中間貯蔵施設 説明尽くし除染加速を

毎日新聞 2013年12月17日

中間貯蔵施設 説明尽くし除染加速を

東京電力福島第1原発事故の除染で生じた福島県内の汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、政府が県と地元3町に建設受け入れを要請した。原発事故に加え、新たに中間貯蔵施設までも押しつけられる地元自治体や住民には複雑な思いがあるだろう。しかし、施設がなければ除染も復興も進まない。政府には、施設の安全性確保を大前提に、補償や復興支援策についても地元に説明を尽くし、建設同意を得る努力を積み重ねてもらいたい。

福島県内では、各地で袋詰めにされた汚染土が民有地や仮置き場に野積みされている。中間貯蔵施設が整備されていないためだ。

政府の計画案では、施設の貯蔵量は最大2800万立方メートル(東京ドーム23杯分)。福島第1原発を取り囲む大熊町の11平方キロと双葉町の5平方キロ、福島第2原発に隣接する楢葉町の3平方キロの計19平方キロを国有化する。3町それぞれに汚染土の貯蔵施設や減容化施設、緩衝地帯を設置する。総事業費は約1兆円を見込んでおり、2015年1月の搬入開始を目指す。富岡町についても、既存の管理型処分場の活用を求めた。

地元は施設受け入れを決めかねている。政府は、運び込んだ汚染土を30年以内に県外で最終処分する方針を閣議決定したが、そのまま最終処分場になるとの懸念が根強いからだ。30年で中間貯蔵が終わるとしても、建設地の住民は古里を捨て、帰還を断念することを迫られる。

政府は、30年以内の県外最終処分を法制化する意向も示した。だが、最終処分場を確保するめどは立っていない。処分場確保に向けた具体的な道筋を示さない限り、地元の懸念は消えないだろう。

双葉、大熊両町の大半は帰還困難区域だ。一方、楢葉町は全域が避難指示解除準備区域で「帰れる町になぜ建設するのか」という声がある。

建設候補地の地権者は大熊、双葉、楢葉の3町で計2000人以上といい、用地交渉は簡単ではない。新天地で暮らせる十分な補償をすべきだが、候補地か候補地でないかで補償の有無が分かれ、住民の間にあつれきが生じる恐れもある。改めて、原発事故がもたらす影響の大きさを思わずにはいられない。

政府は3町を選定した理由を合理的に説明するとともに、住民の多様な意見を踏まえた復興支援策を打ち出さなければならない。

施設には大量の汚染土がトラックで次々に運び込まれる。渋滞や交通事故に備え、専用道路を建設するなど交通網の整備も今後の課題だ。

佐藤雄平知事は要請を「検討のスタートライン」と述べたが、県の調整能力も問われる。

産経新聞 2013年12月20日

中間貯蔵施設 難問解決して世界に範を

東京電力福島第1原子力発電所の炉心溶融・水素爆発事故で発生した福島県内の汚染土壌などを30年間保管する中間貯蔵施設の建設受け入れを、石原伸晃環境相が佐藤雄平知事と地元3町長に要請した。

安倍晋三政権によって国が問題解決の前面に出る姿勢が明確に示されたことを評価したい。

福島の復興には、適切な除染が欠かせない。その進行には、除染作業で削り取った表土などを集約保管する貯蔵施設が必要だ。

これまでに出た汚染土や落ち葉の類は、地域ごとの仮置き場に置かれているが、限界に達し、除染が遅れる原因になっていた。

政府の計画では、大熊町と双葉町、楢葉町の計19平方キロを買い上げて国有地とし、貯蔵施設や焼却処理で量を減らす減容化施設などを造る。来年4月にも着工し、平成27年1月からの使用開始を目指したい考えだ。

だが、受け入れを求められた佐藤知事と双葉、大熊、楢葉の各町長は判断を示していない。

県も3町も貯蔵施設の必要性を認識しているはずだが、放射性物質の受け入れは、住民の合意形成が極めて難しい問題だ。

政府は「貯蔵施設での保管は30年を上限とし、福島県外で最終処分する」と、中間貯蔵施設であることを強調している。

しかし、地元には最終処分場化への根強い懸念が存在するのが現実だ。そうならないことを法律で保証しようとしているが、福島が拒否する廃棄物の受け入れを将来、他の都道府県が進んで引き受けてくれるとは考えにくい。

唯一の展望は、30年後には、汚染土などの放射能レベルが確実に低減していることである。だが、住民にとっては一世代に相当する年月だ。問題解決の難しさは、ここにもある。

原発事故は、起きてしまうと災害の長いトンネルからの出口が見えにくくなってしまう。

現実を考えると、中間貯蔵施設の建設は不可避である。それがないために除染が進まず、復興も遅れるという悪循環に陥る不幸は避けたい。

福島事故は、原発利用の可否をめぐって諸外国に波紋を広げた。再起に手間取れば、世界の原発活用に水を差す。日本ならでは、と評価される復興の道筋作りで世界への範を垂れたい。

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