徳洲会選挙違反 徳田氏に議員辞職求める

読売新聞 2013年11月13日

徳洲会選挙違反 「組織ぐるみ」の徹底解明を

国内最大級の医療グループにおける組織ぐるみの選挙違反事件とみられる。捜査当局には徹底解明を求めたい。

東京地検特捜部と警視庁は、徳田毅・自民党衆院議員の姉2人と、「徳洲会」の幹部ら4人を公職選挙法違反(運動員買収)の疑いで逮捕した。

昨年12月の衆院選で、グループ関連会社の社長を務める姉2人と幹部らは、鹿児島2区から立候補した徳田議員の支援のため、大がかりな選挙違反を指示した疑いが持たれている。

系列病院の職員500人以上を選挙区に派遣し、その報酬として総額1億5000万円近くを支払っていたとされる。選挙期間中、職員を欠勤や有給休暇の扱いにして、報酬は年末の賞与に上乗せしていたという。

「徳洲会による丸抱えの選挙だった」と証言する看護師もいる。こうした供述と、系列病院や選挙事務所から押収した資料を照らし合わせるなど、捜査当局には丁寧な立証が求められよう。

選挙時、関連医療法人の常務理事だった徳田議員は、事情聴取に対し、関与を否定しているという。一方で、自民党には離党する意向を伝えた。責任追及の声が党内でも高まったからだろう。

自らの選挙活動に司直のメスが入った以上、現職の国会議員として説明責任を果たすべきだ。

候補者の父母や配偶者、子、兄弟姉妹が選挙違反を犯した場合、公選法には連座制の規定がある。執行猶予を含む禁錮以上の刑が確定すれば、候補者の当選は無効となる。同一選挙区から5年間、立候補することも禁止される。

徳田議員に連座制が適用されるかどうかが焦点となろう。

徳田議員の実父は、グループ創始者の徳田虎雄元衆院議員だ。難病で入院中だが、病室から選挙運動の全般について指揮していたと言われている。

体が不自由なため、逮捕は見送られたものの、特捜部は容疑者として在宅で取り調べを続ける。

虎雄容疑者も議員時代、激しい選挙戦を繰り広げ、多くの運動員が選挙違反で逮捕されたことがある。地盤を引き継いだ徳田議員の選挙でも、こうした体質が残っていたのだろうか。

徳洲会グループは「年中無休・24時間オープン」を掲げ、規模を拡大してきた。全国に280余りの医療施設を展開し、地域医療を担う病院も多い。

事件の影響で、患者の治療がおろそかになってはならない。

産経新聞 2013年11月13日

徳洲会選挙違反 徳田氏に議員辞職求める

医療法人徳洲会グループの公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部と警視庁は、徳田毅衆院議員の2人の姉らグループの幹部6人を同法違反(運動員買収)容疑で逮捕した。徳田氏の父で療養中の徳洲会前理事長、虎雄氏も容疑者として在宅のまま調べを受ける。

国会議員には不逮捕特権があり、原則として国会の会期中は逮捕されないが、徳田氏は自身の関与のあるなしにかかわらず、議員辞職すべきだ。

昨年12月の衆院選を舞台に違法な報酬を受け取って選挙運動に従事した傘下病院などの職員は563人、不正支給の総額は1億4750万円相当にのぼるとされる。公選法違反の買収事件としては、空前の規模だ。

徳洲会は日本最大級の医療・福祉グループで、多くは国や自治体から補助金を受けており、免税対象の法人もある。グループぐるみでの選挙運動に、職員多数を有償で導入することなど、許されるはずもない。その大きな責任は、議員本人が負うべきだ。

親族が買収の罪で禁錮以上の刑が確定した場合、連座制が適用され当選無効となる可能性もある。徳田氏は捜査や公判の行方を待つことなく、まず議員の職を辞して自らの責任を明らかにすべきではないか。

徳田氏は今年2月、過去の女性問題が発覚し、国土交通兼復興政務官を辞任した。平成21年の衆院選では、系列病院の職員3人が退院患者に成り済まして不在者投票を行ったとして、公選法違反容疑で逮捕された。

父親の虎雄氏も中選挙区制で全国唯一の1人区だった奄美群島区で、自民党の保岡興治議員と何度も激しい選挙戦を繰り広げた。「保徳戦争」「ハブとマングースの戦い」などとも呼ばれ、選挙違反の摘発も絶えなかった。

親子二代にわたり、選挙の公正さに対する認識が甘すぎると指摘されても仕方あるまい。

徳洲会は、虎雄氏が「24時間診療・年中無休」の全国展開という理想を掲げ、一代で築きあげた巨大医療グループだ。

全国に総合病院66、診療所、老人保健施設、介護事業所など361施設を運営している。

徳洲会グループには、事件の影響が利用者や地域医療の現場に及ばないよう、信頼の回復にこそ全力をあげてほしい。

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