に向けた協議も進める。
安保協力の強化は、日本にとって原油などを運ぶシーレーン(海上交通路)確保に不可欠だ。
両国は、軍事面で台頭する中国への懸念を共有しており、中国へのけん制という意味もある。
会談で署名された共同声明には、安保協力に関し「航行の自由」と「上空飛行の自由」の重要性が明記されている。「海」と「空」で強権的に進出を図る中国を念頭に置いたものである。
一方、安倍首相はインドの地下鉄整備などのために、2000億円超の円借款供与を表明した。新幹線技術の輸出をにらみ、インド西部のムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道計画に関して共同調査を急ぐことでも一致した。
日本にとって、世界第2位の人口を抱えるインド市場は魅力的だ。だが、日印間の貿易や投資額は日中間に比べると少なく、拡大の余地があると言える。
首相のインド訪問には日本企業の経営者らも多数同行した。官民一体でインドとの経済的な結びつきを強めていくべきだ。
両首脳は、日本からインドへ原子力発電技術や関連機器を輸出できるようにする原子力協定の早期妥結を目指すことも確認した。
核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核保有国のインドとの協定について、日本国内にはなお慎重論がある。そのことも念頭に置きながら、政府は交渉を加速させる必要がある。
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